アンドローム ストーリーズ(聖大陸興亡志) 第一巻「運命の婚礼」前篇

泗水 眞刀(シスイ マコト)

文字の大きさ
上 下
36 / 82
第一章 楼桑からの使者

2-⑪

しおりを挟む



「誰が老いぼれだと。おいブラーディン、お前とは三つしか歳が違わぬぞ。お前こそ青瓢箪の洟垂れ小僧だ。大体俺はお前のそのすまし顔が前から気に食わなかったんだ」
「その童のごとき言葉遣い、相変わらずだな。頭の中まで筋肉で鍛えておるのだろう。お前など戦の時以外はなにも口を開くな。こちらにまで馬鹿が感染うつる」
「馬鹿とはなんだ、ガキの頃から槍一つまともに扱えぬ軟弱者が。銭儲けで国は守れぬぞ。それとも自慢の財力で、敵から自分の命を買うつもりか、この腰抜けめが」
「刀槍のみで闘うのが戦ではないわ、情報と財力を使い戦自体を起こさぬようにするのが、真の知恵者のすることよ。暴れることしか能がない単純な奴めが」

 二人の罵り合いは延々と続き、尽きる気配がない。


「フリッツさま、この辺で二人の口喧嘩を止めねば、どうにも納まりがつきませんよ。なにせあの二人は誰もが知る犬猿の仲。顔さえ合わせれば罵りあいになるのですから」
 ブルースがそっと主君に耳打ちする。

「まったくガンツ殿の前でみっともないことをしおって。余が若年なのを甘く見ておる証拠じゃ・・・・・」
 フリッツがうなだれたまま呟いた。

「殿下申し訳ございません。いつものこととはいえ、まるで幼子のごとき父の言動にはほとほと呆れるばかりです。どうぞ厳しく𠮟り付けて下さいませ」
 エメラルダは恥ずかしさで顔を赤くしながら、主君に頭を下げる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

処理中です...