蜜葉

夏蜜

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梅雨入り

12

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 湊は高城が高校生のとき、部活動の練習試合で怪我をしたさい、手当を受けた病院にたまたま入院していた患者だった。
 バスケットボールの強豪校との練習試合が前日に迫り、シューターとして一段と部活動に専念したことが体へ響いたのだろう。当日の練習試合の最中、肉離れを引き起こした高城は顧問に連れられ、休日の総合病院へ急患扱いで行く始末となった。
 右のふくらはぎの腫れが酷く、痛みも強かったため、ギプスで固定した患部を度々医者に診せに行くことが湊と引き合うきっかけになったと言ってもいい。怪我によって、エースとしての道を閉ざされかねない憂鬱に否まれていた高城に、しばしば声を掛けてきたのが湊だった。

 湊は看護師の目を盗んではよく病棟を抜け出して、一階の広い待合室に来ていた。無料でジュース類の飲み物が提供されているほか、テレビや雑誌等も揃っているため、まだ子どもの湊にとって病室は退屈な空間だったのだろう。
 中学生にしては華奢で背も低く、肌も色白であったが、腰を痛めてるいということもあって移動には車椅子を使っている以外は普通の少年であった。
 そんな湊と、ストーカーと被害者という立場で再び巡り会うとは……。 
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