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第一章 楼桑からの使者
2-⑥
しおりを挟む「ならばダリウス、ここにいるエメラルダの命もいらぬと申すか。只一人の大事な娘であろう」
フリッツが腹立ち紛れに、後ろに控える女騎士を指さす。
「殿、父上にそのようなことを言ってもなんの意味もありません。それどころか逆効果です」
エメラルダは澄ました顔で、主君に耳打ちした。
「なんの娘の命など、国の行く末を掛けた大事の前の小事。なんならこの場で儂自ら娘の首を落として、この言葉が脅しではないことを見せくれましょうぞ」
そう言うと、腰の大剣をすらりと抜き放った。
「ううぬっ・・・・・」
「ほら、申し上げた通りでございましょう。本当にここでわたしの首を刎ね兼ねませんよ」
言葉を失っている主君に、呆れたような表情で父の方を見ながらエメラルダが囁く。
「まあまあ、なにもここで首を刎ねるだの、楼桑の姫との婚儀だのと勝手に騒いでも仕方がありません。まだガンツ殿が縁談話を持って来られたと決まったものでもないじゃありませんか。とりあえず面会してからの話しですよ。親父殿も剣を収めて下さいよ」
それまで黙っていたブルースが、その場を取りなすように口を挟み、そっとエメラルダに片目を瞑って見せた。
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