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第一日目(2016年11月9日・水曜日) ◎成田空港~ドーハ(カタール)
1 出発(エジプトへの旅立ちの午後は、波乱と驚きのアメリカ大統領選決定の日でもあった)③
しおりを挟む成田までの車内は、これから始まる十日間の旅に期待と不安が渦巻いています。
しかし、この日の午後にはわたしにとって(いや全世界にとって)もう一つ大変興味のある出来事が待っていたのでありました。
それは・・・
車内のテレビは史上最低と前評判の高い『アメリカ大統領選』の速報を、絶え間なく映し出している。
そう、今日は次期アメリカ合衆国大統領が決まる日なのです。
大方の予想を裏切り『トランプ』が圧倒的に優勢との速報が、アナウンサーから伝えられています。
驚嘆仰天・驚天動地とはこの事でしょう。
かく言うわたしも一進一退の接戦と伝えられてはいても、蓋を開ければ『ヒラリー』が順当に当選するものとばかり思っていた。
うーむ、アメリカと言わず世界中が驚いているであろう事は、こんなわたしにも容易に想像できる。
なにせアメリカの大統領と言えば、全世界に影響力のある人物なのである。
世界一の有名人なのだ。
そんな重要な役職に、あのトランプが就任する事になろうとは・・・。
なにかの冗談の様ではありませんか。
(それにしても英国のEU離脱といい、最近は予想を覆すまさかと言う出来事が次々に起こるなぁ)
ヒラリーは相当ショックだったのであろう、今日の敗北演説はしないとの情報が入っている。
通常であれば負けた側の「敗北宣言」を受けてから、勝者側が「勝利演説」をするのが習わしらしいのである。
ヒラリーは敗北の演説はしなかったが、トランプへ祝福の電話は入れたそうだ。
依ってトランプはヒラリーの敗北宣言がないまま、勝利演説を開始した。
勝利演説が始まったと言う事は、本当にトランプが次期アメリカ大統領となるのが確定したと言う事である。
2015年6月に共和党から大統領予備選への立候補を彼が表明した時点で、世界中の誰がこの事態を予測し得ただろうか。
ただの泡沫候補と思われていたビッグマウスの問題児が、あれよあれよという間に来年一月から世界情勢を左右する、第四十五代次期アメリカ合衆国大統領となってしまうのである。
この世の中、一寸先にはなにが待っているか分からないものである。
(以前の大河ドラマで丹波哲郎が「一寸先は闇ではございません、一寸先は光にございます」と言っていたが本当だな)
可能性が一パーセントでもあれば、挑戦してみる事が大事だなぁとつくづく思わせる出来事でした。
しかしトランプの勝利演説は今までの選挙戦での過激な言動と打って変わり、落ち着きのある大統領としての風格さえそこはかとなく感じさせる中々のものであると感じた。
(すべて専門のライターが考えた、お決まりの台詞なんだけどね)
トランプの大統領就任によりアメリカはモンロー主義(自国のみを大事にする超保守的孤立主義)へと、はっきりと舵を切るのであろうか。
恐らくTPP交渉は頓挫する事となるだろう。
そして兼がね彼が言っている様に、アメリカは『世界の警察』としての立場を放棄して行く事となるのだろう。
(力を持った腕白小僧が自分なりの正義を振りかざして、周りの餓鬼共を一定のルールで縛る事によって、余計な争いを曲がりなりにも抑えていたのが、これからはそのルールが無くなると言う事になるのだ)
日本にとっては「安保問題」が、一番の重要な案件となるだろう。
トランプ流に言わせれば「自分の身は自分で守れよ。いちいち俺に頼るんじゃないぜ。もし今までの様に守って欲しけりゃもっともっと金を出すんだよ! 俺は余計な金まで負担して、どうしてもお前らを守ってやる謂われはないんだぜ」と言った所になるのだろう。
アメリカとしては、他国を守る為に自分の国の息子たちの血を、なぜ流さなければならないのかと言う事なのだ。
現在、世界でたった一つの超大国であるアメリカが、勝手な正義を振りかざしているおかげで、虎視眈々と勢力拡大を狙う国々を牽制出来ていたのが、これからは力次第の時代がやって来るのだ。
正義の名の下に(自国の利益が掛かっているのも確かな事なのだが)、チンピラに睨みを利かせる親分はもういなくなるのである。
マフィア以上に恐ろしい「プーチン」率いるロシアが力を盛り返し、一党独裁国家であるアジアの超大国『中華人民共和国』が、ここぞとばかりに覇権主義(世界の中心は自分達だという大中華思想)を増大させて来るのは目に見えている。
(中国にとっては、アメリカだけが怖い存在だったのだから)
そしてイスラム原理主義者のテロが、なお活発となるであろうし、国同士の小さな小競り合いはますます増えて行く事となるだろう。
難民問題も、又然りである。
アメリカがどう舵を切るかと言う事は、それ程世界情勢に影響を及ぼすのである。
それを決めるのは只一人、アメリカ合衆国大統領の決定(まぁ、個人的な気分と言ってもいいかもしれないが)に掛かっているのである。
果たして今回のトランプ勝利という出来事が、この後の世界にとってどのような意味を持つ日になるのかは、神ならぬ人間の身であるわたしにはまだ判ろう筈もないが。
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