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28.ある日の舞踏会にて sideフィーリアス&ジルヴェール
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《side フィーリアス》
今日は憂鬱な舞踏会がある。
自分の気持ちに正直に言うと出たくない。何が何でも出たくない。
……最近こうやってせめて自分の心の中だけでは、本音を漏らさず言って溜めないようにしている。
何が憂鬱かって? そりゃ、毎回毎回見せ物のように皆に見られる苦痛、ジル以外ともダンスを踊る苦痛、ご飯を美味しくゆっくり食べられない苦痛……
数え上げればキリがない。
これも国務の一環として割り切るしかないんだろうけど、夜遅くまである舞踏会って前世の記憶持ちから言わせてもらうと時間外労働でしかないっ!
むしろサービス残業だーーー!!
こちとら昼間も国務で色々忙しいのっ!
さてさて。愚痴もこの辺りまでにして、気持ちを切り替えていきましょう。
旦那様であるジルを鑑賞する、という唯一の楽しみを胸に抱き今日も舞踏会へと繰り出します。
自分の旦那様を鑑賞するのが唯一の楽しみって、考えてみるとすごい惚気だっ!
言ってて自分が痛くて恥ずかくなってきた……
舞踏会に相応しく、デコルテ部分をがっつり出したオフショルダーのイブニングドレスだ。色は髪色に合わせてウイスタリアブルーで、腰から下はラメの入ったレースで覆われていてドレスを踊るとキラキラと輝くようになっている。
うーん相変わらず高そうだなぁ。毎回毎回こんな衣装予算の無駄だと思うんだけど、王族の一員である王太子妃が変な格好で出るわけにはいかない。
ジルが結構開いた胸元を気にしていたけど、谷間が少しくらい見えるのってデコルテドレスでは仕方がないんだから諦めてもらった。
真っ黒な夜礼服をかっこよく着こなしたジルは今日も素敵だった。艶感のある生地で仕立てられた礼服に身を包まれ髪をアップにしたジルは、その整った顔立ちに艶っぽさが加味されて何とも言えない色気を醸し出していた。
めちゃくちゃ眼福なんですが、いつもいつも思うけど非常に注目を浴びるわけで。
そもそも第二王子としてひっそりと暮らしていたジルは、こうした公の場に正式に出ることはほとんど無かった。その為、この国の令嬢は王太子になったジルヴェール様がこんなに美男子であることをあまり認識していなかったようなのだ。
……はい、何を隠そう私もその一員ですが……。言い訳するなら、ポンコツの私はトリスティン様以外認識できていなかったから!
王太子になってからこうした公の場に一緒に出ることになったのだけど、私という奥さんがありながら会場の令嬢たちの熱い視線っ!
……それを見るたびに自分の心に広がるモヤモヤ……
その王太子の隣には、7歳からトリスティン様の婚約者であり続けたのに婚約破棄されて、そのすぐ後に弟のジルヴェール様と結婚した私。
これは、男を誑かす悪女だと思われても仕方がない……
でも王太子妃になるって決めたのは自分なんだから、こんなモヤモヤも考えちゃいけない。そんな事思うなんてダメだダメだ。
というわけで、今日も会場内のジルへの熱い視線と私への冷たい視線を感じながら、王太子妃としてのお勤めを行うのです!
さてさて、お仕事お仕事。王太子夫妻の登場です。
とりあえず11年間の努力の結晶であるカーテシーで挨拶をする。
あ。やば。少しぐらついた。重心の持っていき方をミスったな。やっぱり緊張しているみたいだ。
とりあえずにっこり笑って誤魔化して、そのままジルの腕にそっと手を添えて会場内へ繰り出していく。
ニコニコと淑女の笑みを浮かべ、時に控えめに時に大胆に話をする。基本は旦那様であるジルを立てつつ、私も王太子妃として仕事してます~的なアピは大事だ。
そろそろダンスの時間になる。
まずは国王陛下夫妻が仲良く踊ってその存在を示した後、私たち王太子夫妻と、私たちと同じ年頃の上流貴族達で踊る。
おぉ。ドキドキしてきた……踊るのは好きなんだけど、大勢に見られながら踊るのは好きじゃない。前世の記憶がある今、これってただの公開処刑ではないかと思ってしまう。
まぁ、いずれ王妃になったらさっきの国王陛下夫妻みたいにオンステージになるんだけどね!
ジルはダンスもすごく上手で、しっかりリードしてくれるから安心して踊れる。それに、やっと少しだけ2人きりの空間になれて嬉しい。
ダンスを踊りながら、何となくお互い通常より身体を寄せ合ってしまう。ジルの身体を近くに感じてホッとする。
「……フィー。今日もすごく綺麗だ……早く寝室に戻りたいな」
凄いことをこっそり耳元で囁くから、顔が赤くなってしまった。
こんな公衆の面前でなんてことをっ~~!! ……何とかステップを間違えずに済んだ。
まだ少し顔が赤いままジルと無事踊り終えたら、次は色々な人をお相手する時間になる。うぅ。これがめちゃくちゃきつい業務だ……
踊り終わった私たちを賞賛しつつ、次は自分と踊って欲しいと群がる令嬢達。ジルはその中から公爵令嬢にお声をかけて踊ることにしたようだ。
相手はとても可愛い令嬢で、一緒フロアに繰り出そうとする2人を見て何だか私はモヤモヤしてしまった。
……うわぁ。なになに私ってば、結婚したのにモヤモヤしてるなんてっ!
自分の浅ましさにドン引きしてしまった。全然変わってないじゃんマジで……
自爆による精神的ダメージを大きく食らったけど、私は私で声をかけられたのでダンスの相手をしないといけない。
「フィーリアス様。ぜひ次は私と踊ってください……」
「はい。よろしくお願いいたしますね」
「……っ!」
気持ちを切り替えて、私も声をかけてくれた相手の手を取ってフロアへと繰り出す。
にっこり笑って返事をしたのに、相手がちょっと固まってしまったのを見て、ちゃんと笑えていなかったのか不安になった。
ダメダメっ! お仕事ですから気合い入れよう!!
一緒に踊っていたら、何故かダンス相手の距離が近い気がした。うぅ。ごめんなさい。キモチワルイです……
生理的嫌悪感から自然と腰が少し引いてしまう自分を、必死に戒める。
「……今日のフィーリアス様はまた一段とお美しく、まるで月の女神のようです。あなたの美しさで己を恥た月の女神も、その姿を隠すことでしょう……」
えぇっ!? 何それ!? 女神様に失礼な奴だなぁ。その後もうんたらこうたらと色々述べているけど、ダンス踊りながらそんな風に話しかけられて益々嫌悪感が募っていく。ごめんなさいぃぃ。本当ちょっと生理的に無理なタイプなのぉぉ。
顔が引き攣らないように努力してる自分偉いと思う。むしろにこにこ聞いてあげている。
「……まぁ。そのような勿体ないお言葉……ありがとうございます。ですが、私ごときが女神だなんで、女神様に不遜ですわ」
はいはい、不遜ですからね。これ以上社交辞令はいいですよ~。
にっこり笑いかけてこの話をおしまいに持っていこうとした。
「……っ! フィーリアス様っ! ……どうか私めも花に群がる蝶の一つとして、貴方様のその美しさの彩りに添えて下さい」
「……っまぁ、そのようなお戯れを……いけませんよ。うふふ」
ひぃぃぃっ!! ごめん無理無理無理っ! 握った手と腰を強く持たれて耳元で囁かれて、私の我慢は限界に達し、危うく押し返す所だった。
やばい、やばいよぉぉ……早く終わって……。本当ごめんなさいぃ。もう無理です貴方とは二度と金輪際踊りたくないです……
何とかダンスを終えた私は、1人目にしてどっと疲れてしまった。
そもそも、私は舞踏会デビューした16歳の時にはすでにトリスティン様の婚約者。おまけにトリスティン様の覚えがよくない私と踊りたい男性なんてほとんどおらず、たまに声をかけてくると言えばトリスティン様から聞いた話から面白半分に私を見定めにきたり、もしくはそんな私なら何してもいいと思ったのかめちゃくちゃセクハラしてくる奴だったり。だから義務でトリスティン様と踊った後は、そのままちょこちょこ挨拶して帰ることがほとんどだった。
でも、王太子妃になったらさっさと帰るわけにはいかず、こうしてお相手を務めないといけない。スキルがないせいで、社交辞令ですら上手にあしらえない自分が情けなくなる。
はぁ。スキル不足が恨めしい。その点ジルは何でもサラっとこなして本当凄い。今もまた群がる令嬢の中から声をかけ、フロアへと繰り出していく。
私もちゃんと王太子妃としての仕事をしないとっ!
ジルの姿を見て奮起した私は、また声をかけてくれた相手ににっこりとお仕事淑女モードで対応した。
……でも何故か皆私が話しかけると一瞬固まったり、青くなったり、赤くなったりするんだよね。おかしいなぁ。ちゃんとお仕事モードのはずなんだけど、どこかダメなのかしら……後でジルに聞いてみないと、と思った。
このままでは王太子妃失格だっ!
何とか耐えたと思う。よく頑張った私。最後は何故か大勢の人に囲まれつつあった私をジルが迎えにきてくれて、王太子夫妻としての役目を果たした私たちは退場することになった。
国王陛下なんてもうとっくに帰っている。
あぁーーー疲れたーーー!!
最後まで気を抜かず、しっかりと挨拶をしてから退場する。出会いの場でもある舞踏会はこれから未婚者達の集いとして本領発揮されるだろう。ジルみたいな美男子がいたら令嬢達の目が釘付けで、出会いの場としての機能を果たしていないのではないかと思う。
後は若い人皆で頑張ってー!
退場して扉が閉まり、よし帰るぞと思ったらいきなりジルにキスされた。
「…っぅんっ!」
おまけに舌入りの激しいやつ……
見てる見てるからっーーー!! まだ侍従とか周りにいるってばっーーー!
解放された私は、羞恥心で滲む涙を堪えながらジルを睨みつけた。
皆がいる時はダメって言ったのにっ!
「~~っジルぅ……」
「ごめんごめん。ついつい。ほら、行くよフィー」
にっこり笑うその笑顔に騙されませんよっ!と思いながらも、差し出された手を嬉しく思って繋いでしまう私は、やっぱり単純だと思う。
ーーー愛してる。私の旦那様。
繋いだ手をぎゅっと握り締めた。
《side ジルヴェール》
今日は憂鬱な舞踏会だ。
なんでフィーの姿を皆に見せないといけないんだ。おまけに舞踏会では基本イブニングドレスになるため、フィーのスタイルの良さが益々露見してしまう。
何で他の奴らに、そんなフィーの身体を見せないといけないのか。
あぁ。フィーを閉じ込めてしまいたい……舞踏会になると、益々フィーへの独占欲が高まる自分を抑えなければいけないため、憂鬱でしかない。
おまけに、今日のドレスはいつもより胸元が開いていた。谷間まで少し見えるほどだ。なのにウエストをキュッと締めるデザインで、フィーのスタイルの良さが際立ってわかるデザインのドレスだ。
……こんなの見せたくない。
フィーに抗議したが、諦めるように諭された。
はぁ。舞踏会に出たくない。でも国務の一環だからしょうがない。
隣にフィーがいることだけを楽しみに、2人で入場する。
フィーは相変わらず見事なカーテシーを披露した。会場内が皆賞賛の眼差しを送っている。
フィーの所作は全て洗練されていて、全てが流れるような美しさを持っている。彼女の一挙手一投足に皆が目を奪われている。それも全ては11年間努力し続けた結果だろう。
僕と結婚し、硬さのとれたフィーの内面の純粋さは、淑女としての仮面を被っていても漏れ出している。特に最近は艶やかさも増して、より多くの人の目を惹く美しさとなった。
フィーの溢れでる美しさに大勢の男たちが息を呑んでいた。というか、今日のドレスは本当に谷間が見えてて皆がそこにこっそり目線をやっているのがわかる。
……やっぱり反対すればよかった。
それに、イブニングドレスは印をつける場所が制限されるから本当に嫌だ。フィーの隅々まで僕の所有印を残したいのに、フィーに拒否されたら何もできない。
ーーーもうこのまま寝室へ戻りたい。
仕方がないので、舞踏会が終わった後にフィーを可愛がることに想いを馳せる。明日は午前中は国務がないから、たっぷりと楽しめる。
見事な挨拶だったのに、僅かに揺れる瞳からフィーが満足いっていないのがすぐに分かる。相変わらず真面目で自分に厳しい。向上心があることはフィーの美点だけど、自分の価値を正しく理解していないことに少し危機感を覚える時がある。
フィーがそっと僕の腕を取って会場内へ繰り出す。
はぁ。本当このまま帰りたい。僕は頭の中で隣にいるフィーを夜どうしようかと考えながら、適当に皆と挨拶を交わしていく。
そもそもここにいる貴族達の情報はほとんど頭に入っている。貴族同士の繋がり、各領地での政策、その本性等々…彼らが公の場で僕を認識し出したのはここ最近の事だろうけど、好き勝手にさせてもらっていた僕は実はこうした場に時に衛兵として、時に給仕としてこっそり参加して色々観察していた。
ーーーもちろん、一番の理由はフィーを見るために。
ただ、こうした公の場に出て間もない僕は色々な貴族に値踏みされているだろうから、まずはなるべく出席して早めに抑えておかないと。
特に、僕をたかがスペアだと馬鹿にしている奴には、早めに誰が主導権を握っているかわからせてやらないといけない。
最初のダンスはフィーと踊ることになっている。
やっと楽しい時間になった。思う存分フィーとくっつけてフィーに触れれる。
フィーもいつもより僕に身を寄せてくれるから、ついつい悪戯したくなって耳元で囁いてしまった。
照れたフィーの顔はすごく可愛いんだけど、チラリと会場内を見渡すとかなりの男達がそんなフィーの色気に当てられているようだった。
……失敗した。こんなフィーを他の奴らと踊らせたくない。
とりあえず何人かとさっさと踊ってしまえば義務は果たせると思って、1番近くにいた令嬢に声をかける。横目で見ると、フィーも声をかけられてようだ。
あれは確か、ソムニウム家の次男だ。すぐにソムニウム家の家系と他家との繋がり等々収集している情報を頭に巡らせる。笑いかけたフィーの笑顔に見惚れて一瞬固まったのを見逃さない。
令嬢と踊りながら、徐々にフィー達を観察できる位置に陣取る。あいつのフィーを見る目と手つきがいやらしい。おまけに、最後の方でフィーの腰を抱き寄せたのをしっかりと見た。
ーーーあいつは排除だな。
騎士団に所属しているはずだから、ラクスを使おう。排除に向けてすぐに計算する。
早くこんな茶番は終えてフィーと寝室へ戻りたい。その一心で次の令嬢に声をかけた。
群がる男達にフィーは丁寧に優しく話しかけているようだ。あんなの一々相手にしてたらフィーの身がもたない。もっと適当にすればいいのに、と思う。おまけにフィーに笑いかけられた男達が、皆彼女に熱い視線を送っているのが遠目でも分かる。
……イライラする。フィーが見るのは僕だけでいいし、フィーを見ていいのは僕だけだ。
早くフィーを連れてこんな所から出たい。そして、フィーを独り占めしたい。フィーの中を全て僕で満たしたい……
昏い欲望が出るのを何とか抑えながら、目の前の令嬢達を捌いていく。
やっと、令嬢達の相手から解放された僕はフィーを迎えにいく。そもそもフィーという妻がありながら僕に寄ってくる令嬢達の頭は大丈夫なのか? 側室制度を理解しているはずなのに、何も考えていないのだろうか……もう少し貴族達の教育の質を上げる必要性を感じた。
おまけに、フィーは気が付いていないようだが、彼女も彼女でかなりの人数から遊び相手としての誘いを受けているようだった。
そのほとんどが、スペアの第二王子である僕のことを舐めてかかっているのだろう。
……いいだろう。その宣戦布告受けてたってやろうじゃないか。彼女に誘いをかけた連中の顔とその家名を全て頭に叩き込むと、どうやって引きずり落としてやるか一人一人作戦を練っていく。ラクスはもちろんセレソにも協力させよう……場合によっては、兄上にも仕事をしてもらおう。
やっとフィーと退場した僕は、逸る気持ちを抑えて寝室へと急ぎ向かう。
……本当は退場してすぐにフィーを押し倒したかったけど、フィーは人前は嫌みたいだからとりあえず退場してすぐ口付けするだけで我慢した。
突然の口付けに怒っていたけど、怒るフィーも可愛い。
「~~っジルぅ……」
「ごめんごめん。ついつい。ほら、行くよフィー」
フィーに手を差し伸べると、怒っていたのにも関わらずに嬉しそうにその手を取って繋いでくれる。
本当フィーは可愛い。
ーーー愛しているよ、僕の可愛い奥さん。
今日は憂鬱な舞踏会がある。
自分の気持ちに正直に言うと出たくない。何が何でも出たくない。
……最近こうやってせめて自分の心の中だけでは、本音を漏らさず言って溜めないようにしている。
何が憂鬱かって? そりゃ、毎回毎回見せ物のように皆に見られる苦痛、ジル以外ともダンスを踊る苦痛、ご飯を美味しくゆっくり食べられない苦痛……
数え上げればキリがない。
これも国務の一環として割り切るしかないんだろうけど、夜遅くまである舞踏会って前世の記憶持ちから言わせてもらうと時間外労働でしかないっ!
むしろサービス残業だーーー!!
こちとら昼間も国務で色々忙しいのっ!
さてさて。愚痴もこの辺りまでにして、気持ちを切り替えていきましょう。
旦那様であるジルを鑑賞する、という唯一の楽しみを胸に抱き今日も舞踏会へと繰り出します。
自分の旦那様を鑑賞するのが唯一の楽しみって、考えてみるとすごい惚気だっ!
言ってて自分が痛くて恥ずかくなってきた……
舞踏会に相応しく、デコルテ部分をがっつり出したオフショルダーのイブニングドレスだ。色は髪色に合わせてウイスタリアブルーで、腰から下はラメの入ったレースで覆われていてドレスを踊るとキラキラと輝くようになっている。
うーん相変わらず高そうだなぁ。毎回毎回こんな衣装予算の無駄だと思うんだけど、王族の一員である王太子妃が変な格好で出るわけにはいかない。
ジルが結構開いた胸元を気にしていたけど、谷間が少しくらい見えるのってデコルテドレスでは仕方がないんだから諦めてもらった。
真っ黒な夜礼服をかっこよく着こなしたジルは今日も素敵だった。艶感のある生地で仕立てられた礼服に身を包まれ髪をアップにしたジルは、その整った顔立ちに艶っぽさが加味されて何とも言えない色気を醸し出していた。
めちゃくちゃ眼福なんですが、いつもいつも思うけど非常に注目を浴びるわけで。
そもそも第二王子としてひっそりと暮らしていたジルは、こうした公の場に正式に出ることはほとんど無かった。その為、この国の令嬢は王太子になったジルヴェール様がこんなに美男子であることをあまり認識していなかったようなのだ。
……はい、何を隠そう私もその一員ですが……。言い訳するなら、ポンコツの私はトリスティン様以外認識できていなかったから!
王太子になってからこうした公の場に一緒に出ることになったのだけど、私という奥さんがありながら会場の令嬢たちの熱い視線っ!
……それを見るたびに自分の心に広がるモヤモヤ……
その王太子の隣には、7歳からトリスティン様の婚約者であり続けたのに婚約破棄されて、そのすぐ後に弟のジルヴェール様と結婚した私。
これは、男を誑かす悪女だと思われても仕方がない……
でも王太子妃になるって決めたのは自分なんだから、こんなモヤモヤも考えちゃいけない。そんな事思うなんてダメだダメだ。
というわけで、今日も会場内のジルへの熱い視線と私への冷たい視線を感じながら、王太子妃としてのお勤めを行うのです!
さてさて、お仕事お仕事。王太子夫妻の登場です。
とりあえず11年間の努力の結晶であるカーテシーで挨拶をする。
あ。やば。少しぐらついた。重心の持っていき方をミスったな。やっぱり緊張しているみたいだ。
とりあえずにっこり笑って誤魔化して、そのままジルの腕にそっと手を添えて会場内へ繰り出していく。
ニコニコと淑女の笑みを浮かべ、時に控えめに時に大胆に話をする。基本は旦那様であるジルを立てつつ、私も王太子妃として仕事してます~的なアピは大事だ。
そろそろダンスの時間になる。
まずは国王陛下夫妻が仲良く踊ってその存在を示した後、私たち王太子夫妻と、私たちと同じ年頃の上流貴族達で踊る。
おぉ。ドキドキしてきた……踊るのは好きなんだけど、大勢に見られながら踊るのは好きじゃない。前世の記憶がある今、これってただの公開処刑ではないかと思ってしまう。
まぁ、いずれ王妃になったらさっきの国王陛下夫妻みたいにオンステージになるんだけどね!
ジルはダンスもすごく上手で、しっかりリードしてくれるから安心して踊れる。それに、やっと少しだけ2人きりの空間になれて嬉しい。
ダンスを踊りながら、何となくお互い通常より身体を寄せ合ってしまう。ジルの身体を近くに感じてホッとする。
「……フィー。今日もすごく綺麗だ……早く寝室に戻りたいな」
凄いことをこっそり耳元で囁くから、顔が赤くなってしまった。
こんな公衆の面前でなんてことをっ~~!! ……何とかステップを間違えずに済んだ。
まだ少し顔が赤いままジルと無事踊り終えたら、次は色々な人をお相手する時間になる。うぅ。これがめちゃくちゃきつい業務だ……
踊り終わった私たちを賞賛しつつ、次は自分と踊って欲しいと群がる令嬢達。ジルはその中から公爵令嬢にお声をかけて踊ることにしたようだ。
相手はとても可愛い令嬢で、一緒フロアに繰り出そうとする2人を見て何だか私はモヤモヤしてしまった。
……うわぁ。なになに私ってば、結婚したのにモヤモヤしてるなんてっ!
自分の浅ましさにドン引きしてしまった。全然変わってないじゃんマジで……
自爆による精神的ダメージを大きく食らったけど、私は私で声をかけられたのでダンスの相手をしないといけない。
「フィーリアス様。ぜひ次は私と踊ってください……」
「はい。よろしくお願いいたしますね」
「……っ!」
気持ちを切り替えて、私も声をかけてくれた相手の手を取ってフロアへと繰り出す。
にっこり笑って返事をしたのに、相手がちょっと固まってしまったのを見て、ちゃんと笑えていなかったのか不安になった。
ダメダメっ! お仕事ですから気合い入れよう!!
一緒に踊っていたら、何故かダンス相手の距離が近い気がした。うぅ。ごめんなさい。キモチワルイです……
生理的嫌悪感から自然と腰が少し引いてしまう自分を、必死に戒める。
「……今日のフィーリアス様はまた一段とお美しく、まるで月の女神のようです。あなたの美しさで己を恥た月の女神も、その姿を隠すことでしょう……」
えぇっ!? 何それ!? 女神様に失礼な奴だなぁ。その後もうんたらこうたらと色々述べているけど、ダンス踊りながらそんな風に話しかけられて益々嫌悪感が募っていく。ごめんなさいぃぃ。本当ちょっと生理的に無理なタイプなのぉぉ。
顔が引き攣らないように努力してる自分偉いと思う。むしろにこにこ聞いてあげている。
「……まぁ。そのような勿体ないお言葉……ありがとうございます。ですが、私ごときが女神だなんで、女神様に不遜ですわ」
はいはい、不遜ですからね。これ以上社交辞令はいいですよ~。
にっこり笑いかけてこの話をおしまいに持っていこうとした。
「……っ! フィーリアス様っ! ……どうか私めも花に群がる蝶の一つとして、貴方様のその美しさの彩りに添えて下さい」
「……っまぁ、そのようなお戯れを……いけませんよ。うふふ」
ひぃぃぃっ!! ごめん無理無理無理っ! 握った手と腰を強く持たれて耳元で囁かれて、私の我慢は限界に達し、危うく押し返す所だった。
やばい、やばいよぉぉ……早く終わって……。本当ごめんなさいぃ。もう無理です貴方とは二度と金輪際踊りたくないです……
何とかダンスを終えた私は、1人目にしてどっと疲れてしまった。
そもそも、私は舞踏会デビューした16歳の時にはすでにトリスティン様の婚約者。おまけにトリスティン様の覚えがよくない私と踊りたい男性なんてほとんどおらず、たまに声をかけてくると言えばトリスティン様から聞いた話から面白半分に私を見定めにきたり、もしくはそんな私なら何してもいいと思ったのかめちゃくちゃセクハラしてくる奴だったり。だから義務でトリスティン様と踊った後は、そのままちょこちょこ挨拶して帰ることがほとんどだった。
でも、王太子妃になったらさっさと帰るわけにはいかず、こうしてお相手を務めないといけない。スキルがないせいで、社交辞令ですら上手にあしらえない自分が情けなくなる。
はぁ。スキル不足が恨めしい。その点ジルは何でもサラっとこなして本当凄い。今もまた群がる令嬢の中から声をかけ、フロアへと繰り出していく。
私もちゃんと王太子妃としての仕事をしないとっ!
ジルの姿を見て奮起した私は、また声をかけてくれた相手ににっこりとお仕事淑女モードで対応した。
……でも何故か皆私が話しかけると一瞬固まったり、青くなったり、赤くなったりするんだよね。おかしいなぁ。ちゃんとお仕事モードのはずなんだけど、どこかダメなのかしら……後でジルに聞いてみないと、と思った。
このままでは王太子妃失格だっ!
何とか耐えたと思う。よく頑張った私。最後は何故か大勢の人に囲まれつつあった私をジルが迎えにきてくれて、王太子夫妻としての役目を果たした私たちは退場することになった。
国王陛下なんてもうとっくに帰っている。
あぁーーー疲れたーーー!!
最後まで気を抜かず、しっかりと挨拶をしてから退場する。出会いの場でもある舞踏会はこれから未婚者達の集いとして本領発揮されるだろう。ジルみたいな美男子がいたら令嬢達の目が釘付けで、出会いの場としての機能を果たしていないのではないかと思う。
後は若い人皆で頑張ってー!
退場して扉が閉まり、よし帰るぞと思ったらいきなりジルにキスされた。
「…っぅんっ!」
おまけに舌入りの激しいやつ……
見てる見てるからっーーー!! まだ侍従とか周りにいるってばっーーー!
解放された私は、羞恥心で滲む涙を堪えながらジルを睨みつけた。
皆がいる時はダメって言ったのにっ!
「~~っジルぅ……」
「ごめんごめん。ついつい。ほら、行くよフィー」
にっこり笑うその笑顔に騙されませんよっ!と思いながらも、差し出された手を嬉しく思って繋いでしまう私は、やっぱり単純だと思う。
ーーー愛してる。私の旦那様。
繋いだ手をぎゅっと握り締めた。
《side ジルヴェール》
今日は憂鬱な舞踏会だ。
なんでフィーの姿を皆に見せないといけないんだ。おまけに舞踏会では基本イブニングドレスになるため、フィーのスタイルの良さが益々露見してしまう。
何で他の奴らに、そんなフィーの身体を見せないといけないのか。
あぁ。フィーを閉じ込めてしまいたい……舞踏会になると、益々フィーへの独占欲が高まる自分を抑えなければいけないため、憂鬱でしかない。
おまけに、今日のドレスはいつもより胸元が開いていた。谷間まで少し見えるほどだ。なのにウエストをキュッと締めるデザインで、フィーのスタイルの良さが際立ってわかるデザインのドレスだ。
……こんなの見せたくない。
フィーに抗議したが、諦めるように諭された。
はぁ。舞踏会に出たくない。でも国務の一環だからしょうがない。
隣にフィーがいることだけを楽しみに、2人で入場する。
フィーは相変わらず見事なカーテシーを披露した。会場内が皆賞賛の眼差しを送っている。
フィーの所作は全て洗練されていて、全てが流れるような美しさを持っている。彼女の一挙手一投足に皆が目を奪われている。それも全ては11年間努力し続けた結果だろう。
僕と結婚し、硬さのとれたフィーの内面の純粋さは、淑女としての仮面を被っていても漏れ出している。特に最近は艶やかさも増して、より多くの人の目を惹く美しさとなった。
フィーの溢れでる美しさに大勢の男たちが息を呑んでいた。というか、今日のドレスは本当に谷間が見えてて皆がそこにこっそり目線をやっているのがわかる。
……やっぱり反対すればよかった。
それに、イブニングドレスは印をつける場所が制限されるから本当に嫌だ。フィーの隅々まで僕の所有印を残したいのに、フィーに拒否されたら何もできない。
ーーーもうこのまま寝室へ戻りたい。
仕方がないので、舞踏会が終わった後にフィーを可愛がることに想いを馳せる。明日は午前中は国務がないから、たっぷりと楽しめる。
見事な挨拶だったのに、僅かに揺れる瞳からフィーが満足いっていないのがすぐに分かる。相変わらず真面目で自分に厳しい。向上心があることはフィーの美点だけど、自分の価値を正しく理解していないことに少し危機感を覚える時がある。
フィーがそっと僕の腕を取って会場内へ繰り出す。
はぁ。本当このまま帰りたい。僕は頭の中で隣にいるフィーを夜どうしようかと考えながら、適当に皆と挨拶を交わしていく。
そもそもここにいる貴族達の情報はほとんど頭に入っている。貴族同士の繋がり、各領地での政策、その本性等々…彼らが公の場で僕を認識し出したのはここ最近の事だろうけど、好き勝手にさせてもらっていた僕は実はこうした場に時に衛兵として、時に給仕としてこっそり参加して色々観察していた。
ーーーもちろん、一番の理由はフィーを見るために。
ただ、こうした公の場に出て間もない僕は色々な貴族に値踏みされているだろうから、まずはなるべく出席して早めに抑えておかないと。
特に、僕をたかがスペアだと馬鹿にしている奴には、早めに誰が主導権を握っているかわからせてやらないといけない。
最初のダンスはフィーと踊ることになっている。
やっと楽しい時間になった。思う存分フィーとくっつけてフィーに触れれる。
フィーもいつもより僕に身を寄せてくれるから、ついつい悪戯したくなって耳元で囁いてしまった。
照れたフィーの顔はすごく可愛いんだけど、チラリと会場内を見渡すとかなりの男達がそんなフィーの色気に当てられているようだった。
……失敗した。こんなフィーを他の奴らと踊らせたくない。
とりあえず何人かとさっさと踊ってしまえば義務は果たせると思って、1番近くにいた令嬢に声をかける。横目で見ると、フィーも声をかけられてようだ。
あれは確か、ソムニウム家の次男だ。すぐにソムニウム家の家系と他家との繋がり等々収集している情報を頭に巡らせる。笑いかけたフィーの笑顔に見惚れて一瞬固まったのを見逃さない。
令嬢と踊りながら、徐々にフィー達を観察できる位置に陣取る。あいつのフィーを見る目と手つきがいやらしい。おまけに、最後の方でフィーの腰を抱き寄せたのをしっかりと見た。
ーーーあいつは排除だな。
騎士団に所属しているはずだから、ラクスを使おう。排除に向けてすぐに計算する。
早くこんな茶番は終えてフィーと寝室へ戻りたい。その一心で次の令嬢に声をかけた。
群がる男達にフィーは丁寧に優しく話しかけているようだ。あんなの一々相手にしてたらフィーの身がもたない。もっと適当にすればいいのに、と思う。おまけにフィーに笑いかけられた男達が、皆彼女に熱い視線を送っているのが遠目でも分かる。
……イライラする。フィーが見るのは僕だけでいいし、フィーを見ていいのは僕だけだ。
早くフィーを連れてこんな所から出たい。そして、フィーを独り占めしたい。フィーの中を全て僕で満たしたい……
昏い欲望が出るのを何とか抑えながら、目の前の令嬢達を捌いていく。
やっと、令嬢達の相手から解放された僕はフィーを迎えにいく。そもそもフィーという妻がありながら僕に寄ってくる令嬢達の頭は大丈夫なのか? 側室制度を理解しているはずなのに、何も考えていないのだろうか……もう少し貴族達の教育の質を上げる必要性を感じた。
おまけに、フィーは気が付いていないようだが、彼女も彼女でかなりの人数から遊び相手としての誘いを受けているようだった。
そのほとんどが、スペアの第二王子である僕のことを舐めてかかっているのだろう。
……いいだろう。その宣戦布告受けてたってやろうじゃないか。彼女に誘いをかけた連中の顔とその家名を全て頭に叩き込むと、どうやって引きずり落としてやるか一人一人作戦を練っていく。ラクスはもちろんセレソにも協力させよう……場合によっては、兄上にも仕事をしてもらおう。
やっとフィーと退場した僕は、逸る気持ちを抑えて寝室へと急ぎ向かう。
……本当は退場してすぐにフィーを押し倒したかったけど、フィーは人前は嫌みたいだからとりあえず退場してすぐ口付けするだけで我慢した。
突然の口付けに怒っていたけど、怒るフィーも可愛い。
「~~っジルぅ……」
「ごめんごめん。ついつい。ほら、行くよフィー」
フィーに手を差し伸べると、怒っていたのにも関わらずに嬉しそうにその手を取って繋いでくれる。
本当フィーは可愛い。
ーーー愛しているよ、僕の可愛い奥さん。
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その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
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が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
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しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
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*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
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◆掲載先→アルファポリス、ムーンライトノベルズ、エブリスタ
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