僕のラミア

むねじゅ

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007 昼休み

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金時は夢見ごこちで、家に帰った。
そして、今夜は中々、眠りにつけずにいた。蛭間のことを考えていたからである。
金時は夢でも蛭間さんに会えますように。と考えながら眠りにつくことにした・・・

金時が帰った喫茶ラミアでは、蛭間が金時を見送った後に蛭間は金時の心配をしていた。

蛭間 「金時くん、泣いていたけど大丈夫かな?転校してきたばかりだから不安から情緒が不安定になっていたのかもしれない。私みたいな爺さんが何かできるわけではないが、心のよりどころになれるようにしよう。あのくらいの思春期の子供は難しいから、きっと悩みがあっても親にいい難いだろうし・・・私みたいな他人の大人が丁度いいのかもしれないな・・・」

蛭間は金時をなぜか守らなくてはと思った。それぐらい、金時は繊細で弱く、吹いたら飛んで行きそうに見えたのである。
蛭間はいままでにない充実感を感じていた。たぶん、自分の孫がいたらこんな感じかな?と思っていたので金時を守ることに違和感を感じなかったのだ。
いままでにも、常連のお客さんは沢山いたし、今も沢山のお客さんにこの店は愛されている。
しかし、こんなにも個人的に気になるお客さんは初めてだ・・・と思う蛭間であった。

次の日の朝。

小城 「月島ちゃん!おはよ!昨日は大丈夫だった?なんか、すごい顔してたから心配したんだよ!!!」

といいながら茜は金時の肩を叩いた。朝から元気な女の子である。

金時 「うん!大丈夫だよ!昨日急に帰っちゃってゴメンね。小城さん」

小城 「気にしないで!月島ちゃんが元気ならいいんだー!なんかいいことあったの?顔が朝からにやけてる・・・」

金時 「そっそうかな?でもいいことはあったかな・・・」

小城 「何々!!!私にも教えてよー!!!!」

金時 「えー。秘密だよ・・・」

小城 「ずるーい!月島ちゃんだけいい思いしてるー。」

茜はほっぺたをふくらませながら、すねている。その顔を金時は面白そうにしていた。

小城 「何笑ってるの?私にも幸せわけてよー。」

二人で学校の昇降口から教室までをおしゃべりしながら歩く。
金時は茜が友達になってくれてよかったと思った。

それから、昼食の時間にお弁当を食べ、その後昼休みの時間になった。
金時は読書をしている。クラスのみんなはガヤガヤ騒いだり、教室の中でゲームのようなことをしたりしていた。
いつも転校ばかりしている金時は休み時間に落ち着いて読書をするのが好きだった。
現実の世界ではなく架空の世界に行けるから。
その静寂を破る声がする。茜だ!彼女は元気いっぱいに金時に話しかける。

小城 「ねぇ!月島ちゃん!何一人で本なんか読んでんの?友達つくらなきゃ!!!」

金時 「いいよ。小城さんがいるし・・・」

小城 「えっ!何々!友達は私だけで十分!だって!!!お目が高いね!月島ちゃん!!!」

茜がやけにでかい声で叫ぶので、クラスの皆が振り返る。

金時 「しっ!小城さん!静かにして!恥ずかしいじゃん!!!」

金時は小声で茜に注意をする。しかし、茜はおかまいなしだ。
金時に友達は自分がいれば十分と言われ、有頂天になっている。こうなっては、金時もお手上げだ・・・
たしかに、金時にとって、茜はけっこう頼もしい存在なっているのだ。
学校に来ても寂しくない、それは茜がいるからだ。

小城 「私たち親友だね!」

と茜は小声でいった。金時もうんと答えた。

小城 「そういえば、今日も学校帰りにラミアに行くの?」

金時 「昨日行ったばかりだし、あまり頻繁にいくと迷惑かな?って」

小城 「月島ちゃん!ダメダメ!自分の気持ちには素直じゃなくっちゃ!逢いたいときは、そして逢えるときには逢わないと!!!」

茜はなんだかよくわからない三段活用みたいな事を言った。
金時は?の顔になった。

小城 「だからー!人間いつ何があるかわからないじゃん!できることを今、やらないとさ!ってこと!明日やろうはバカやろう!ってね!」

金時は良くわからなかったが、たぶん今の気持ちを大事にと言いたかったのかな?と思った。

金時 「そうだね!逢いに行ってみようかな?・・・」

小城 「じゃー!私も行くー!!!」

金時はやっぱり!と思った。
僕を出汁だしにして小城さんは何か食べたり飲んだりを期待しているんだ・・・図々しい・・・

小城 「そいじゃー!帰りは一緒だよ!約束だよ!先に帰っちゃダメだよ!」

と茜は金時に釘をさした。

金時 「わかったよ!帰りにね!」

茜は喫茶店に金時と行けてうれしそうだ。
金時は少しだけうんざりしたけれど、良く考えてみたら、昨日の今日で蛭間さんに一人で逢いに行くには、かなりの勇気がいる。
だから、金時も茜を出汁に使う事にしたのだ。
昨日は心配をかけたから、今日僕が元気だったら安心してくれるかも?と思い、浮かれてきた金時だった。
しかも、今日も蛭間に会えるのだ・・・
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