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2.消えた平穏
目立ちたくないのに(泣)
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「……離してくれます?」
首でも締めてんのかってくらい肩に回された腕に抱き寄せられている。背後にいるのか姿は見えないが、こんな風に俺に話しかけてくるのは黒毬藻しかいないだろう。
「おい、テメェ……岬を離しやがれ」
「昨日の、考えてくれた?」
「テメェ、無視してんじゃねぇ!」
秀が強引に黒毬藻の腕を俺から引き剥がした。
「お? んだテメェ、やんのか?」
そこでようやく秀の方に関心を向けた黒毬藻は、背筋がゾゾっとしちゃうような低い声で返した。ようやく腕から解放された俺は、大きく深呼吸。普通に苦しかった。
「テメェ、昨日から岬に付きまとってるみてぇだけど、何なんだよ?」
「は? お前こそ何だよ。邪魔してんな」
「邪魔してんのはテメェだろうが!」
ああ、なんかヤバい。ヤバいよヤバいよ。某芸人みたいな語彙力しか無くなるくらいヤバいよ。周囲がざわついてる。明らかに注目されている……!
「ちょ、秀……!」
駄目だ、既に俺のことなど眼中にない。逃げていいかな? 逃げていいよね。
「逃すかよ」
そ~っとその場から離れようとした瞬間、黒毬藻にガッシリと腕を掴まれた。お前こっち見てなかったじゃん。何なの、ホークアイなの? 視界広すぎない?
「っおい、岬に触んな!」
秀が俺を掴んでいる黒毬藻の手を離そうとするも、今度はビクともしなかった。その分、掴まれた腕がギシギシ言いそうなほど力が込められている。めっちゃ痛いんですけど。そして、逃げようとする俺を掴む黒毬藻(握力増し増し)、その腕をさらに掴む秀という謎の陣形が出来上がった。めっちゃ目立っている気がして、恐ろしくて周りを見れない。
「何の騒ぎだ?」
そして、まさかの人物が登場。昨日聞いたばかりだから見ずともすぐに分かってしまった。
「チッ」
「何でもねぇよ」
2人はその人物を見遣り、ようやくそれぞれ手を離してくれた。
「また貴方ですか。問題児としてブラックリストに載りたいんですか?」
続けて届いたその声に、俺は今すぐにでも逃げ出したい衝動に駆られた。生徒会長だけでなく、副会長もいるらしい。周囲からは既に黄色い声が飛び交っている。
「何だよ、副会長サン。嫉妬か? そんなに俺が気になるなら、素直に抱いてくださいって言えよ」
「誰が言いますか! 一応言っておきますけど私タチなんで、貴方に一切の興味はありません」
「タチとかンなの関係ねぇって」
「貴方のような不潔な人間には近寄りたくもありません。半径5メートルには近寄らないでください」
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「テメェ、無視してんじゃねぇ!」
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「テメェ、昨日から岬に付きまとってるみてぇだけど、何なんだよ?」
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「誰が言いますか! 一応言っておきますけど私タチなんで、貴方に一切の興味はありません」
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