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若旦那の依頼
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朝陽が優しく瞼を刺激する。いつの間にか夜が明けていた。静謐な時間が経つうち、千日は漸く昨夜の悪夢から目覚めたのだと自覚する。軽く伸びをして、寝返りを打つ。すると半分ほどしか躰が回らず、頚をさらに捻った千日は思わずぎょっとした。
「おはようございます」
半裸の八雲が微笑みを湛え、敷き布団の半分を占領している。いつ自宅に戻ったのだろう。気がつかなかった。彼は動転する千日にすり寄り、耳に口を寄せて囁く。
「……最高でした。千日さんの仕事」
意味を呑み込む前に、八雲の顔が近づいて唇に触れる。千日は咄嗟に八雲を撥ね除け距離を取った。だが、依頼人に無礼を働いたとすぐに頭を下げる。
「す、すみません。でも……これは一体」
八雲は上体を起こして膝を折り、千日に向き直った。八雲は下着すら身につけていない状態であり、その姿はどこか艶かしく千日を惹きつける。
「実は僕、夢遊病らしくて。頻繁に外を歩きに出ちゃうんです。それだけならまだしも、無意識に性行為をしてるみたいで……。朝になると躰が汚れているし、誰と致したかも覚えていない自分が嫌でした。だから、セックスの相手に貴方をわざわざ呼んで、不特定多数の人と交わらないようにしたかったんです」
滔滔と話し終えた八雲は反応に困っている千日と再び距離を縮め、縋るような目つきで瞳の奥底を映す。つまり不審者と思われた足音は八雲で、躰に覚えた鮮明な感触も八雲によるものだったのだ。
「ごめんなさい、騙すようなことをして……」
「じゃあ、昨夜私は風神さんと……ですか?」
「でも、いつもは気持ちの悪い朝が今日は気分が良いんです。千日さんとは今日で別れてしまうけど、僕の中に残っている温もりが忘れられないくらい激しかった」
八雲は衣をたくって臀部を露にし、蕾に人差し指と中指を入れる。内部を掻きだして溢れる吐瀉物が、昨夜の悪夢が嘘でないことをまざまざと教えていた。
「……ふふ、千日さんったら僕のこんなはしたない姿に興奮するなんて厭らしい」
八雲の視線が千日の欲情した部位に絡む。もう依頼は済んで、後は報酬と交通費を貰って帰るだけだった。だが、本当にそれだけで充分なのか。
「我慢しないで。なんなら僕も貴方にあげるから」
八雲の色香が千日のトリガーを引く。まだ仕事は終わっていない。
「おはようございます」
半裸の八雲が微笑みを湛え、敷き布団の半分を占領している。いつ自宅に戻ったのだろう。気がつかなかった。彼は動転する千日にすり寄り、耳に口を寄せて囁く。
「……最高でした。千日さんの仕事」
意味を呑み込む前に、八雲の顔が近づいて唇に触れる。千日は咄嗟に八雲を撥ね除け距離を取った。だが、依頼人に無礼を働いたとすぐに頭を下げる。
「す、すみません。でも……これは一体」
八雲は上体を起こして膝を折り、千日に向き直った。八雲は下着すら身につけていない状態であり、その姿はどこか艶かしく千日を惹きつける。
「実は僕、夢遊病らしくて。頻繁に外を歩きに出ちゃうんです。それだけならまだしも、無意識に性行為をしてるみたいで……。朝になると躰が汚れているし、誰と致したかも覚えていない自分が嫌でした。だから、セックスの相手に貴方をわざわざ呼んで、不特定多数の人と交わらないようにしたかったんです」
滔滔と話し終えた八雲は反応に困っている千日と再び距離を縮め、縋るような目つきで瞳の奥底を映す。つまり不審者と思われた足音は八雲で、躰に覚えた鮮明な感触も八雲によるものだったのだ。
「ごめんなさい、騙すようなことをして……」
「じゃあ、昨夜私は風神さんと……ですか?」
「でも、いつもは気持ちの悪い朝が今日は気分が良いんです。千日さんとは今日で別れてしまうけど、僕の中に残っている温もりが忘れられないくらい激しかった」
八雲は衣をたくって臀部を露にし、蕾に人差し指と中指を入れる。内部を掻きだして溢れる吐瀉物が、昨夜の悪夢が嘘でないことをまざまざと教えていた。
「……ふふ、千日さんったら僕のこんなはしたない姿に興奮するなんて厭らしい」
八雲の視線が千日の欲情した部位に絡む。もう依頼は済んで、後は報酬と交通費を貰って帰るだけだった。だが、本当にそれだけで充分なのか。
「我慢しないで。なんなら僕も貴方にあげるから」
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