拝啓あなたへ、星の音色をもう一度

 ある人の居ない廃墟に、一人の女性が居た。
 足の透けた彼女は、毎夜ピアノの音を奏でていた。

 彼女は、いつか夫と交わした約束を叶えられず、永遠にピアノに取り憑く幽霊だったのだ。
 現世に未練を残し生きる彼女は、自分がどうしたいのかすら分からないでいた。

 とにかく、一つ分かることは夫と約束したことを果たせなかったという後悔が残っているということだけだった。

 そんな息の音一つしない廃墟の中で、彼女は一人の男性と願うことになる。

「――とても美しい音色で、良い演奏だった。ありがとう」

 彼女は彼に全く見覚えがなかったのだが、それから何十年と彼女の全く変わらなかった人生が大きく変わることになる――

※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
24h.ポイント 0pt
0
小説 192,739 位 / 192,739件 恋愛 57,470 位 / 57,470件

あなたにおすすめの小説

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

みんながみんな「あの子の方がお似合いだ」というので、婚約の白紙化を提案してみようと思います

下菊みこと
恋愛
ちょっとどころかだいぶ天然の入ったお嬢さんが、なんとか頑張って婚約の白紙化を狙った結果のお話。 御都合主義のハッピーエンドです。 元鞘に戻ります。 ざまぁはうるさい外野に添えるだけ。 小説家になろう様でも投稿しています。

憐れな妻は龍の夫から逃れられない

向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。

君の顔が思い出せない

mios
恋愛
見知らぬ屋敷で目覚めた男は、自分が記憶喪失であると知る。 妻と名乗る人物を全く覚えていないどころか、好きになれないことに違和感を覚える。 屋敷の中には立ち入り禁止の場所があり、そこに入り込んだ男は、そこで囚われた美女に出会う。

夫は私を愛してくれない

はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」 「…ああ。ご苦労様」 彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。 二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。

処理中です...