アンドローム ストーリーズ(聖大陸興亡志) 第一巻「運命の婚礼」前篇

泗水 眞刀(シスイ マコト)

文字の大きさ
上 下
21 / 82
第一章 楼桑からの使者

1-⑪

しおりを挟む


 フリッツも宮廷会議の場で、重臣達一同から寄って集って諫言され続け、今後はラフレシアの元へ入り浸ったりはせぬと約束させられたばかりであった。

 サイレン公国の特徴の一つとして、家臣は主君に対して諫言ある際は、遠慮なしにどのようなことでも直言する気風にある。
 時には主君と家臣の間で、怒鳴り合いとなる場合さえある程であった。
 過去には興奮した主従が、派手に取っ組み合いを始めたことさえあったと言う。

 サイレン公国は、中央集権的な絶対君主の国ではない。
 いうなれば各小さな地方領主の、集合体とでも説明すれば分かり易いだろう。

 そんな中でもバロウズ家が治める湖水地方〝グリッチェランド〟は、この世に彩蓮大公国の欠片さえも存在しない頃から代々同家が統治していた土地であった。

 多かれ少なかれサイレンという国は、そんな小領主たちがひしめき合っていた一帯であったのである。
 その頂点に立って、国をまとめているのが最大の力を持ち、各領主から信頼されていたサイレン家であった。

 このような国の成り立ちも相まって、主君と臣下の垣根があまり高くない。
 言うことも遠慮なくいうが、一度変事があれば臣下一同結束して、サイレン家と国のために命を懸けて戦う。
 その一途さも、サイレン家臣団の特徴である。

 そういった口うるさい家臣団と、太后宮への立ち入りは控えると約束したのが一昨日。
 その約束をした舌の根も乾かぬ内に、この有り様である。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

処理中です...