28 / 52
2.消えた平穏
目立ちたくないのに(泣)
しおりを挟む
「……離してくれます?」
首でも締めてんのかってくらい肩に回された腕に抱き寄せられている。背後にいるのか姿は見えないが、こんな風に俺に話しかけてくるのは黒毬藻しかいないだろう。
「おい、テメェ……岬を離しやがれ」
「昨日の、考えてくれた?」
「テメェ、無視してんじゃねぇ!」
秀が強引に黒毬藻の腕を俺から引き剥がした。
「お? んだテメェ、やんのか?」
そこでようやく秀の方に関心を向けた黒毬藻は、背筋がゾゾっとしちゃうような低い声で返した。ようやく腕から解放された俺は、大きく深呼吸。普通に苦しかった。
「テメェ、昨日から岬に付きまとってるみてぇだけど、何なんだよ?」
「は? お前こそ何だよ。邪魔してんな」
「邪魔してんのはテメェだろうが!」
ああ、なんかヤバい。ヤバいよヤバいよ。某芸人みたいな語彙力しか無くなるくらいヤバいよ。周囲がざわついてる。明らかに注目されている……!
「ちょ、秀……!」
駄目だ、既に俺のことなど眼中にない。逃げていいかな? 逃げていいよね。
「逃すかよ」
そ~っとその場から離れようとした瞬間、黒毬藻にガッシリと腕を掴まれた。お前こっち見てなかったじゃん。何なの、ホークアイなの? 視界広すぎない?
「っおい、岬に触んな!」
秀が俺を掴んでいる黒毬藻の手を離そうとするも、今度はビクともしなかった。その分、掴まれた腕がギシギシ言いそうなほど力が込められている。めっちゃ痛いんですけど。そして、逃げようとする俺を掴む黒毬藻(握力増し増し)、その腕をさらに掴む秀という謎の陣形が出来上がった。めっちゃ目立っている気がして、恐ろしくて周りを見れない。
「何の騒ぎだ?」
そして、まさかの人物が登場。昨日聞いたばかりだから見ずともすぐに分かってしまった。
「チッ」
「何でもねぇよ」
2人はその人物を見遣り、ようやくそれぞれ手を離してくれた。
「また貴方ですか。問題児としてブラックリストに載りたいんですか?」
続けて届いたその声に、俺は今すぐにでも逃げ出したい衝動に駆られた。生徒会長だけでなく、副会長もいるらしい。周囲からは既に黄色い声が飛び交っている。
「何だよ、副会長サン。嫉妬か? そんなに俺が気になるなら、素直に抱いてくださいって言えよ」
「誰が言いますか! 一応言っておきますけど私タチなんで、貴方に一切の興味はありません」
「タチとかンなの関係ねぇって」
「貴方のような不潔な人間には近寄りたくもありません。半径5メートルには近寄らないでください」
首でも締めてんのかってくらい肩に回された腕に抱き寄せられている。背後にいるのか姿は見えないが、こんな風に俺に話しかけてくるのは黒毬藻しかいないだろう。
「おい、テメェ……岬を離しやがれ」
「昨日の、考えてくれた?」
「テメェ、無視してんじゃねぇ!」
秀が強引に黒毬藻の腕を俺から引き剥がした。
「お? んだテメェ、やんのか?」
そこでようやく秀の方に関心を向けた黒毬藻は、背筋がゾゾっとしちゃうような低い声で返した。ようやく腕から解放された俺は、大きく深呼吸。普通に苦しかった。
「テメェ、昨日から岬に付きまとってるみてぇだけど、何なんだよ?」
「は? お前こそ何だよ。邪魔してんな」
「邪魔してんのはテメェだろうが!」
ああ、なんかヤバい。ヤバいよヤバいよ。某芸人みたいな語彙力しか無くなるくらいヤバいよ。周囲がざわついてる。明らかに注目されている……!
「ちょ、秀……!」
駄目だ、既に俺のことなど眼中にない。逃げていいかな? 逃げていいよね。
「逃すかよ」
そ~っとその場から離れようとした瞬間、黒毬藻にガッシリと腕を掴まれた。お前こっち見てなかったじゃん。何なの、ホークアイなの? 視界広すぎない?
「っおい、岬に触んな!」
秀が俺を掴んでいる黒毬藻の手を離そうとするも、今度はビクともしなかった。その分、掴まれた腕がギシギシ言いそうなほど力が込められている。めっちゃ痛いんですけど。そして、逃げようとする俺を掴む黒毬藻(握力増し増し)、その腕をさらに掴む秀という謎の陣形が出来上がった。めっちゃ目立っている気がして、恐ろしくて周りを見れない。
「何の騒ぎだ?」
そして、まさかの人物が登場。昨日聞いたばかりだから見ずともすぐに分かってしまった。
「チッ」
「何でもねぇよ」
2人はその人物を見遣り、ようやくそれぞれ手を離してくれた。
「また貴方ですか。問題児としてブラックリストに載りたいんですか?」
続けて届いたその声に、俺は今すぐにでも逃げ出したい衝動に駆られた。生徒会長だけでなく、副会長もいるらしい。周囲からは既に黄色い声が飛び交っている。
「何だよ、副会長サン。嫉妬か? そんなに俺が気になるなら、素直に抱いてくださいって言えよ」
「誰が言いますか! 一応言っておきますけど私タチなんで、貴方に一切の興味はありません」
「タチとかンなの関係ねぇって」
「貴方のような不潔な人間には近寄りたくもありません。半径5メートルには近寄らないでください」
1
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
真冬の痛悔
白鳩 唯斗
BL
闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。
ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。
主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。
むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!
柑橘
BL
王道詰め合わせ。
ジャンルをお確かめの上お進み下さい。
7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです!
※目線が度々変わります。
※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。
※火曜日20:00
金曜日19:00
日曜日17:00更新
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる