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54.アクアラング国編〔1〕

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ふふふふ~。最近の私は鼻歌を思わず歌っちゃうぐらいご機嫌なのだっ!

なぜならっ!


ーーー女子の憧れの的、アクアラング国へ行くことになったからなのですっ!


ご説明します。アクアラング国とは、イグニス国よりも南方に位置するほぼ常夏の国なの。南方が全て海に面しているだけでなく、川や湖など豊かに湧き出る水にも恵まれているアクアラング国のメイン産業と言えば、『美』なのであるっ!
私が今使っているマッサージ用のオイルやソルト入りオイル、化粧水から化粧品、舞踏会の時に使う香水も全てアクアラング国製だったりする。
私のお気に入りはマッサージオイル! 天然の凄くいい匂いがしていて、マッサージの度に匂いからもリラックス効果を得ている、非常に優れものの一品だ。

だけど、ちょっと遠方になるからそこまでガンガン輸入されてきているわけではない。
こっちにはない商品も現地には勿論あるはずっ!
女子であれば皆、こうした事にはとても敏感なのだ。

さてさて。なぜアクアラング国へ行く事になったかと言うと。


ーーーそれは、アクアラング女王陛下に招待されたからなのです。


アクアラング国は、現在唯一女性が君主として即位している国である。
ソルム国での一件が落ち着いて、ジルの体調もやっと元通りになって暫く過ごしていたら、アクアラング国からぜひ王太子夫妻を招待したい、というお手紙が届いたのだ。
私たちがどういった王太子夫婦なのか見てみたいと思ったのだろう。ジルが即位してお互いが君主となったら早々に国を空ける事はできないので、ジルが王太子の内の今が国交を温めるチャンスでもある。

……うん。どこかの国王は平気で国を空けていますけどね……

ちなみに、アクアラング女王陛下はまだ26歳のお若い女王陛下だったりする。
これからを担っていく次世代の君主同士、という事になるからなおの事、お互いの人となりを見る為に一度顔を合わせておきたいのだろう。

と言うわけでっ! 今回はジルも私にお留守番なんて言わないからっ!!


国務にも関わらず、憧れのアクアラング国へ行ける事でテンション爆上がりの私なのでした。
ちなみに、イグニス国よりも暑い国なので、イグニス国の民族衣装をベースにした衣装を持参しようと思っていたんだけど、なぜかジルに反対されて却下になった。
ので、胸元から膝下以外の部分が薄手のレースになっているドレスを持参することになった。

……いや、そもそもドレスのコルセットがしんどいんだよ……



今回も大々的な訪問ではない為、極力随行者の人数を減らしている。ジルは勿論ラクス様を連れて行く。ちなみに、私のお供の侍女として連れて行くのはセリカだ。
今回、セリカにものすごぉぉぉぉくお願いされて。それはもう涙を流しながら。
それだけ頼まれたら断れる訳もなく、また断る理由もない為セリカに同行をお願いした。

最近国務をちょっとお手伝いしてもらったり、と仕事が前よりも増えている。今回の随行だって、前世風に言えば会社の出張みたいなものであって、そんな同行を涙を流しながら頼む、セリカのワーカーホリック気質が気になる今日この頃だ。

……大丈夫かなぁ。仕事量見直した方がいいのかぁ……

まぁ、アクアラング国はマッサージが得意なセリカにとってぜひ一度は行きたい場所だったらしく、いいのかな、と思った。

……ん? 結局それも要は自己啓発であって、やっぱりワーカーホリック!???




アクアラング国まで、馬車で約10日間。
途中イグニス国に寄って、少しだけフェイゴ王太子とシュテアネ王太子妃とお会いした。
フラム国王陛下にソルム国でのお礼を言いたかったけど、なんか不在だった。

……この国マジで大丈夫なの? それとも、非常に優秀な人材を揃えているのか……

お二人も一度アクアラング国へ招待されたらしく、とても楽しかったらしい。

……益々ワクワクしてくるねっ!

ちなみに、今回は長期移動になる為移動期間の間、私とジルは同室で休んでいる。
イグニス国での訪問の件で、私も多くの事を学んだのだ。我慢のしすぎは良くない!
ので、その間毎日ではないけど、色々致しました……まぁ、口でしたり、ゆっくりして外で出したりと……

証拠は残らないようにしているっ!からバレていないと思いたい……
何だかこっち方面でも私成長したなぁ、と自分の成長率の高さに感動を覚える。


ーーーそんなこんなで、憧れのアクアラング国へ到着しましたっ!


♢♢♢


初めて見るアクアラング国は、抜けるような青空がどこまでも広がる広大な国だった。
暑いからカラカラしているイメージだったけど、そこかしこで泉が湧いているので思ったよりカラカラしい感じがしない。まぁ、でもコルセットだと暑いのは否めないんだけどね。
暑い国だからか、王城は吹き抜けた造りになっていて風が通るようになっている。
その為、何だかより一層開放的な感じがしてくる。

「遠路はるばる、よくきたな。ジルヴェール、フィーリアス、気を楽にして良いぞ」

初めてお会いするメーア・マレ・アクアラング陛下は、それはもう飛び抜けるような美女であった。

蜂蜜色をした艶やかで腰まである髪をゆらゆらと揺らめかせ、くびれた腰をさらに強調させている。また、物凄く豊かで溢れんばかりの乳房は、胸元が大きく開いたドレスから実際溢れ出ており、ふるふると呼吸のたびに揺れている。

……というか、下乳出ています。エロすぎですよそのドレス。

ドレスには太腿までスリットが入っている為、そのスリットから覗く白い脚が艶かしすぎてマジでヤバいです。

「メーア・マレ・アクアラング 陛下におかれましては、ご健勝のこととお慶び申し上げます。この度はご招待賜りましてありがとうございます」

ジル様は相変わらず、そつなくさらりと爽やかに挨拶をする。
ポンコツな私は、ふるいつきたくなるような美女の登場にしっかり目を奪われておりました。

「メーア・マレ・アクアラング 陛下、この度はお招きいただきまして、誠にありがとう存じます」

とりあえずにっこり笑って挨拶だけはしておく。

「そのように肩苦しいのは嫌いだ。楽にしてよい。ーーー何より其方ら2人は本当に綺麗だ。観ていて飽きんなぁ」

うっとりするような眼差しを美女に向けられ、ドキドキする。

……というかこの思考、なんかエステラを彷彿とさせるものがある……

「では、早速長旅であった其方らを歓迎せねばな」

そう言ってメーア陛下が手を叩くと、私たちとジルは別々の方向へ案内される。
ここでジルと別れる事に不安がよぎる。

「……ジル……」
「ふふふ。フィーリアスはジルヴェールが愛しくて堪らないのだな。安心しろ、フィーリアス。別に取って食ったりはせん。其方らに、アクアラング国流のおもてなしをしてやるのだ」

そこまで言われたら一応王太子妃なので覚悟をしないといけないでしょう。

というわけで、私は侍女たちに連れられて別室へと案内されていく。
セリカはどうも別に案内されるらしく、なんと私はここに来て1人になってしまったのだっ!
異国の地で1人になる事に、少しだけ不安でドキドキする心が抑えられなかった。

……なんかあったら、ヒーリングスモッグで皆眠らせちゃおう……

こっそりと心に誓っていると、モクモクと蒸気が出ているような部屋に案内された。

「では、こちらでお召し物を全て脱いでいただきます」

アクアラング国の侍女さんにそう言われた私は、まさかの異国で丸裸にされてしまった。

……ひぃぃっ! セリカとかにいつもマッサージされてはいるけど、こんな身も知らぬ初対面の相手にこれは流石にキツいっ!!

そのまま布が敷いてある暖かいベッドにうつ伏せで横たわるように指示される。
胸が圧迫しないように、胸の部分が抉れているベッドだ。

……すごい画期的だ。胸が大きいとうつ伏せはめちゃしんどい。

そのまま、侍女さんたちはせっせとオイルマッサージをしてくれました。
これがもう。めちゃくちゃ上手で。絶妙なる力加減で物凄く物凄く気持ちよくて、途中で寝ていました。
寝ている所を起こされて仰向けにされると、大事な部分を隠しながらこれまた全身のマッサージをされた後、全身に何かいい匂いのするクリームを塗られた。
クリームは私の大事な部分にもしっかり塗られ、そのままの状態で今度は頭皮のマッサージをされる。

なんだこの天国は……頭皮のマッサージの途中で、またも私は寝ていた。

起こされた時には全て終わっていて、塗られていたクリームも無くなっていた。でも、塗られてただろうベタベタ感はあったままだった。

「それではこちらにどうぞ」

侍女さんに案内されてモクモクの蒸気を抜けると、そこはだだっ広い浴場だった。

……す、すごい。こんな浴場見た事ないよ……

その広い浴場には誰もおらず、私は再びそこにあった枠だけのベッドへ寝かされると、今度は全身をあわあわと洗われていく。
そのまま髪を洗われ、お湯を流されピッカピカに磨き上げられた。

「では、ごゆるりとお湯をご堪能くださいませ」

スーパーテク持ち侍女さんたちは、私の髪をサッと纏めてくれた後そう言うと、スススっと浴室から出ていった。

……すごー。マジですごー。これがアクアラング風おもてなし……

感動に打ち震えながら湯船に浸かろうとした時、私はとんでもないことに気が付いたっ!
なんとっ!! 下の毛が無くなっているのだっ!!! というか、全身の毛が無くなっているっ!!!!

あのクリームは脱毛クリームだったのかな……すごい、すごすぎるアクアラング……

とりあえず私は、そっと湯船に浸かってお湯を楽しんだ。
お湯には何かの香料が入っているのか、とても落ち着いた匂いがした。

「~ふ~ふんんん~~ふ~んふんふん~」

なんか鼻歌歌っちゃいました。

「ふふふ。妾のもてなしを気に入ったようだな」
「っっっ!!!!」

……あまりにもビックリしたら人間声が出ないんだね。

そこには、先ほどご挨拶をしたメーア陛下が立っておられました。

もちろん、浴場ですから一糸纏わぬお姿をしております。


ーーーさっき会ったばかりなのに、もう裸の付き合いって流石すぎっ!!

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