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006 やさしいプリンアラモード
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蛭間さんは長い間、僕の肩をやさしくトンットンッとしてくれていた。
僕はそのリズムにうっとりしていた。このリズムにずっと溺れてしまいたいと思った。
蛭間さんが優しい人の証拠であるような感じのリズム、このまま寝てしまいそうなほど僕は癒されていた。
そのうえ、蛭間さんからものすごく良い香りがした。コーヒーのような香水のような優しい香りだ。
この香りにずっと包まれていたかった。
僕は自分勝手に傷ついていた。
僕の感じる蛭間さんの印象と他人が思う印象が違いすぎて、そのことに深いショックを覚えた。
そのせいで僕は泣き始めたのかもしれない。
でも、蛭間さんのこの広い胸の中にいる間は、蛭間さんは僕だけのものだ。と感じることができて安心した。
安心したことによって、僕は違う考え方ができるようになっていった。
小城さんが言っていた白髪で黒い目ということは、他の人には普通の老人に見えるということだ。
ライバルは少ないほうがいい、ライバルが少ないほど結ばれる可能性が高いのだ。
僕はそこに目をつけた・・・
この考えにすっかり安心感を覚えた僕は気が付いた。僕は今なんて大胆なことをしているんだろう・・・
このきれいな人に優しく抱きしめられているという状況だけで、僕は気絶しそうになっている。
僕は恥ずかしくて赤くなりながら、下から覗くように蛭間さんを見た。
蛭間さんは優しい顔で僕に微笑みかける。
蛭間 「金時くん、大丈夫かい?さっきのお嬢さんとケンカでもしたかな?」
僕 「ちがうんです・・・僕、急に寂しくなって・・・ごめんなさい・・・僕、お仕事の邪魔しちゃいましたね・・・」
蛭間 「いいんだよ!今日はお客さんあんまりいないから・・・なんでも相談に乗るよ。悩みは人に話すと楽になるから・・・」
僕 「ありがとうございます。蛭間さんに優しくそう言ってもらえるだけで、僕はうれしいです・・・」
蛭間 「そうか、そうか。若い内は悩み事も多いい。それも若い人の定めだね。若いことは素晴らしいよ・・・」
蛭間さんはそう言って遠い目をしていた。
自分が若い頃を思い出したのか、はたまた別の若い人を思い浮かべたのか?
僕は前者であって欲しいと思った。僕ではない別の人の事を思っているなんて胸が痛い・・・
僕は今日、少し自分を知った。僕は以外に大胆だということと、独占欲が強いということに・・・
蛭間さんは優しく僕をカウンター席に座らせた。そして、
蛭間 「そうだ。甘いものを食べて、気分を落ち着かせるといいよ。今持ってくるから待ってて。」
僕は、悪いと思ったので、おかまいなく と言う前に蛭間さんは奥にいってしまった。
少しして、蛭間さんはプリンアラモードとともに戻ってきた。
すごくきれいだった。銀の横長で足の付いた器の中央にプリン、両脇にリンゴ、バナナ、オレンジ、メロンと飾りに生クリームが絞られていた。
僕は蛭間さんの長い髪が流れる様子とプリンアラモードの美しさにボーっとしてしまった。
夢を見ているようだった。
その後、カウンターの向こう側から僕の目の前にプリンアラモードは優しく置かれた。
蛭間 「金時くん。どうぞ召し上がれ。」
蛭間さんはものすごくきれいな声で僕にささやく。
僕は魔法にかけられたように、長いスプーンを持ち食べ始める。
僕 「おいしい・・・」
蛭間 「よかった。そのプリンは自家製なんだ。お口に合ってよかったよ。」
と蛭間さんは僕に満面の笑みで微笑みかけた。
僕は今日、幸せすぎて死ぬのではないかと不安になった。
だって、こんなに好きな人から優しくされることなんて、僕には経験がなかったから・・・
僕はあっという間に食べ終わってしまった。
プリンアラモードは心の薬?と勘違いするほどに僕の心に染み渡った・・・
僕はお財布を出そうとした時に、スッと蛭間さんの手が僕の手を抑える。
僕は蛭間さんの手が抑えているところが急に熱くなった気がした。
その熱さが全身に回って僕の心をクラクラさせる。
蛭間 「御代はいいよ。これは、気持ちだから。ね。」
蛭間さんの ね。が親密さを高めてくれた気がした。僕は今日、本当に蛭間さんの虜になってしまった・・・
いつか、いつかでいい・・・蛭間さんが僕と同じ気持ちになってくれるよう、僕は願ってやみません・・・
僕はそのリズムにうっとりしていた。このリズムにずっと溺れてしまいたいと思った。
蛭間さんが優しい人の証拠であるような感じのリズム、このまま寝てしまいそうなほど僕は癒されていた。
そのうえ、蛭間さんからものすごく良い香りがした。コーヒーのような香水のような優しい香りだ。
この香りにずっと包まれていたかった。
僕は自分勝手に傷ついていた。
僕の感じる蛭間さんの印象と他人が思う印象が違いすぎて、そのことに深いショックを覚えた。
そのせいで僕は泣き始めたのかもしれない。
でも、蛭間さんのこの広い胸の中にいる間は、蛭間さんは僕だけのものだ。と感じることができて安心した。
安心したことによって、僕は違う考え方ができるようになっていった。
小城さんが言っていた白髪で黒い目ということは、他の人には普通の老人に見えるということだ。
ライバルは少ないほうがいい、ライバルが少ないほど結ばれる可能性が高いのだ。
僕はそこに目をつけた・・・
この考えにすっかり安心感を覚えた僕は気が付いた。僕は今なんて大胆なことをしているんだろう・・・
このきれいな人に優しく抱きしめられているという状況だけで、僕は気絶しそうになっている。
僕は恥ずかしくて赤くなりながら、下から覗くように蛭間さんを見た。
蛭間さんは優しい顔で僕に微笑みかける。
蛭間 「金時くん、大丈夫かい?さっきのお嬢さんとケンカでもしたかな?」
僕 「ちがうんです・・・僕、急に寂しくなって・・・ごめんなさい・・・僕、お仕事の邪魔しちゃいましたね・・・」
蛭間 「いいんだよ!今日はお客さんあんまりいないから・・・なんでも相談に乗るよ。悩みは人に話すと楽になるから・・・」
僕 「ありがとうございます。蛭間さんに優しくそう言ってもらえるだけで、僕はうれしいです・・・」
蛭間 「そうか、そうか。若い内は悩み事も多いい。それも若い人の定めだね。若いことは素晴らしいよ・・・」
蛭間さんはそう言って遠い目をしていた。
自分が若い頃を思い出したのか、はたまた別の若い人を思い浮かべたのか?
僕は前者であって欲しいと思った。僕ではない別の人の事を思っているなんて胸が痛い・・・
僕は今日、少し自分を知った。僕は以外に大胆だということと、独占欲が強いということに・・・
蛭間さんは優しく僕をカウンター席に座らせた。そして、
蛭間 「そうだ。甘いものを食べて、気分を落ち着かせるといいよ。今持ってくるから待ってて。」
僕は、悪いと思ったので、おかまいなく と言う前に蛭間さんは奥にいってしまった。
少しして、蛭間さんはプリンアラモードとともに戻ってきた。
すごくきれいだった。銀の横長で足の付いた器の中央にプリン、両脇にリンゴ、バナナ、オレンジ、メロンと飾りに生クリームが絞られていた。
僕は蛭間さんの長い髪が流れる様子とプリンアラモードの美しさにボーっとしてしまった。
夢を見ているようだった。
その後、カウンターの向こう側から僕の目の前にプリンアラモードは優しく置かれた。
蛭間 「金時くん。どうぞ召し上がれ。」
蛭間さんはものすごくきれいな声で僕にささやく。
僕は魔法にかけられたように、長いスプーンを持ち食べ始める。
僕 「おいしい・・・」
蛭間 「よかった。そのプリンは自家製なんだ。お口に合ってよかったよ。」
と蛭間さんは僕に満面の笑みで微笑みかけた。
僕は今日、幸せすぎて死ぬのではないかと不安になった。
だって、こんなに好きな人から優しくされることなんて、僕には経験がなかったから・・・
僕はあっという間に食べ終わってしまった。
プリンアラモードは心の薬?と勘違いするほどに僕の心に染み渡った・・・
僕はお財布を出そうとした時に、スッと蛭間さんの手が僕の手を抑える。
僕は蛭間さんの手が抑えているところが急に熱くなった気がした。
その熱さが全身に回って僕の心をクラクラさせる。
蛭間 「御代はいいよ。これは、気持ちだから。ね。」
蛭間さんの ね。が親密さを高めてくれた気がした。僕は今日、本当に蛭間さんの虜になってしまった・・・
いつか、いつかでいい・・・蛭間さんが僕と同じ気持ちになってくれるよう、僕は願ってやみません・・・
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