意味が分かると怖い話（自作）

鍵

開いている？

私は恐る恐るドアノブに手を掛け、力を込めてみた。

開いていた！

鍵をかける行為自体、習慣のようになっていて、無意識に近い行動だ。

もしかしたら、鍵をかけたつもりだったのかもしれない。

私は家の中に入り、ドアを閉めると静かに鍵をかけた。

念のため、家の中を物音立てずに見て回った。

誰かいるかもしれないという状況は、本当に怖い。

結果、家の中には誰もいなかった。

私が居間へ足を踏み入れたとき、ドアノブがガチャガチャと音を立てて動き出した。

息を殺し、ドアから死角となる場所に身を隠した。

「あれ？　さっきは開いてたのに……」

「お前部屋間違ってんじゃ？」

ドア外から複数の男性の声が聞こえる。

「ここに、間違いないって！」

「あの女、帰ってきたんじゃね？」

突然ドアが、ドンドンと叩かれ出した。

「あけみ、いるんだろ？　ドア開けろよ！　どうせ、また男囲ってんだろ？　なぁ、無視すんなよ」

微動だにできず、音が聞こえなくなるのをじっと待ち続けた。

どれくらい待ったか……

ドア外から人の気配は感じられなくなっていたが、念のため、私は裏口を探して家を後にした。

最悪のタイミング。

次からは気を付けよう。