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67.トニトゥルス国編〔4〕
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挨拶が終わると、トニトゥルス国の王城の中にある部屋まで案内された。
ジルとラクス様は夜中に王城を抜け出して民の様子も探る予定だ。その為、私とジルの寝室は別々になっている。ジルはぼやいていたし私も寂しかったけど、流石に今回はそんな事言っていられない。
ちなみに、ジルとラクス様はジルの風魔法で王城から抜け出す作戦だ。
ジルの魔法のスキルが上がっている気がしたので尋ねてみると、なんとジル様は日々魔法の特訓をして改善しているらしい! 『フィーを守る為にも当たり前でしょ』と軽く言われた時は、久々に自分のポンコツぶりを自覚してちょっぴり凹んだ。
王城の中はあまり人気が無くて、トニトゥルス国側の侍女たちとかが周りをウロウロしていないのは好都合だ。私たちは部屋に案内されると今後の予定の最終確認を行う。
「じゃあ、エステラとマノンは絶対にフィーの元を離れないでね。3人で必ず行動すること。寝室も続き部屋になっているから、フィーも何かあったら2人の所に行くように」
「大丈夫だよ、ジルってば心配性だね」
私1人になるといっても、寝室で一体何があると言うのだろう。一応私ってば王族でしょ~。
「……僕とラクスはこっちの部屋にいるから、何かあったらすぐに連絡すること。ーーーやはり夜間だと情報収集量に限界がある。僕は表向きの外交をこなしたら予定通り体調不良になるから、その間フィーはくれぐれも無理をしないこと。いいね」
心配性のジルは何度も何度も念押しをする。私ってばそんなに子どもかなぁ。私だって出来るんだぞ! とメラメラとやる気が出てくる。
「……フィー、あまり意気込まないでね……」
何故かジルが心配そうに私を見つめてくる。むむむ。そんなに信用ないのかぁ私って!
その晩、早速歓迎会が行われることになった。その前にトニトゥルス国の民族衣装へと着替える。この流れもだいぶ恒例になってきたから、もう何がきても私は驚かないっ!
と腹を括って衣装を着てみると、それは着物というか、漢服のような衣装だった。
前合わせの着物のような衣を着ると、胸の下側からひらひらしたスカートを更に着る。そこを帯で結んで止めれば出来上がりだ。
髪の色に合わせてくれたのか、衣は青みがかった色で、スカートも青っぽい色合いの透かしが入ったものですごく可愛かった。
和装っぽい感じがして、めちゃくちゃテンションが上がる。しかもちょっと湿度が高めのトニトゥルス国では、この服はすごく楽だ。
「フィーリアス様、とてもお美しいですわ……」
うっとりとした表情でエステラが褒めてくれる。
「ありがとう。エステラもマノンもすっごく可愛いね」
流石に着付けの時にはトニトゥルス国の侍女たちが来てくれて、髪を結って頭に色々と飾りを付けてくれた。これも簪に近くて何だかワクワクする。
マノンは新しい髪型を覚えようと必死に私の髪を観察していた。
「……フィーっ! ……すごく綺麗だ……」
ジルとラクス様も着替え終わったようで、部屋に入ってきた。
男性陣も漢服に近い感じの衣装で、漆黒の生地に紅い刺繍が施してある前合わせの衣の下に、同じ生地で出来たズボンを履いていて、それを帯で止めている。
ジルもラクス様もすごい似合ってて、超絶眼福である。
ふとマノンを見ると、涙を流しながら拝んでいた。
……うん。分かる、分かるよ~マノン~……
案内された広間に入ると、皆民族衣装を着ていた。そう言えば支度を手伝ってくれた侍女さん達も、和装と言うか漢服っぽいのを着ていた。王都にいる人々もそうだったし、トニトゥルス国ではこの衣装の方が主流なのかもしれない。
確かに、湿度が高めのトニトゥルス国ではこっちの方が動きやすいし便利だと思う。
「……フィーリアス……よく似合っているな……」
グローム陛下がぽそりと呟いた。
「わざわざ衣装を用意していただき、ありがとう存じます」
全体的に和装っぽい感じがしてテンション爆上がりの私は、にっこり笑ってお礼を言う。
「……気にするな……それは我妻の衣だ……」
えっ!! 王妃様の衣装って事!?? 確かトニトゥルス国の王妃様は、3年前に亡くなられていたはず。
え? え?? ってことは形見の衣装を私が着ているの?? え? 大丈夫それって??
「フィーリアス様、安心なさって下さい。母は衣装持ちでしたので、そのような衣が山のようにあるのです。誰も着ないでいるよりも、そうして着てくださったほうが衣も喜びます」
ラアド様が助け舟を出してくれた。
……はぁはぁ心臓に悪い……いやいや、でもいいの本当に?……
とにかく、汚さないようにしないと、といつも以上に気をつけることにした。
トニトゥルス国での歓迎会では、なんとなんとなんとっ!
ーーーお粥が出たのです~!
もちろんお米のお粥ねっ! 鶏ガラっぽい出汁が効いたお粥は、中華粥に近い感じだと思う。
それでもそれでも、この間食べれなかったお粥さんが食べれて、私はもう涙を流す勢いでお粥を食した。
「フィーリアス様はジョゥを気に入ったようですね」
にこにこしながら美少年のレェイ様が話しかけてくれる。
「はい、ジョゥと言うのですね。とっても美味しいです」
私もレェイ様につられてにこにこと答えた。美味しいご飯をにこにこしながら食べるのってサイコーだよね!
「ふふふ。フィーリアス様は僕より歳が上でいらっしゃるのに、とても無邪気ですね」
……あぅ。歳下のレェイ様の無邪気な発言に、淑女の仮面がどっかに転がり落ちていた事に気が付いた私は、ちょっと青ざめた。
「レェイ、フィーリアス様に失礼だろう」
「すいません、フィーリアス様がとても可愛らしかったので……」
罰が悪そうにするレェイ様だけど、歳下に可愛らしいと言われ私こそ罰が悪くなった。
「……トニトゥルス国では、リースが主食なのですよね? 半年ほど前に、ソルム国と国交回復の条約を結び食糧支援も行ったのですが、トニトゥルス国はあまり食料の輸入をされていないので気になっておりました。……自給自足で賄っているのでしょうか?」
ジルがサラッと話を変えてくれた。……良かった~。
「……食料は足りている……」
「……そうですね。リースが主食ですので、取り敢えず我が国では自給自足の部分でなんとかやっていけている状態です」
相変わらず無口なグローム陛下を、ラアド様がその言葉を補い適切な表現をつけ加えてくれる。
ラアド様、もはや通訳レベルですね。
……グラキエス様の話でトニトゥルス国でも食料問題を抱えているって聞いてたけど、支援が必要なソルム国ほどではないのかな?
どちらにせよ、その部分も含めてジルとラクス様が調査しているのだろう。
私は表向きの訪問団として、探っていかなきゃねっ!
ちょっと危なかった歓迎会も無事終わって、寝室に戻ると夜着に着替える。夜着も準備してくれている物に着替えさせてもらった。
いや~だって浴衣みたいな、襦袢みたいなやつですごく楽だったんだもん。和装っぽくてテンション上げ上げだしね。
寝る前にジルの顔が見たいなぁ、とか思いながらお布団に行く気になれず、1人でぼーっと窓から外の景色を眺めていた時だ。
ーーーコンコン
「フィー? 入るよ?」
ジルがノックをして寝室へ入ってきた。ジルはさっき着ていたよりも上の衣の丈が短くて、給仕してくれた人達が着ていたような衣装に身を包んでいた。
その上から衣を羽織っているので、ぱっと見は先ほどとイメージが変わらない。
「ジル、もう出るの?」
私はジルの元へ駆け寄ると、そっと耳元へ囁いて尋ねる。周囲に侍女はいないとはいえ、スパイ紛いな事をしているわけなので、コソコソしたくなるのが人情だ。
「フィー可愛い……」
何故かジルがぎゅっと抱きしめてきた。少しジル不足気味だったので、私もジルを抱きしめる。
抱きしめながら、ジルが私の耳元で囁く。
「……フィー。ジョゥって、もしかして病気の時フィーが食べたかったやつ?」
「えっ!? なんで分かったのっ!??」
わーーーっ!! 相変わらずのジル様高スペック脳みそが凄すぎる~っ!
何だか私の全てが筒抜けのような気がして、本当私って分かりやすい子なんだなぁとちょっと凹む。
「僕はフィーの事ばっかり考えているからね。……フィーの全てが知りたいし……」
「いや、もうジルは私の全てを知ってるよ……」
バレバレじゃないですか。隠し事なんて出来ませんよマジで。
「ふふふ。まだまだ全然だよ。フィーは僕が考えもしない事を、たまにやるからね」
えーーーそうかな? そんな事ないと思うけど……た、多分?
「……はぁ。フィーが足りない……この夜着も本当ヤバいし……フィーは相変わらず危機感ないし……」
ジルが更に私をぎゅぅっと抱きしめながら、何だかボヤいている。
……えっと、危機感あるよ? スパイ大作戦だもんね?
「……名残惜しいけど、そろそろ行くね」
そう言うと、ジルは私に口付けをしてくれる。寂しかった私も、ジルに縋り付くようにキスを交わす。
「……はぁ……このまま押し倒したい……」
「…うん、それはまた落ち着いたらだね。ーージル、気を付けてね……」
私は最後にジルに軽くキスすると、部屋から出るジルを扉まで見送った。
ーーー何だかんだ言って私もかなり寂しくって、その夜はなかなか寝付けなかった。
ジルとラクス様は夜中に王城を抜け出して民の様子も探る予定だ。その為、私とジルの寝室は別々になっている。ジルはぼやいていたし私も寂しかったけど、流石に今回はそんな事言っていられない。
ちなみに、ジルとラクス様はジルの風魔法で王城から抜け出す作戦だ。
ジルの魔法のスキルが上がっている気がしたので尋ねてみると、なんとジル様は日々魔法の特訓をして改善しているらしい! 『フィーを守る為にも当たり前でしょ』と軽く言われた時は、久々に自分のポンコツぶりを自覚してちょっぴり凹んだ。
王城の中はあまり人気が無くて、トニトゥルス国側の侍女たちとかが周りをウロウロしていないのは好都合だ。私たちは部屋に案内されると今後の予定の最終確認を行う。
「じゃあ、エステラとマノンは絶対にフィーの元を離れないでね。3人で必ず行動すること。寝室も続き部屋になっているから、フィーも何かあったら2人の所に行くように」
「大丈夫だよ、ジルってば心配性だね」
私1人になるといっても、寝室で一体何があると言うのだろう。一応私ってば王族でしょ~。
「……僕とラクスはこっちの部屋にいるから、何かあったらすぐに連絡すること。ーーーやはり夜間だと情報収集量に限界がある。僕は表向きの外交をこなしたら予定通り体調不良になるから、その間フィーはくれぐれも無理をしないこと。いいね」
心配性のジルは何度も何度も念押しをする。私ってばそんなに子どもかなぁ。私だって出来るんだぞ! とメラメラとやる気が出てくる。
「……フィー、あまり意気込まないでね……」
何故かジルが心配そうに私を見つめてくる。むむむ。そんなに信用ないのかぁ私って!
その晩、早速歓迎会が行われることになった。その前にトニトゥルス国の民族衣装へと着替える。この流れもだいぶ恒例になってきたから、もう何がきても私は驚かないっ!
と腹を括って衣装を着てみると、それは着物というか、漢服のような衣装だった。
前合わせの着物のような衣を着ると、胸の下側からひらひらしたスカートを更に着る。そこを帯で結んで止めれば出来上がりだ。
髪の色に合わせてくれたのか、衣は青みがかった色で、スカートも青っぽい色合いの透かしが入ったものですごく可愛かった。
和装っぽい感じがして、めちゃくちゃテンションが上がる。しかもちょっと湿度が高めのトニトゥルス国では、この服はすごく楽だ。
「フィーリアス様、とてもお美しいですわ……」
うっとりとした表情でエステラが褒めてくれる。
「ありがとう。エステラもマノンもすっごく可愛いね」
流石に着付けの時にはトニトゥルス国の侍女たちが来てくれて、髪を結って頭に色々と飾りを付けてくれた。これも簪に近くて何だかワクワクする。
マノンは新しい髪型を覚えようと必死に私の髪を観察していた。
「……フィーっ! ……すごく綺麗だ……」
ジルとラクス様も着替え終わったようで、部屋に入ってきた。
男性陣も漢服に近い感じの衣装で、漆黒の生地に紅い刺繍が施してある前合わせの衣の下に、同じ生地で出来たズボンを履いていて、それを帯で止めている。
ジルもラクス様もすごい似合ってて、超絶眼福である。
ふとマノンを見ると、涙を流しながら拝んでいた。
……うん。分かる、分かるよ~マノン~……
案内された広間に入ると、皆民族衣装を着ていた。そう言えば支度を手伝ってくれた侍女さん達も、和装と言うか漢服っぽいのを着ていた。王都にいる人々もそうだったし、トニトゥルス国ではこの衣装の方が主流なのかもしれない。
確かに、湿度が高めのトニトゥルス国ではこっちの方が動きやすいし便利だと思う。
「……フィーリアス……よく似合っているな……」
グローム陛下がぽそりと呟いた。
「わざわざ衣装を用意していただき、ありがとう存じます」
全体的に和装っぽい感じがしてテンション爆上がりの私は、にっこり笑ってお礼を言う。
「……気にするな……それは我妻の衣だ……」
えっ!! 王妃様の衣装って事!?? 確かトニトゥルス国の王妃様は、3年前に亡くなられていたはず。
え? え?? ってことは形見の衣装を私が着ているの?? え? 大丈夫それって??
「フィーリアス様、安心なさって下さい。母は衣装持ちでしたので、そのような衣が山のようにあるのです。誰も着ないでいるよりも、そうして着てくださったほうが衣も喜びます」
ラアド様が助け舟を出してくれた。
……はぁはぁ心臓に悪い……いやいや、でもいいの本当に?……
とにかく、汚さないようにしないと、といつも以上に気をつけることにした。
トニトゥルス国での歓迎会では、なんとなんとなんとっ!
ーーーお粥が出たのです~!
もちろんお米のお粥ねっ! 鶏ガラっぽい出汁が効いたお粥は、中華粥に近い感じだと思う。
それでもそれでも、この間食べれなかったお粥さんが食べれて、私はもう涙を流す勢いでお粥を食した。
「フィーリアス様はジョゥを気に入ったようですね」
にこにこしながら美少年のレェイ様が話しかけてくれる。
「はい、ジョゥと言うのですね。とっても美味しいです」
私もレェイ様につられてにこにこと答えた。美味しいご飯をにこにこしながら食べるのってサイコーだよね!
「ふふふ。フィーリアス様は僕より歳が上でいらっしゃるのに、とても無邪気ですね」
……あぅ。歳下のレェイ様の無邪気な発言に、淑女の仮面がどっかに転がり落ちていた事に気が付いた私は、ちょっと青ざめた。
「レェイ、フィーリアス様に失礼だろう」
「すいません、フィーリアス様がとても可愛らしかったので……」
罰が悪そうにするレェイ様だけど、歳下に可愛らしいと言われ私こそ罰が悪くなった。
「……トニトゥルス国では、リースが主食なのですよね? 半年ほど前に、ソルム国と国交回復の条約を結び食糧支援も行ったのですが、トニトゥルス国はあまり食料の輸入をされていないので気になっておりました。……自給自足で賄っているのでしょうか?」
ジルがサラッと話を変えてくれた。……良かった~。
「……食料は足りている……」
「……そうですね。リースが主食ですので、取り敢えず我が国では自給自足の部分でなんとかやっていけている状態です」
相変わらず無口なグローム陛下を、ラアド様がその言葉を補い適切な表現をつけ加えてくれる。
ラアド様、もはや通訳レベルですね。
……グラキエス様の話でトニトゥルス国でも食料問題を抱えているって聞いてたけど、支援が必要なソルム国ほどではないのかな?
どちらにせよ、その部分も含めてジルとラクス様が調査しているのだろう。
私は表向きの訪問団として、探っていかなきゃねっ!
ちょっと危なかった歓迎会も無事終わって、寝室に戻ると夜着に着替える。夜着も準備してくれている物に着替えさせてもらった。
いや~だって浴衣みたいな、襦袢みたいなやつですごく楽だったんだもん。和装っぽくてテンション上げ上げだしね。
寝る前にジルの顔が見たいなぁ、とか思いながらお布団に行く気になれず、1人でぼーっと窓から外の景色を眺めていた時だ。
ーーーコンコン
「フィー? 入るよ?」
ジルがノックをして寝室へ入ってきた。ジルはさっき着ていたよりも上の衣の丈が短くて、給仕してくれた人達が着ていたような衣装に身を包んでいた。
その上から衣を羽織っているので、ぱっと見は先ほどとイメージが変わらない。
「ジル、もう出るの?」
私はジルの元へ駆け寄ると、そっと耳元へ囁いて尋ねる。周囲に侍女はいないとはいえ、スパイ紛いな事をしているわけなので、コソコソしたくなるのが人情だ。
「フィー可愛い……」
何故かジルがぎゅっと抱きしめてきた。少しジル不足気味だったので、私もジルを抱きしめる。
抱きしめながら、ジルが私の耳元で囁く。
「……フィー。ジョゥって、もしかして病気の時フィーが食べたかったやつ?」
「えっ!? なんで分かったのっ!??」
わーーーっ!! 相変わらずのジル様高スペック脳みそが凄すぎる~っ!
何だか私の全てが筒抜けのような気がして、本当私って分かりやすい子なんだなぁとちょっと凹む。
「僕はフィーの事ばっかり考えているからね。……フィーの全てが知りたいし……」
「いや、もうジルは私の全てを知ってるよ……」
バレバレじゃないですか。隠し事なんて出来ませんよマジで。
「ふふふ。まだまだ全然だよ。フィーは僕が考えもしない事を、たまにやるからね」
えーーーそうかな? そんな事ないと思うけど……た、多分?
「……はぁ。フィーが足りない……この夜着も本当ヤバいし……フィーは相変わらず危機感ないし……」
ジルが更に私をぎゅぅっと抱きしめながら、何だかボヤいている。
……えっと、危機感あるよ? スパイ大作戦だもんね?
「……名残惜しいけど、そろそろ行くね」
そう言うと、ジルは私に口付けをしてくれる。寂しかった私も、ジルに縋り付くようにキスを交わす。
「……はぁ……このまま押し倒したい……」
「…うん、それはまた落ち着いたらだね。ーージル、気を付けてね……」
私は最後にジルに軽くキスすると、部屋から出るジルを扉まで見送った。
ーーー何だかんだ言って私もかなり寂しくって、その夜はなかなか寝付けなかった。
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