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帰郷

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過疎が進んで誰も住まなくなった村が両親の故郷だった。

母方の父親母親――俺たちの祖父母――は、その村の近くの集落で生活していた。

そこも凄い田舎で、近くのコンビニは19時に閉店する。

本当に何もなく、時間を持て余した俺たち兄弟は、村の探索に出ていった。

果てしなく田舎、見渡す限り畑が広がっている。

俺の両親は共にこの村出身で、同じ小学校で同級生だったらしい。

その当時から子供がほとんどいなくって、全校生徒で60名程度だったそうだ。

その小学校を覗いてみると、凄いボロボロだった。

校舎は木造、いわゆる昔ながらの漫画に出てくるような作りの建物。

外から見て、「こんなところで勉強できるのか」と、疑問だった。

探索中、校庭で遊んでいる古臭い格好をしたガキどもを発見した。

THE田舎ファッション!

ダサすぎて引くセンス。

これが田舎クオリティなんだと、無駄に納得した。

「あれ? あんたたち、よその人?」

俺たちに気が付いた小学校高学年くらいの女の子が突然話しかけてきた。

「一緒に遊ばない?」

弟は乗り気だったが、俺は全く興味が持てなかった。

こんな田舎での遊びなんてたかが知れていると考えていたのかもしれない。

「ごめん、今急いでるから」

そう言って弟を連れて祖父母の家まで戻った。

次の日も時間を持て余した俺たちは、その小学校まで足を運んだ。

やっぱりあのガキどもはいて、同じ格好してて引いた。

ダサい、田舎臭い。

理由は分からないが何かしらの嫌悪感を抱いていたと思う。

帰る日も小学校を覗いてみたらその子たちがいて、昨日と同じ格好をしていた。

「あ~、これが田舎なんだ。俺は田舎は合わないな」と……
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