魔性男子はモテたくない

月華

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2.消えた平穏

オムライスって定番らしい

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 こちらを見下ろしてくる秀に、小さく首を振る。見つかってしまったのなら仕方がない。こんな大勢人がいるところで、変にやらかすこともないだろう。
 いやでもこいつ、確か食堂の真ん中で生徒会長にキスかましてたな。


「僕に触らないなら」


 と、取り敢えず言ってみる。


「ま、いーよ。ウブな岬に免じて。その代わり、2人きりの時はじっくりねっとりヤろうな♪」


 両手をあげてひらひらさせながら、あっさり了承した。後半の言葉は聞かないフリで。2人きりになるタイミングなんざ今後一切訪れない。


「テメェ……」
「秀!」


 花菱の余計な言葉にこめかみに青筋を乗せた秀に、人差し指を立てて「しー」とジェスチャーする。これ以上目立ちたくないのだ。
 そんな思いが通じたのか、秀は「お、おう……」と言いながら渋々といった感じで席に戻った。ちょっと顔が赤かったから、相当頭にきていたんだろう。耐えて偉いぞ、秀。 
 秀が席に戻ると、花菱は俺が道添の方に避難して出来たスペースに椅子を滑らせ、電子機器を手に取った。


「ね、岬のおすすめってどれ?」
「……どれも美味しいよ」
「岬はどれが好きなん?」


 唐揚げ。と言いかけて、先ほどの羞恥心が蘇る。いや、別に唐揚げって言ってもいいんだけど、唐揚げって言ったら「やっぱり」って3人に思われそうでなんとなく嫌だ。唐揚げ大好きっ子を定着させたくない。


「オムライスかな」


 そこで、以前道添に聞いた「王道の定番はオムライス」を思い出した。ここのオムライスは確かに美味しいし、おすすめっちゃおすすめだ。


「岬オムライス好きなの? かわいーね」


 別にそんな好きじゃないし、ガッツリ肉が好きです。言わないけど。「じゃ、オムライスにしよー」と言っている花菱を放っておき、ちょっと冷めてしまったであろう唐揚げを食べる作業に戻る。やはり多少冷めてしまっているけど、最初が熱々だっただけに丁度いい塩梅だ。まだ肉汁も出てくるし、めっちゃ美味い。
 またも視線を感じて前を見ると、秀は急いでラーメンを啜っていたが、流星がまたもこちらを見ていた。さっさと自分の食えよと思ったら、なんとすでに完食している。俺らが花菱のやり取りでギャーギャーやっていた間に食べたのか。それにしても早食いだな。


「もう食べ終わったの? 早いね」
「ああ、部活の癖かな。いつも朝練前って時間ないから、早く食べる癖がついちゃったんだよね」


 そう言いつつ、頬杖をつきながらニコニコしている。


「あの……見られてると食べ辛いんだけど……」
「気にしないで」


 いや、気にするから言ってるんだけどね。「いや……」と口ごもるも、王子のような微笑みを向けられなんともいえぬ圧力に屈する。物腰柔らかいのになんでこんな圧力を感じるのか。謎である。
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みんなの感想(1件)

錠連🔑🐍
2024.02.27 錠連🔑🐍

お話の展開が面白すぎて何回も読み返しちゃいましたww
更新楽しみに待ってます!(〃>ω<〃)

解除

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