意味が分かると怖い話（自作）

将来の夢

将来の夢は、自分の店を持つこと。

子供の頃から美容師に憧れていた。

専門学校に入ったとき、同じように夢を持つ子がいて意気投合した。

彼女は器用で、実家が美容室という環境もあり優秀だった。

卒業後、同じ店に就職。

それがきっかけで付き合うように。

彼女は同期で最初のスタイリストに。

俺も追い付こうと一生懸命練習をした。

夜遅くまで……

彼女も文句言わず付き合ってくれた。

マネキンの首で練習してはダメ出しの毎日。

彼女自身がカットモデルもやってくれた。

「スタイリストになったら結婚しよう」

俺の口癖だった。

彼女はドンドン出世して、トップクラスに。

俺は30過ぎてもアシスタント。

後輩にダメ出しされ、彼女は呆れていた。

深夜まで続く練習にも嫌気が差して、モデル中の彼女に悪態を付く。

「お前に俺の気持ちなんてわからねぇよ」

この言葉でモデル中の彼女と大喧嘩に……

二人だけの店に大声だけが響く。

我に返り、思わず店を飛び出した。

必死に練習をし、幾つもマネキンを台無しにした辛い修行時代が思い出される。

深夜一人、ハサミと首を川に投げ捨てた。

俺の夢はここで終わったんだ……