意味が分かると怖い話（自作）

あおり運転

高速を走っていると蛇行している車を見かけた。

あまりにも酷い運転だ。

こいつのせいで高速はかなり渋滞している。

ムカついて、ちょっとあおってしまった。

ホントちょっとだけ。

俺の車にビビったのか蛇行していた車はスリップ、分離帯に乗り上げ、そのスピードのまま壁に激突した。

……一瞬の出来事だった。

誰もが見ていることしかできなかった。

壁にぶつかった車は白い煙を出し、炎を上げる。

「俺のせいだ」

俺は車から降りると、燃え盛る車に駆け寄ろうとした。

「あんた、危ない！」

誰かに羽交い絞めにされ、俺は燃える車の前で倒れ込んだ。

燃える車の中から悲鳴が聞こえる。

「ダメだ。助けられない……」

誰かの声が聞こえて、俺はその場を動くことができなくなっていた。

すぐに警察と消防が来て、消火活動が始まる。

整備も行われ、交通の流れは３０分ほどで通常通り回復していた。

俺は、目の前で見ていたということで簡単な事情聴取が行われたが、直ぐに解放。

……翌日、事故のことが新聞に載っていた。

『飲酒運転による高速道路での事故……運転していた５９歳男性、壁に衝突して即死』

「あの運転手、酒飲んでたのかよ！」

思わず声が出た。

俺のせいじゃなかったことに安心感を覚えた。

酒飲んで運転しているから悪いんだ。

俺のせいじゃない……