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2.消えた平穏
巻き込まれたくない
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「じゃあ、俺が一緒にいようか?」
「え?」
なにが「じゃあ」なのかよくわからない切り返しで不穏なことを言う榛に、思わず声が漏れる。
「俺が一緒にいれば弛緩剤にならないかなって」
こちらにひょいと顔を向けてにっこり微笑む姿は、チワワ達がいたら鼻血を出して拝み倒れそうなキラキラとしたエフェクトが舞っていた。パシパシとキラキラが顔に当たって落ちていく。
「めめめ滅相もない! いいです、大丈夫です! 自分でなんとかできます!」
実のところ、榛にはちょいちょいと世話になっている自覚はあった。1年の頃からクラス委員長だった榛は、極一部の編入生である俺をかなり気遣ってくれていて、学校を案内したり面倒な学園のいろは的な事も簡単に教えてくれた。
編入当初こそこの学園のなんたるかを大して理解していなかった俺は、好意のままに案内されたり世話を焼かれたりしていたものだから、まぁ大変な目にも遭った。主に親衛隊関係で。
榛も榛で、編入生を案内したりしていただけなのに自身の親衛隊が不穏な動きを見せたことで、必要以上には俺に関わらなくなった。あくまでクラス委員長としての仕事だよ、というスタンスを取ってくれたことは、大変ありがたかった。以降もちょいちょい気に掛けてくれているが、それも親衛隊を刺激しない程度に調整してくれていたので、最初以降親衛隊も変なことはしてこなくなった。
人との距離の取り方が上手な榛は、俺に取って接しやすい部類に入る。だからこそ、一緒にいようか、なんて事を言い出したのには驚く。
「あはは、なんで敬語? でもさ、転校生に本当に絡まれてるんだったら、結構面倒なことになると思うんだよね。親衛隊の子にも聞いたんだけど、昨日彼、生徒会にもちょっかい出してたんだって? 生徒会の……副会長とか会長の親衛隊が怒り心頭だったって話してたよ」
そういえば、食堂で色々とやらかしていたな、と思い出す。色々ありすぎて、昼のことはすっかり頭から消えていた。
「親衛隊に目を付けられている転校生君――に、目を付けられている岬君――。ね? 面倒なことになると思わない?」
思う。めちゃくちゃ面倒なことになると思う。今でさえ面倒なのに!
ちょっと困ったように笑うその顔でさえ王子様然としているが、サラッと話す割には言っている事が大分不穏だ。生徒会の親衛隊は、どの役員の親衛隊も過激派揃い。榛は親衛隊とそれなりに交流をしてコントロールをしているらしいが、生徒会は親衛隊を基本的に放置しているらしいので、目を付けられたら最後、と言われている。
「え?」
なにが「じゃあ」なのかよくわからない切り返しで不穏なことを言う榛に、思わず声が漏れる。
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こちらにひょいと顔を向けてにっこり微笑む姿は、チワワ達がいたら鼻血を出して拝み倒れそうなキラキラとしたエフェクトが舞っていた。パシパシとキラキラが顔に当たって落ちていく。
「めめめ滅相もない! いいです、大丈夫です! 自分でなんとかできます!」
実のところ、榛にはちょいちょいと世話になっている自覚はあった。1年の頃からクラス委員長だった榛は、極一部の編入生である俺をかなり気遣ってくれていて、学校を案内したり面倒な学園のいろは的な事も簡単に教えてくれた。
編入当初こそこの学園のなんたるかを大して理解していなかった俺は、好意のままに案内されたり世話を焼かれたりしていたものだから、まぁ大変な目にも遭った。主に親衛隊関係で。
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人との距離の取り方が上手な榛は、俺に取って接しやすい部類に入る。だからこそ、一緒にいようか、なんて事を言い出したのには驚く。
「あはは、なんで敬語? でもさ、転校生に本当に絡まれてるんだったら、結構面倒なことになると思うんだよね。親衛隊の子にも聞いたんだけど、昨日彼、生徒会にもちょっかい出してたんだって? 生徒会の……副会長とか会長の親衛隊が怒り心頭だったって話してたよ」
そういえば、食堂で色々とやらかしていたな、と思い出す。色々ありすぎて、昼のことはすっかり頭から消えていた。
「親衛隊に目を付けられている転校生君――に、目を付けられている岬君――。ね? 面倒なことになると思わない?」
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