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1.開幕
サボりの定番ポイント
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「いいじゃん、大丈夫だって! どんなに美少年でも、無理に周囲にバラすようなことはしないから! ただ、ちょ~っとイケメン達とお近づきになって欲しいなとは思ってるけど」
それが大問題なんだよな。なんかしでかしそうで怖いというか……。
「なぁ、頼むよぉ。俺の輝かしく充実した夢のBLライフの為にもさぁ!」
腐男子とは誰しもがこんな自分勝手なものなのだろうか。いや、多分コイツだけが異常なのだと思いたい。何が悲しくて人の趣味のための贄にならなければならないのか。頼むから勝手に漫画とかそういった二次元のもので萌えてほしい。いや、人を巻き込まないなら三次元に萌えていたって全然いいんだけどさ……。
多分、俺の平穏な学生ライフの為に一番素顔を知られてはならないのはコイツだ。天敵はあまりにも身近にいる。
「あ、あの……無理だから、その、ごめん!」
「! うおっ!?」
そして俺は、道添を突き飛ばして駆け出した。アイツ軽いのか、ちょっと突き飛ばしただけなのに尻餅をついていた。まぁ、あまりしつこいと痛い目を見るという教訓にして欲しい。南無。
俺は学力も高いが、運動神経だって結構いい。割と本気で走ったから、ついて来ている気配はなかった。
もうとっくに6限目が始まっている時間なので、校舎内はとても静かだ。クラスに向かってもいいけれど、どうせ遅刻だし授業中に入って注目を浴びることはしたくない。クラス内で俺の存在感は限りなく薄いはずだし窓際一番後ろの席という安置なので、いなくても気付かれないだろう。
ということで、サボり決定。どこに行こうかなぁ。
屋上は不良がいるかもしれないけど、多分大体のサボり魔は中央棟や音楽室や家庭科室などが
揃っている南棟の屋上にいるのが定番。用がなければ立ち入らないような特別棟の屋上に来る人はいないんじゃないかと思う。
ということで、早速屋上に向かう。エレベーターを使って万が一生徒会役員と出会したら事なので、面倒だけど階段を使う。階段を使う役員なんていないだろうしね。
よっ、と一段飛ばしで駆け上がり、屋上の扉を開ける。パッと見誰もいないようで一息吐きながら、フェンス近くへと向かった。
まだ新学期も始まったばかりの4月。春といえど肌寒い季節だけど、今日は風もなく快晴のためポカポカしていた。うむ。絶好の屋上サボり日和。
階段を駆け上がって来たせいか少し息が上がっていたので、良き位置に辿り着いたところでゴロリと仰向けに寝転んだ。前髪がずれて、片目だけ開放感が増す。青い空が眩しい。雲ひとつない
空は混じり気のない薄水色で、空に溶け込んでいくような心地になった。
特別棟からグラウンドは見えないのに、元気すぎる男子高生の声が時折俄かに聞こえてくる。それ以外の雑音は全くなくて、とても静かだ。穏やかな昼下がり。これぞ平和。静かで穏やかな時間はとても好きだ。
平穏を甘受するように目を閉じる。こんなに穏やかで平和なのだから、昼寝しなきゃ損という気持ちになる。眠りは浅い方なので、チャイムが鳴ったら起きるだろう。
それが大問題なんだよな。なんかしでかしそうで怖いというか……。
「なぁ、頼むよぉ。俺の輝かしく充実した夢のBLライフの為にもさぁ!」
腐男子とは誰しもがこんな自分勝手なものなのだろうか。いや、多分コイツだけが異常なのだと思いたい。何が悲しくて人の趣味のための贄にならなければならないのか。頼むから勝手に漫画とかそういった二次元のもので萌えてほしい。いや、人を巻き込まないなら三次元に萌えていたって全然いいんだけどさ……。
多分、俺の平穏な学生ライフの為に一番素顔を知られてはならないのはコイツだ。天敵はあまりにも身近にいる。
「あ、あの……無理だから、その、ごめん!」
「! うおっ!?」
そして俺は、道添を突き飛ばして駆け出した。アイツ軽いのか、ちょっと突き飛ばしただけなのに尻餅をついていた。まぁ、あまりしつこいと痛い目を見るという教訓にして欲しい。南無。
俺は学力も高いが、運動神経だって結構いい。割と本気で走ったから、ついて来ている気配はなかった。
もうとっくに6限目が始まっている時間なので、校舎内はとても静かだ。クラスに向かってもいいけれど、どうせ遅刻だし授業中に入って注目を浴びることはしたくない。クラス内で俺の存在感は限りなく薄いはずだし窓際一番後ろの席という安置なので、いなくても気付かれないだろう。
ということで、サボり決定。どこに行こうかなぁ。
屋上は不良がいるかもしれないけど、多分大体のサボり魔は中央棟や音楽室や家庭科室などが
揃っている南棟の屋上にいるのが定番。用がなければ立ち入らないような特別棟の屋上に来る人はいないんじゃないかと思う。
ということで、早速屋上に向かう。エレベーターを使って万が一生徒会役員と出会したら事なので、面倒だけど階段を使う。階段を使う役員なんていないだろうしね。
よっ、と一段飛ばしで駆け上がり、屋上の扉を開ける。パッと見誰もいないようで一息吐きながら、フェンス近くへと向かった。
まだ新学期も始まったばかりの4月。春といえど肌寒い季節だけど、今日は風もなく快晴のためポカポカしていた。うむ。絶好の屋上サボり日和。
階段を駆け上がって来たせいか少し息が上がっていたので、良き位置に辿り着いたところでゴロリと仰向けに寝転んだ。前髪がずれて、片目だけ開放感が増す。青い空が眩しい。雲ひとつない
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特別棟からグラウンドは見えないのに、元気すぎる男子高生の声が時折俄かに聞こえてくる。それ以外の雑音は全くなくて、とても静かだ。穏やかな昼下がり。これぞ平和。静かで穏やかな時間はとても好きだ。
平穏を甘受するように目を閉じる。こんなに穏やかで平和なのだから、昼寝しなきゃ損という気持ちになる。眠りは浅い方なので、チャイムが鳴ったら起きるだろう。
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