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2.消えた平穏
お怒りです
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「あの、会長。梓種先輩……副委員長は俺のこと知ってるので大丈夫です」
なんとなく小声で言ったが、こんなに密着しているのだから会長には聞こえるだろう。
「なんだと? なぜコイツが?」
「色々あるんです。とにかく、副会長だけ外してもらえると……」
「チッ……、おい、生原。お前は一先ず出て行け」
「なぜ私が出ていかなければならないんです?」
「後で説明する」
「……はぁ、全く。分かりました、出て行けばいいんでしょ。ったく。覚えてろよ」
なんともイメージクラッシャーな捨て台詞を吐いて、副会長は怒りを露わに勢いよく扉を閉めた。
「おい……早く岬を離せ」
ズカズカと足音を立てて近付いてきた梓種先輩が、強引に会長を引き剥がす。そして、俺が鬘もマスクも取っている事にあからさまに驚いていた。
「あ? 岬っお前なんで」
「あー……退っ引きならない事情がありまして」
「くそっ、よりにもよってコイツに? 最っ悪だ……!」
「おい、副委員長。お前、壱瀬となんの関係だ?」
「壱瀬ダァ? んでテメェが呼び捨てにしてんだよ」
「そういう仲だからに決まっているだろう」
「違います違います」
あぁ、なんでこんな事に。なんか梓種先輩もめっちゃ怒ってるし、会長はいい人かと思ったら全然そんな事なさそうだし、最悪だ。新学期早々、最悪すぎる。
「説明しろ」
梓種先輩の真っ赤な瞳が、爛々としている。お怒りである。俺は取り敢えず、昨晩の出来事を簡単に説明した。
「岬ぃ、お前そんな悪さしてたのか? 夜に素顔でガゼボだぁ? 馬鹿なのか?」
「……すみません。気分転換が……したいな、なんて……」
まさか、ちょいちょい抜け出してましたなんて言えるはずもない。況してやどっかの生徒に見られていて、「月の女神様」なんて噂になっているなんて知られたら、俺殺されるんじゃないだろうか。
「変装を解いて過ごしたいんだったら、俺の部屋に来ればいいじゃねぇか」
「え、でも悪いですし」
「俺とお前の仲だろ? 遠慮してんな」
「おい、どういう事だ?」
「うっせぇ、テメェは黙ってろ」
はぁ、と梓種先輩が大きな溜息を吐くと、ポンと頭を撫でられる。
なんとなく小声で言ったが、こんなに密着しているのだから会長には聞こえるだろう。
「なんだと? なぜコイツが?」
「色々あるんです。とにかく、副会長だけ外してもらえると……」
「チッ……、おい、生原。お前は一先ず出て行け」
「なぜ私が出ていかなければならないんです?」
「後で説明する」
「……はぁ、全く。分かりました、出て行けばいいんでしょ。ったく。覚えてろよ」
なんともイメージクラッシャーな捨て台詞を吐いて、副会長は怒りを露わに勢いよく扉を閉めた。
「おい……早く岬を離せ」
ズカズカと足音を立てて近付いてきた梓種先輩が、強引に会長を引き剥がす。そして、俺が鬘もマスクも取っている事にあからさまに驚いていた。
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「おい、副委員長。お前、壱瀬となんの関係だ?」
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「違います違います」
あぁ、なんでこんな事に。なんか梓種先輩もめっちゃ怒ってるし、会長はいい人かと思ったら全然そんな事なさそうだし、最悪だ。新学期早々、最悪すぎる。
「説明しろ」
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「岬ぃ、お前そんな悪さしてたのか? 夜に素顔でガゼボだぁ? 馬鹿なのか?」
「……すみません。気分転換が……したいな、なんて……」
まさか、ちょいちょい抜け出してましたなんて言えるはずもない。況してやどっかの生徒に見られていて、「月の女神様」なんて噂になっているなんて知られたら、俺殺されるんじゃないだろうか。
「変装を解いて過ごしたいんだったら、俺の部屋に来ればいいじゃねぇか」
「え、でも悪いですし」
「俺とお前の仲だろ? 遠慮してんな」
「おい、どういう事だ?」
「うっせぇ、テメェは黙ってろ」
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