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第一章 楼桑からの使者
3-①
しおりを挟む「してガンツ殿、貴殿の存念をお聞きしよう。このガリフォンをお信じ下さるのであれば、すべての事情をお話し下されまいか」
サイレン公国・宰相のガリフォンが対峙しているのは、楼桑国からの使者ガンツ伯爵である。
ここはネルバ方爵家が所有する、屋敷の中の一室であった。
ガンツ伯爵は楼桑から伴ってきた四名の従者とともに、ガリフォンの私邸であるこの邸に逗留することとなった。
大公フリッツとの対面の後、ガリフォンは楼桑国からの使者の饗応役を自ら買って出ると、他の重臣たちの不満げな顔をよそに、さっさとガンツを宰相公館ではなく、公都トールン中心部から少し外れた静かな林の中にある、広大な敷地を持つ私邸へと連れ帰ってしまった。
「それではみな、明日の朝議の席にて」
そういってガンツを先導するように、来賓の間を立ち去ってゆくガリフォンの背中に、ダリウスの怒鳴り声と、ブラーディンの皮肉めいた見送りの挨拶が聞こえた。
隣国の老伯爵は、正面に坐っている自分より若干年若い、柔和な顔をした壮年の公国宰相の目を真っ直ぐに見つめている。
「もちろんガリフォン殿のことは信じておる。こちらもお願いしたい、貴候も肚を割って話して頂きたい。儂の名もアルバートとお呼び下され。この縁組、われら二国の命運が掛かる大事となるやもしれぬのでな」
「約束しよう。なにごとも偽ることなく互いに語り合おうぞ」
ガリフォンも負けじと、相手の目から視線を逸らすことなく誓った。
ガンツは年経て、やや掠れ気味の落ち着いた低い声で話し始めた。
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