意味が分かると怖い話（自作）

心霊写真

俺はフリーのカメラマンをしている。

仕事柄、常にカメラを持ち歩き、いつなんどきでもスクープをモノにできるよう心掛けている。

ある日、彼女を撮影した写真を見返していた。

そこには見えてはいけない存在……、”透けた人の顔”のようなものが、すぐそばで彼女をにらんでいたのだ。

俺はPCに保存してある、過去に撮影した写真を見返していった。

「やっぱそうだ！」

その”顔”は、彼女を撮影した全ての写真に入り込んでいたのだ。

友達と遊んでいるときも、寝室で眠っているときも、出勤前にシャワーを浴びているときも……

全てに写り込んでいた。

それも、日が最新のモノになるにつれ、徐々に彼女に近づいていっている。

俺は全ての写真を現像して、ルーペで”その顔”を観察してみた。

手が震えて上手くピントが合わない。

「……元カレだ」

５年ほど前に彼女にフラれたヤツだ。

全身から血の気が引き、激しく動悸が高まるのを感じた。

悪意に満ちた”その目”が物語っている。

それまで幽霊といった類のものは信じていなかったが、「こいつはやばい霊だ」と、直感した。

急いで携帯を開き、彼女に電話をかける。

「くそ、番号変わってる」

ひとりごちると、現像した写真とバッグを抱え彼女のマンションまで急いだ。

「何も起こっていなければいいが……」