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第四章冒険者事業
上級魔法使いの獣人
しおりを挟むあの後、ロランが盗んだらしい物が道のど真ん中にどっさりと置かれていた。
私達はその店に謝りに行ったが、どこも「遠慮しないで貰って行け」と言う。ありがたいが荷物も多いしそういうわけにはいかないので、商品を返しながらお礼や謝罪をして一軒一軒回って行った。
それだけならまだ良い。問題は私やフォレにロラン、そしてうーままで珍しそうに見てくる人達だ。こちとら見世物じゃねぇんだぞと言いたい。そして見るならフォレ達を見た後に私を見て微妙な顔をするのは止めて頂きたい。普通に悲しくなるから。
中には私に「何者なんだ」としつこく質問してくる輩もいたが、私は「一般人です」という主張を続けた。でもやはり「そんなわけないだろ」と言ってくるわけで。フォレが殺気に溢れた目で睨んだら黙ったけど。
そんなことをしていると、時間が経っているのか飲食店に入って行く人も見るようになった。
朝食も食べていないし先に昼食を取ろうかと思ったが、アーヴィルさんを待たせていたら悪いので先に冒険者ギルドへ向かうことにした。
道はうろ覚えだったが、親切なことに「この先冒険者ギルド」という看板が多くあった。その通り行けば大きな昨日の冒険者ギルド。
受付のお姉さんに言ったら「少々お待ちください」とすぐにアーヴィルさんを呼びに行ってくれた。
少しするとまた受付のお姉さんがカウンターに出てきて、「こちらへ」と案内してくれた。
連れてこられたのは昨日の客室だ。
私は何があるのかとそわそわしたり、フォレは煩いロランを黙らせている。うーまは外にいるけどお姉さんに言ったからたぶん大丈夫だ。
待っているとアーヴィルさんと知らない女性が入ってきた。
「アリサ様、来てくださったのですね」
「様は要らないですよ。せめてさん付けでいいです」
私がそう言って微笑すると、アーヴィルさんは困ったように少し笑った。
「本来は宜しくないと思いますが···わかりました。アリサさん、そしてこの方は···」
アーヴィルの後ろに隠れる女性が顔を出した。
女性はローブを着ていて、フードから出る薄紫色の髪はおさげの二つ結び、少しタレ目な幼さの残る顔だが、見れば大人だとはわかる。小柄で温厚そうな人だ。
女性は私をまじまじと見ている。そして女性は高くてか細い声でアーヴィルさんに尋ねる。
「アーヴィルさん···もしかしてこの方が···」
「···精霊使い様ですよ」
その瞬間、女性の私を見る目が見開いた。そして凄いスピードで私に駆け寄り、綺麗で意外と大きな瞳が私を捕らえる。
「せ、精霊使い様!」
「はい!?」
いきなり呼ばれ少し疑問形になってしまう。
しかし女性はもっと目を輝かせて、私の手を勢いよく握る。その反動でフードが落ちる。
···女性の頭から生えている獣耳は、ぴくぴくと伸びていた。
「私は隣国から来た魔法使いのジェシーです!よろしくお願いします!」
先程のか細い声とは比べ物にならない程の大声。驚いて言葉が出ない。女性のその声にも、獣耳にも。
「···ジェシーさん、耳、見えてますよ」
「···はぅっ!?すみません!お見苦しいものを···!」
いや全然お見苦しくはない。むしろ今すぐモフりたい。ジェシーさん(?)はしょんぼりとした様子で俯いた。
「···あの、アリサ様は獣人は嫌いですか?」
「?いえ、全然···というかジェシーさん···は人間は嫌いじゃないのですか?というか様付けは要らないですよ」
私が控えめに言うと、ジェシーさんは恥ずかしそうに顔を上げた。
「ま、まぁ好きというわけではないですけど···私はアリサさんのことを悪い人間だと思っていませんし、アーヴィルさんとは昔のよしみなので···」
「そ、そうですか?」
私の顔を見て悪い人間じゃないなんて、戸惑ってしまう。でもそんなふうに言われるのは純粋に嬉しい。
ジェシーさんは私の動揺した様子を見て、照れたようにくすりと笑った。
「ええ、精霊使い様が冒険者になるなんて···驚きました。不思議な方だと思っていましたが、会ってみてわかりました。とても素敵でお優しい方ですね」
ジェシーさんの顔を見て、ドキッとしてしまう。彼女があまりにも悪意の無い純粋な優しい瞳で私を見つめるのだから。こんな優しい目で自分を見られたことは無い。正直とても嬉しかった。ジェシーさんは「はっ···!?精霊使い様に『不思議な方』だなんて無礼なことを···申し訳ありません!」などと言っている。なんだか面白くて笑ってしまった。
「コホン···あ、そういえばアリサさん、来る途中門の前で精霊様達がたくさんいらっしゃいましたよ。聞くと『アリサに待っててと言われたから待っている』とのこと。多く精霊様がいらしたのですが、もしかして契約していたりしますか?」
ああ、そういえば昨日から待たせてる···悪いなぁ。早く戻らないと。
「はい。だいたいあの全ての精霊と契約しています」
私がそう言うと、部屋に沈黙が流れた。
···え?何この空気。聞いてきたのそっちじゃん。
「···ええと、数百ぐらい居たかもなんですが···」
「す、数百!?どんだけなんですかアリサさん···!?」
アーヴィルさんとジェシーさんが顔を見合わせて、「あ、あははは···」と物凄くぎこちない笑みを浮かべた。
「アリサさん、今まで突っ込まなかったのですが···横に居る二方の精霊様は、最高位ですよね?お二方は契約···」
「してますよ?」
···再び沈黙が流れる。
ジェシーさんは深呼吸をして、またぎこちなく笑った。
「い、いや、最高位の精霊様と契約したなんて話を聞いた時は、流石にデマだと思いましたよ?最高位の精霊様と人間···人族が契約だなんて、前代未聞ですし···」
深刻そうにため息をつくジェシーさん。そんなにヤバいことなの?当の本人様達は暇そうに部屋の景色を眺めてるけど。
「でも私がとやかく言うことではないですし···まあ、とにかく精霊様方をきちんと言い聞かせているアリサさんは凄いです。私の精霊様は気まぐれで滅多に言うことも聞いてくれなくて···」
またため息をついたジェシーさんの言葉を遮るように、突然部屋に風が吹き荒れた。
私とジェシーさんの前に、とても小さなつむじ風のようなものが出来て、やがて収まり、薄緑のくるくるとした髪の女の子が出てきた。彼女は大きな瞳をぱちくりとさせて無邪気な笑顔を見せた。
私はすぐにわかった。この子は「風の精霊」だ。
「やっほージェシー!···あれ?そのひとたちは?」
私達はその店に謝りに行ったが、どこも「遠慮しないで貰って行け」と言う。ありがたいが荷物も多いしそういうわけにはいかないので、商品を返しながらお礼や謝罪をして一軒一軒回って行った。
それだけならまだ良い。問題は私やフォレにロラン、そしてうーままで珍しそうに見てくる人達だ。こちとら見世物じゃねぇんだぞと言いたい。そして見るならフォレ達を見た後に私を見て微妙な顔をするのは止めて頂きたい。普通に悲しくなるから。
中には私に「何者なんだ」としつこく質問してくる輩もいたが、私は「一般人です」という主張を続けた。でもやはり「そんなわけないだろ」と言ってくるわけで。フォレが殺気に溢れた目で睨んだら黙ったけど。
そんなことをしていると、時間が経っているのか飲食店に入って行く人も見るようになった。
朝食も食べていないし先に昼食を取ろうかと思ったが、アーヴィルさんを待たせていたら悪いので先に冒険者ギルドへ向かうことにした。
道はうろ覚えだったが、親切なことに「この先冒険者ギルド」という看板が多くあった。その通り行けば大きな昨日の冒険者ギルド。
受付のお姉さんに言ったら「少々お待ちください」とすぐにアーヴィルさんを呼びに行ってくれた。
少しするとまた受付のお姉さんがカウンターに出てきて、「こちらへ」と案内してくれた。
連れてこられたのは昨日の客室だ。
私は何があるのかとそわそわしたり、フォレは煩いロランを黙らせている。うーまは外にいるけどお姉さんに言ったからたぶん大丈夫だ。
待っているとアーヴィルさんと知らない女性が入ってきた。
「アリサ様、来てくださったのですね」
「様は要らないですよ。せめてさん付けでいいです」
私がそう言って微笑すると、アーヴィルさんは困ったように少し笑った。
「本来は宜しくないと思いますが···わかりました。アリサさん、そしてこの方は···」
アーヴィルの後ろに隠れる女性が顔を出した。
女性はローブを着ていて、フードから出る薄紫色の髪はおさげの二つ結び、少しタレ目な幼さの残る顔だが、見れば大人だとはわかる。小柄で温厚そうな人だ。
女性は私をまじまじと見ている。そして女性は高くてか細い声でアーヴィルさんに尋ねる。
「アーヴィルさん···もしかしてこの方が···」
「···精霊使い様ですよ」
その瞬間、女性の私を見る目が見開いた。そして凄いスピードで私に駆け寄り、綺麗で意外と大きな瞳が私を捕らえる。
「せ、精霊使い様!」
「はい!?」
いきなり呼ばれ少し疑問形になってしまう。
しかし女性はもっと目を輝かせて、私の手を勢いよく握る。その反動でフードが落ちる。
···女性の頭から生えている獣耳は、ぴくぴくと伸びていた。
「私は隣国から来た魔法使いのジェシーです!よろしくお願いします!」
先程のか細い声とは比べ物にならない程の大声。驚いて言葉が出ない。女性のその声にも、獣耳にも。
「···ジェシーさん、耳、見えてますよ」
「···はぅっ!?すみません!お見苦しいものを···!」
いや全然お見苦しくはない。むしろ今すぐモフりたい。ジェシーさん(?)はしょんぼりとした様子で俯いた。
「···あの、アリサ様は獣人は嫌いですか?」
「?いえ、全然···というかジェシーさん···は人間は嫌いじゃないのですか?というか様付けは要らないですよ」
私が控えめに言うと、ジェシーさんは恥ずかしそうに顔を上げた。
「ま、まぁ好きというわけではないですけど···私はアリサさんのことを悪い人間だと思っていませんし、アーヴィルさんとは昔のよしみなので···」
「そ、そうですか?」
私の顔を見て悪い人間じゃないなんて、戸惑ってしまう。でもそんなふうに言われるのは純粋に嬉しい。
ジェシーさんは私の動揺した様子を見て、照れたようにくすりと笑った。
「ええ、精霊使い様が冒険者になるなんて···驚きました。不思議な方だと思っていましたが、会ってみてわかりました。とても素敵でお優しい方ですね」
ジェシーさんの顔を見て、ドキッとしてしまう。彼女があまりにも悪意の無い純粋な優しい瞳で私を見つめるのだから。こんな優しい目で自分を見られたことは無い。正直とても嬉しかった。ジェシーさんは「はっ···!?精霊使い様に『不思議な方』だなんて無礼なことを···申し訳ありません!」などと言っている。なんだか面白くて笑ってしまった。
「コホン···あ、そういえばアリサさん、来る途中門の前で精霊様達がたくさんいらっしゃいましたよ。聞くと『アリサに待っててと言われたから待っている』とのこと。多く精霊様がいらしたのですが、もしかして契約していたりしますか?」
ああ、そういえば昨日から待たせてる···悪いなぁ。早く戻らないと。
「はい。だいたいあの全ての精霊と契約しています」
私がそう言うと、部屋に沈黙が流れた。
···え?何この空気。聞いてきたのそっちじゃん。
「···ええと、数百ぐらい居たかもなんですが···」
「す、数百!?どんだけなんですかアリサさん···!?」
アーヴィルさんとジェシーさんが顔を見合わせて、「あ、あははは···」と物凄くぎこちない笑みを浮かべた。
「アリサさん、今まで突っ込まなかったのですが···横に居る二方の精霊様は、最高位ですよね?お二方は契約···」
「してますよ?」
···再び沈黙が流れる。
ジェシーさんは深呼吸をして、またぎこちなく笑った。
「い、いや、最高位の精霊様と契約したなんて話を聞いた時は、流石にデマだと思いましたよ?最高位の精霊様と人間···人族が契約だなんて、前代未聞ですし···」
深刻そうにため息をつくジェシーさん。そんなにヤバいことなの?当の本人様達は暇そうに部屋の景色を眺めてるけど。
「でも私がとやかく言うことではないですし···まあ、とにかく精霊様方をきちんと言い聞かせているアリサさんは凄いです。私の精霊様は気まぐれで滅多に言うことも聞いてくれなくて···」
またため息をついたジェシーさんの言葉を遮るように、突然部屋に風が吹き荒れた。
私とジェシーさんの前に、とても小さなつむじ風のようなものが出来て、やがて収まり、薄緑のくるくるとした髪の女の子が出てきた。彼女は大きな瞳をぱちくりとさせて無邪気な笑顔を見せた。
私はすぐにわかった。この子は「風の精霊」だ。
「やっほージェシー!···あれ?そのひとたちは?」
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