69 / 137
未練
しおりを挟む
明日は元カノの誕生日だ……
別れてから、もう1年が経過していた。
別れた原因は、彼女の妄想。
「あなたの友達ていう人から、女の子と遊びに行くって教えてもらった」「あなた浮気してるんでしょ?」などなど、根拠のない被害妄想だ。
彼女が精神的に弱くなっていたにも関わらず、俺は彼女を支えることができずに距離をおいてしまった。
ただ未練があった。
別れた今でも、あわよくば寄りを戻すことができないかと考えていた。
去年の誕生日に渡すはずだった、ティファニーのネックレス。
これもまだ捨てられずにいた。
連絡をする勇気は湧かなかったが、彼女から連絡が来ればと携帯の番号もメールアドレスも変えずにずっと使い続けている。
彼女に会えないかと思い、去年渡すはずだったプレゼント持って彼女の部屋まで向かった。
この道もこの風景も懐かしく感じられる。
部屋の前について、俺は勇気を出してチャイムを鳴らした。
何度鳴らしても応答はない。
部屋に人の気配を感じることができなかった。
俺はメモ用紙に『誕生日おめでとう。お祝いをさせてください』と書いて、プレゼントと一緒にドアポストに入れた。
連絡が来ることを願って……
家に着いて、日が変わるころ、携帯が鳴った。
画面には懐かしい名前が写っていた。
「もしもし……、寝てた?」
ちょっと小さな声で気まずそうに話す、懐かしい声。
「プレゼントと手紙ありがとう」
その言葉だけで、俺の胸は熱くなった。
「ごめんね。突然家まで行っちゃって。誕生日だったから」
「こっちこそごめん。終電で帰ってきたから」
そんなたどたどしい会話が嬉しく感じられる。
「ねえ。ここに書いてあることって本当?」
俺はメモに書いたことを思い出して「あぁ、本当だよ」と、ゆっくり答えた。
「じゃあ、鍵空けておくから……待ってる。プレゼント本当に嬉しかった。ありがとう……、覚えててくれて。よくサイズが分かったね」
「うん。すぐ行くね」
俺は携帯を切ると、財布と携帯だけを握りしめ外に出てタクシーを探した。
「なにも起きないでくれ」と、願いながら……
別れてから、もう1年が経過していた。
別れた原因は、彼女の妄想。
「あなたの友達ていう人から、女の子と遊びに行くって教えてもらった」「あなた浮気してるんでしょ?」などなど、根拠のない被害妄想だ。
彼女が精神的に弱くなっていたにも関わらず、俺は彼女を支えることができずに距離をおいてしまった。
ただ未練があった。
別れた今でも、あわよくば寄りを戻すことができないかと考えていた。
去年の誕生日に渡すはずだった、ティファニーのネックレス。
これもまだ捨てられずにいた。
連絡をする勇気は湧かなかったが、彼女から連絡が来ればと携帯の番号もメールアドレスも変えずにずっと使い続けている。
彼女に会えないかと思い、去年渡すはずだったプレゼント持って彼女の部屋まで向かった。
この道もこの風景も懐かしく感じられる。
部屋の前について、俺は勇気を出してチャイムを鳴らした。
何度鳴らしても応答はない。
部屋に人の気配を感じることができなかった。
俺はメモ用紙に『誕生日おめでとう。お祝いをさせてください』と書いて、プレゼントと一緒にドアポストに入れた。
連絡が来ることを願って……
家に着いて、日が変わるころ、携帯が鳴った。
画面には懐かしい名前が写っていた。
「もしもし……、寝てた?」
ちょっと小さな声で気まずそうに話す、懐かしい声。
「プレゼントと手紙ありがとう」
その言葉だけで、俺の胸は熱くなった。
「ごめんね。突然家まで行っちゃって。誕生日だったから」
「こっちこそごめん。終電で帰ってきたから」
そんなたどたどしい会話が嬉しく感じられる。
「ねえ。ここに書いてあることって本当?」
俺はメモに書いたことを思い出して「あぁ、本当だよ」と、ゆっくり答えた。
「じゃあ、鍵空けておくから……待ってる。プレゼント本当に嬉しかった。ありがとう……、覚えててくれて。よくサイズが分かったね」
「うん。すぐ行くね」
俺は携帯を切ると、財布と携帯だけを握りしめ外に出てタクシーを探した。
「なにも起きないでくれ」と、願いながら……
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる