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extra レーベ ーRelianceー

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お前の心に俺がいないことは知っている。

でも、俺の心はいつでも空けておく。
お前のために。

気楽に考えてくれてて良いんだ。

ーーー俺はお前の居場所だから


ただ、いつでもいつまでも俺はここに立っているから。


♢♢♢


俺はレーベ・アウルム。イグニス国の伯爵家の三男だ。
三男ってことで家督は継がないから、小さい時に早々と騎士になるべく鍛錬し続けた。
結果、今や金獅子とかいうご大層なあだ名まで頂戴した。

俺には惚れた幼馴染がいる。リーリウム・クローリク伯爵令嬢だ。
ウェントゥス国で言ったらリーリウム・フィクタス公爵令嬢になるな。
あいつはちょっと面倒くさい事情があって、母親のいるイグニス国を拠点に過ごし、たまにウェントゥス国にいる父親のところに行ったりしてた。

リリーは小さい頃から飛び抜けて可愛かった。
ピンクのふわふわした髪に愛らしい顔つきは、誰が見ても振り返るぐらい可愛かった。
ついたあだ名は子ウサギ。
同じ伯爵家として出会った時に、速攻で恋落ちた。

「俺の嫁になれ、リリー」

剣技と同じで、先手必勝さは絶対に重要だ!
そう思った8歳の俺は、初めて会うなりそう言った。

ただでさえ大きな目を見開いたので、その愛らしい瞳がこぼれ落ちるかと思った。

「うふふ。わたし、としうえはこのみじゃないんです~」

愛らしい顔つきでズバッと言われ、俺は4歳のリリーに速攻でフラれた。

それから、俺は何度もリリーに告白した。そして、その度にフラれた。
俺はちょっとばかり雑な性格だったし、言い方もぶっきら棒だし、リリーには乙女心が分かっていない勉強してこいと言われた。
そう言われた俺は、片っ端から女を相手にするようになった。
生憎そこまで悪くない顔立ちだし、騎士をやってるせいか女に困ることはなかった。

そうこうするうちに、女を相手にするのは悪くないと思うようになっていった。
女を抱くのも好きだった。気持ち良いしな。
ただ、結果俺のスキルは閨部分に特化してしまった。いつまで経ってもリリーの言う乙女心は理解できていないようで、何度リリーに告白しても梨の礫だった。

リリーは王妃になる素質があるとかで、王太子の婚約者の1人だった。
単純で夢みがちなリリーは、『王子様の婚約者』で『私はお姫様』っていう言葉に酔っていた。
俺と一緒にいるってのに、いつもいつも『王子様~~』とか言ってた。
でも、いつまで経ってもぽやぽやと夢みがちな頭で王妃としての素質がないと判断された王太子は、結局別の婚約者を選んだ。
その事が決まった時、あいつは20歳だった。
婚期を逃したあいつは今度こそ俺の所に来るだろう、そう思って何千回目になるか分からない告白をしようと思い家に行ったが、会ってもらえなかった。

それから、何回行っても会えなかった。

その頃、ウェントゥス国の奴らが、リリーの周りをウロチョロし出した。
俺は何となく嫌な予感がして、ウロチョロしてるそいつを捕まえた。まだ子どもだった。
子どもはルクスとか言って、なんかリリーがウェントゥス国の公爵令嬢だからとか何とか言っていたが、何か隠しているようだった。
でも身のこなしが兎に角素早くって、この俺が二度目以降捕まえることができなくなった。

焦ったい状況にヤキモキして過ごしていたが、暫くして俺はやっとリリーに会うことができた。
落ち込んでいるだろうと思っていたら、予想以上に元気だった。

「……おう。久々だな。なんっつーか。……王太子なんか辞めて俺と結婚しろよ」
「うふふ。相変わらずね~、レーベ。でも、私絶対に『王子様』と結婚するの! レーベみたいなおじさんはお断りなの~」
「おじさんって……」
「おじさんは言い過ぎよね。ごめんなさい。……レーベは私のお兄ちゃんだもんね。いつもありがとう。……ずっとずっと私のお兄ちゃんだよね? レーベは私を裏切らないよね?」

そう言うリリーの瞳は、痛いほど必死だった。
その瞳を見た時。
俺は思った。

俺はリリーの泣ける場所であればいい。
俺はリリーが来れる場所であればいい。


そう決意した俺は、以降リリーに告白するのをやめた。


そうしてリリーは、ウェントゥス国の公爵令嬢となりイグニス国を離れた。
一緒に着いてきて欲しいとリリーに頼まれた俺は、ずっとリリーに付き従う覚悟で国を出た。
トリスティン様はリリーのドストライクの好みだったようで、リリーは会うなり『理想の王子様っ!』とはしゃぎトリスティン王子様に夢中になった。
またトリスティン様の方もリリーに一目惚れをし、2人の仲はあっという間にウェントゥス国内で認知されるようになっていった。


リリーの夢を叶えるためなら。


ーーー俺は何だってする。


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