アンドローム ストーリーズ(聖大陸興亡志) 第一巻「運命の婚礼」前篇

泗水 眞刀(シスイ マコト)

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第一章 楼桑からの使者

2-①

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 ブルースとエメラルダを従えて、フリッツが大公執務の間に入ってくる。

 すでに卓には宰相のガリフォン、外務卿ユーディ伯爵、そしてサイレン公国軍・元帥兼筆頭上級大将ダリウスが座っていた。

 財務卿であるブラーディン侯爵の席は、不在のままである。

「殿、お待ちしておりましたぞ」
 宰相のガリフォンが口火を切った。

 立ち上がって主君を招き入れたガリフォンとユーディとは違い、ダリウスは座ったまま礼をしようともしない。

「一体どこに行っておいででございました」
 老武人が鋭い眼光で、ぎろりとフリッツを睨みつけた。
「うっ・・・、ち、ちょっと用事が、所用があってな・・・」
 フリッツがぼそぼそと口籠る。

「おい、ブルース。殿は何処に隠れておいでだった。まさか城の奥の奥へでも行っておられたのではあるまいな」
 迫力のある錆色の声で、ダリウスがブルースへ訊いた。

 暗に太后宮へいっていたのであろう、と言っているのだ。

 問われたブルースは、なにも喋らずに口元を微かに歪めてニヤリと笑った。
 外務卿のユーディはゆき先が自分の娘の所だと判明し、すっかり困窮しきった表情でがっくりと俯いた。
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