ドン・オニギリーノのエジプトツアー旅行記 ~のほほんエジプト七泊十日の旅~ 1日目

泗水 眞刀(シスイ マコト)

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第一日目(2016年11月9日・水曜日) ◎成田空港~ドーハ(カタール)

1 出発(エジプトへの旅立ちの午後は、波乱と驚きのアメリカ大統領選決定の日でもあった)①

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 まえがき(嗚呼、あれから八年が過ぎ、今年もまたアメリカ大統領選が目前に迫ってきた。いまさらの感は拭えないが、再び旅の記憶を訪ねてみようと思う)


 これからお見せする冒頭部分は、今からちょうど八年前に行った『エジプト・パックツアー旅行』の様子を描こうと思って、キーボードを叩いた当時の文章です。

『1 出発』部分を書いたのですが、そのあとは飽きてしまい放置されていました。
 当然いまさら八年前のことを思い出そうとしても、そうそう詳しく記憶は甦っては来てくれません。
 多分正確な旅行記にはならないと思いますが、読み物としてどこまで面白くできるだろうかと思案中です。


 本編にも書いてありますが、アメリカ大統領選の結果が出る日が出発日で、成田へ向かう車の中でニュースを聞いていました。
 いまとなっては『トランプ大統領』と聞いても違和感はないでしょうが、夕方の高速道路を東へ向かって走りながら、どんなに驚いたことだったでしょうか。

 そのトランプが、今回の選挙でもバイデンと争っています。
 感慨深い限りです。

 このときわたしが思った世界の情勢は、すべてではありませんがかなり的中していると思いませんか。
 しかし、まさかロシアが現在のような力任せの侵略をする事までは、到底考えの範疇には含まれませんでした。

 中共も徐々にアメリカに追いつきつつあるし、いつ『台湾有事』が勃発してもおかしくはない状況です。
 それを思い留まらせるためにも、ロシアを勝たせてはいけないのです。

 力で押し通そうとすれば、西側諸国から絶対にそれを阻止される。
 ならず者たちに、そのメッセージを見せつけなくてはいけません。

 ジャイアン的なガキ大将(USAのことです)までは許せても、すべてを思うがままにしようとする独裁覇権主義国家や、ヤクザまがいの凶悪国家は世界には必要ないのだから。

 いけない、いけない、これはそんな堅い話を書くものではありませんですね。

 写真や当時の資料、撮影したビデオ映像などを見返しなるべく当時を思い出しながら、気軽な雑文としてお届けできたらいいと思っています。
 まずはテスト期間として、冒頭部分を加筆修正しながらお目にかけようと考えます。

 手ごたえがあるようでしたら、後は考えます。
 どうか肩の力を抜いて、楽しんでください。



 
 1 出発(エジプトへの旅立ちの午後は、波乱と驚きのアメリカ大統領選決定の日でもあった)



 東京のお隣であるS県A市の自宅玄関を午後四時に出て、マンション前に停めてある愛車に荷物を積み込んだ。
 母親がにこやかだが、不安げなそぶりを見せながら見送ってくれている。

 わたしこと自称『ドン・オニギリーノ』(顔が適当に握ったオニギリの様な形をしている事と、体形がマフィア映画の恰幅のいいボスの様に見える為に、そう自称しておる次第です。拠って今後は皆さんも心の中でわたしの事を『ドンさん』又は気軽に『ドンちゃん』と呼んで頂きたい。特に女性の方は、イタリアの伊達男を呼ぶ様に『オニギリーノ』と呼び捨てにして頂いても一向に構いませんです)は、今夜から七泊十日のパッケージツアーによる、エジプト観光旅行に出発するのである。


 ツアー会社は『クラブT』ツアー名は『古代浪漫を感じる 悠遊・エジプト10日間』と言う大袈裟な名前である。
 アレキサンドリアと砂漠の見物がないだけで(勿論、危険なシナイ半島など含まれるはずもありません)、後は有名な観光名所はほとんど見て回るてんこ盛りツアーである。

 おまけに三泊のクルーズ船まで付いている始末。
(別におまけじゃないけどね)
 日程及び観光場所は、後段にて記載する予定です。

 ここまで読んだ方の中には「なにぃ、高々添乗員同行及び日本語ペラペラの現地ガイド付きパッケージツアーの旅行記などと言う、甘っちょろいものを書こうなどとは笑止千万!」とお思いの方も多々いらっしゃる事でありましょう。
 ご尤もな意見でございます。

 かく申しますわたしも若かりし三十数年前には「バックパックを背負って世界放浪の旅をしたいものよ。シルクロードとやらをこの目で確かめてみたいものよ」
(丁度その頃NHKの「シルクロード」が放映されて、第一次シルクロードブームが日本に吹き荒れていたのであります)
 と当時としては数少ない自費出版に近い形態の、旅行記等々を読み漁っては勝手にかぶいていた頃もありました。
(赤い表紙の小さ目の旅行記シリーズ、懐かしいなぁ。活字じゃなくて手書きだったような気が・・・)


 記憶によれば「地球の歩き方」のアメリカ編、ヨーロッパ編に続き、まさかの『インド編』が出たばかりだったような気がします。
(今では日本人バックパッカーのバイブルのような本ですね。当時は本そのもののめくる側や上下が青や赤で塗られており、ドぎついチープ感満載な本という記憶があります。現在よりもっとインパクトのある癖の強い本で目立ってたな。わたしはインド編にど嵌まりしてしまい、『印度亜大陸』に恋した口であります)

 沢木耕太郎の『深夜特急』など、この世に影も形もない頃の話です。
(この本はハードカバーで出版された直後に読んで、ご多分に漏れずかなり影響されました。しかし後にあれほど大評判となるとは思いもしなかったなぁ。TV番組にまでなったし。これもバックパッカーのもう一つのバイブル的存在ですね。でも深夜特急は旅行記ではなく、文学だものね)


 当時はバックパッカーという言葉さえ、一般の人には知られていなかった時代でした。
 リュックサック背負ってなん年も世界を貧乏旅行する奴は、どこの馬鹿か変わり者かと本気で思われていた時代でもありました。

 二十歳になるかならないかの頃のわたしも、その変わり者で馬鹿な人間の予備軍だった事は紛れもない事実でした。
 世界をこの目で見てみたい、自由に生きてみたい、そう言うまだ見ぬ異国の地に恋い焦がれていた若者の一人だったのです。

 なによりもネックは金がないことで(すぐに無駄遣いばかりするので、計画的に金を貯められない)計画ばかり立てては実行には移せずじまいでした。
 金が出来始めるとそれなりに齢を重ね、仕事に対する責任と一番大事な今の生活という名のぬるま湯状態を捨てる踏ん切りがつかなくなり、ダラダラと歳月を重ねて来たのです。

 それでもパッケージツアー旅行には興味が持てずに、たまに買う旅行関係の本も自由な個人旅行を綴った本ばかりでした。
(その内に漫画で旅エッセイを描いた本が次々と出版されて、結構購入したものです)


 そんなわたしが昨年会社を辞めて独り立ちしたのを機に、再び海外旅行に興味を持ち始めたのであります。
 しかし、もう昔の若い頃とは違います。

 バックパックを背負って世界放浪という歳でもなく、仕事も一人で営んでいる為に長期の旅行も儘ならない状態です。
(なにせ少ない仕事で食って行かねばならず、大事なお客様を疎かに出来ない状況なのです)

 そこで今まで全く食指が動かなかった「パッケージツアー」とやらに興味を示したのでありました。


 
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