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1.開幕
誤解です
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「あ、あの……首はその、やめて欲しいなぁ、なんて……」
「なに、首弱いの?」
「えー……先輩……エロオーラしまって!」
「んだよ、エロオーラって」
くすりと笑いながら、先輩の指が首を辿って耳元を擽る。R指定が過ぎますパイセン。今のこの状況、梓種先輩の親衛隊に見られたら秒で殺される自信があります、はい。
距離を取らねばと思うのに、こうして先輩にからかわれると体がうまく動かない。絶対に俺で遊んでやがる。
「からかわないで欲しいっす、セツジツに」
「からかってねぇ、って言ったら?」
「ひえぇ……」
笑む口元が近くなる。お戯れが過ぎます先輩!
——コンコン
部屋をノックする音に、体が跳ねた。続けてガチャリと鍵が開く音が聞こえて、慌てて前髪を元に戻す。マスクを付ける余裕はなかった。
あぁ、委員長に鍵は意味がないですよね。そういえば委員長と副委員長は、どの部屋の鍵も開けるようにカードに仕組まれていたんだった。
「……なーにしてんの、梓種。鍵まで掛けちゃって」
どう見たって取り調べ中とは思えない俺と梓種先輩の距離感。普通なら机を挟んで座っているだろうに、今はお隣同士。これは……勘違いが捗りますね。
「邪魔すんなよ、剣真」
「えー、岬君と梓種って、そうなんだ?」
「ち、違いま「そうだよ」す……って、ちょ、梓種先輩!?」
なにを言ってくれちゃってんの、この人!? 委員長って冗談が通じるようで通じなさそうだから、変な勘違いさせないでくれるかな!?
「ふぅーん、〝梓種〟先輩、ねぇ」
げぇ! 俺もミスってんじゃん!? 馬鹿かよ、動揺してんなよ俺!
「まー俺と岬は仲良しだからな。な、岬?」
「えぇー……誤解を生む発言はやめてください、副委員長サマ」
「梓種って呼べよ」
「遠慮しておきます……」
梓種先輩に揶揄われることは多いけど、今日はなんかしつこいな? 顔がニヤついてるし、絶対に面白がってるだろ!? くそ、突き飛ばしてー。
「まぁいいや。ったく、こっちはもう転校生君と道添君の聴取も終わってるってのに、遅いと思ったら……」
「はは、そりゃ失礼」
「岬君も、もう帰っていいからね。あの転校生君には注意しておいたけど……また何かあったら風紀を頼ってくれていいから」
「あ、はい……ありがとうございます」
机に置きっぱなしだったマスクをいそいそと装着し、立ち上がる。
「じゃーな、岬」
ひらひらと手を振る梓種先輩に会釈して、委員長にも挨拶をして取調べ室を出る。もう道添の姿もなくて、風紀室では委員達がデスクワークのごとくカチカチとキーボードを叩いていた。室内にはコーヒーの香りが広がっていて、本当に会社のオフィスのようだ。
チラチラと視線が飛んでくるのが居心地悪く、失礼しますと言いながら横切り、風紀室を出た。
すると、扉の横に道添の姿。一応待っていてくれたらしい。黒毬藻の姿はなく、ちょっと安心だ。
「なに、首弱いの?」
「えー……先輩……エロオーラしまって!」
「んだよ、エロオーラって」
くすりと笑いながら、先輩の指が首を辿って耳元を擽る。R指定が過ぎますパイセン。今のこの状況、梓種先輩の親衛隊に見られたら秒で殺される自信があります、はい。
距離を取らねばと思うのに、こうして先輩にからかわれると体がうまく動かない。絶対に俺で遊んでやがる。
「からかわないで欲しいっす、セツジツに」
「からかってねぇ、って言ったら?」
「ひえぇ……」
笑む口元が近くなる。お戯れが過ぎます先輩!
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部屋をノックする音に、体が跳ねた。続けてガチャリと鍵が開く音が聞こえて、慌てて前髪を元に戻す。マスクを付ける余裕はなかった。
あぁ、委員長に鍵は意味がないですよね。そういえば委員長と副委員長は、どの部屋の鍵も開けるようにカードに仕組まれていたんだった。
「……なーにしてんの、梓種。鍵まで掛けちゃって」
どう見たって取り調べ中とは思えない俺と梓種先輩の距離感。普通なら机を挟んで座っているだろうに、今はお隣同士。これは……勘違いが捗りますね。
「邪魔すんなよ、剣真」
「えー、岬君と梓種って、そうなんだ?」
「ち、違いま「そうだよ」す……って、ちょ、梓種先輩!?」
なにを言ってくれちゃってんの、この人!? 委員長って冗談が通じるようで通じなさそうだから、変な勘違いさせないでくれるかな!?
「ふぅーん、〝梓種〟先輩、ねぇ」
げぇ! 俺もミスってんじゃん!? 馬鹿かよ、動揺してんなよ俺!
「まー俺と岬は仲良しだからな。な、岬?」
「えぇー……誤解を生む発言はやめてください、副委員長サマ」
「梓種って呼べよ」
「遠慮しておきます……」
梓種先輩に揶揄われることは多いけど、今日はなんかしつこいな? 顔がニヤついてるし、絶対に面白がってるだろ!? くそ、突き飛ばしてー。
「まぁいいや。ったく、こっちはもう転校生君と道添君の聴取も終わってるってのに、遅いと思ったら……」
「はは、そりゃ失礼」
「岬君も、もう帰っていいからね。あの転校生君には注意しておいたけど……また何かあったら風紀を頼ってくれていいから」
「あ、はい……ありがとうございます」
机に置きっぱなしだったマスクをいそいそと装着し、立ち上がる。
「じゃーな、岬」
ひらひらと手を振る梓種先輩に会釈して、委員長にも挨拶をして取調べ室を出る。もう道添の姿もなくて、風紀室では委員達がデスクワークのごとくカチカチとキーボードを叩いていた。室内にはコーヒーの香りが広がっていて、本当に会社のオフィスのようだ。
チラチラと視線が飛んでくるのが居心地悪く、失礼しますと言いながら横切り、風紀室を出た。
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