神様が離れてくれない

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出会い

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「おーーい、タケルー!今夏休みで、お前部活も入ってないしどうせ暇だろ?一緒に肝試し行かね?」

そう声をかけてきたのは高校に入ってから友達になった星比良優だ。

「おぉ、すぐる。んーーー、どうしようかな俺そう言うの苦手なんだよな。てか、おまえからそういう系統誘うなんて珍しいな。お前苦手じゃなかったっけ?」

「いやぁ、苦手ではあるんだけどぉ、百合ちゃん達のグループが来てくれるらしくってぇ…百合ちゃんと回れるなら俺はどこまでだって行くぜ?!」

(あぁ…そういえば優、笹木さんのこと好きだったっけ?まぁ確かに可愛いしな)

「なるほどな」

「タケルがいれば絶対女子達も盛り上がるし…!な?お願い」

俺は自分で言うのもあれだが、顔はいい方だし頭がいい。しかも運動ができる。だから結構モテる。

彼女作ったことないけど。断じて、いつでも彼女が作れると驕っている訳ではない。しかも俺は男の方が好きだ。綺麗な顔をした男性に組み敷かれたい。

「ちなみにどこ行くんだ?」

「お、興味出てきたか?!えっとなぁ、小柳神社っていうとこなんだけど…その神社の奥深くに行くと、綺麗なお姉さんが出てきて連れ去られるって噂があるんだぜ?」

小柳神社…時々行ってたけどそんな噂があったのか、知らなかった


(ちょっと興味が湧いてきた。)


「いつに行くんだ?」

「え!きてくれるのか?!やった!!!今週の、金曜9時半頃小柳神社集合な!」

「わかった」





金曜の9時20分同じクラスの連中がゾロゾロ集まってきた。

(結構人数多いな…)

特に誰とも喋ることもなく静かに待っていると

「おぉーーーー!!タケル…!ほんとに来てくれたのか…!!!ほんっとぉにありがとう」

優が今にも泣きそうな感じで感謝を伝えてくる。

「俺自身ちょっと興味あったし、誘ってくれてありがと」

「タケル…!いいやつだなぁ!いいように手配するから安心しろよ!」

「ありがとう」

(すっごい怖かったらどうしよう…仲間にいて安心するやつが欲しいな…)


優と山田と喋りながら待っていると、この肝試しの主催者と思われる田中がチーム分けを始めた。

俺はチーム2で、優、笹木さん、俺、山田のチームだった。
山田はよく俺と仲良く話してる男子だ。

(ほんとに優遇してくれるんだな)

「よし、じゃあチーム1から行ってらっしゃーい!」

という田中の合図で行くらしい。前からはチーム1の悲鳴がすっごく聞こえてくる。

(こういうの俺苦手なんだよなぁ…やっぱやめといた方がよかったかもな…不安だ)

そして、ついに俺たちの番が来た

「はい!じゃあチーム2いってらっしゃーい!」

その言葉と共に俺たちは歩き始める。俺と山田が先頭を切って、その後ろを優と笹木さんが歩く。


しばらく、山田と他愛無い話をしながら歩いていると、横からガサゴソと音が聞こえた。

「え?!なんか音が聞こえるよ?」

そう言って俺にひっついてくる山田。

(そうだった。山田は俺以上に怖いの苦手なんだった、山田がホラー系統に強ければよかったのに…ここで俺が怖がったらもっと怖くなるよなぁ…)

「俺も聞こえたけど、まぁそんなに気にすんな、よくあることだろ」

「え、でも怖いなぁ…何かあったら守ってよ?」

「なんで俺が守らないといけないんだよ。1人で逃げろ」

そんなことを話していると横から

「ゔぁぁぁぁ!!」

と、女のような男のような物体が出てきた。

「うわぁぁぁぁぁあぃぁぁぁぁぁ!むりだぁぁぁぁ!!!」

そう言って来た道を全速力で戻って行く山田


「きゃぁぁぁぁぁー!怖いい、!!」

「うわぁぁぁでたぁぁぁ!」

と言って肝試しのルートを全速力で走る優と笹木さん。


かくいう俺は

「うぉぉぉぉぉぁぁぁ!!無理!無理!怖い無理無理無理!!!!!」

と走ってルートガン無視andきた道を戻りもしないという第三ルートの最悪の道に進んでしまった。
そして、迷った。

(なんでこんなことに…)

とりあえず、スマホの灯りで照らして来た道戻るか。

地面を照らして、よし、来た道戻ろう。と思った瞬間

ガコッと、何かをけった感触がした。
なんだ?と思い、壊れたものを見てみると、大量のお札が貼られてある石をどかしていたらしい。

(これは、すぐに戻さないとヤバいやつでは…!?)

石を元に戻そうと思った瞬間

『おぉ、外の世界は快適だ…お主か?この呪いを解放したのは』

背中から声がする。低音で聞き心地のいい声だ。
でも、絶対幽霊だろう。このお札の数的にヤバいやつだったりする可能性が高い…

「いや、あの…特に何もして無いです…」

(やばいやばい!!早くあの石を戻さないと!)

石を戻そうとすると

『お主、いい身体をしておるな…休憩がてら居座るか』

「え…?」

後ろの影がそういうと同時に俺の身体に何かが入り込んできた。俺の中の臓物がぐわんぐわんいっていてとても気持ち悪い……

(誰か…たすけて…)

そのまま俺は意識を失った。





ちゅんちゅんという雀の声で目が覚める。いつのまにか俺は俺の部屋のベッドの上で寝ていた。

(おかしい…昨日は気絶したはず…)

『おぉ、気が付いたか。身体の中に入った瞬間お主が倒れたから、勝手に身体を借りて家に帰って来た。』

「うわぁぁぁ!!え、?誰?どこから喋ってるんだ?」

『まぁまぁ、そう驚くな。私の名前は竜尾適当に呼んでくれタケル』


「えっ?!なんで俺の名前を?!てか何!誰?!」

『ははっ、一々面白い反応をするな。一回落ち着きなさい』

そう言われて落ち着いて状況を確認する。

(確か俺は昨日肝試しに行って、横から出て来た幽霊に驚かされて…走って行ったらよくわからんとこ行っちゃって、よくわからん封印解いちゃって、俺の体の中にいる竜尾?とやらに居座られてる…?ってこと?)

『そうだな』
「え、今俺口に出てた?」
『いや、出てなかったぞ』
「なんで心の中で言ったことがわかるんだ?」
『タケルの体の中にいるからな。心の声は丸聞こえだ』

そう言われた途端俺は人生の終わりを悟った。

(俺の人生終わったぁ…よくわからんやつに取り憑かれてこのまま死んでくんだぁ…)

『おい、聞こえてるぞ』
「あ、ごめんなさい。お願いですから殺さないでくれませんか…」
『私がタケルのことを殺すと思ってるのか?こんな居心地のいい体殺すわけがないだろう。そもそも殺しは好きじゃない。』
「あ、そうなんだ」

そう言われてちょっと安心したのも束の間

『私はお前のことを殺さないが、お前のことを殺そうとする奴はこれからたくさん現れるだろうな』

「え、………ぇぇぇぇえええええ?!」


驚いてベッドの中に潜る

『やっぱり面白い反応をするな』

そう言ってクツクツと笑っている竜尾さん。

「殺す奴が現れるってどういうことですか…?!」

『私がお前の中にいるからな。お前を殺せば私も死ぬことになるから。お前を殺そうとする奴は現れるだろう』

「えっ?!俺が死んだらあなたも死ぬってどういうことですか?!」

『タケルの体で休もうと思って中に入ると、お前の体と私の体、精神の相性がバッチリすぎてな、つい仮の番の契約をしてしまったんだ。』

「番の契約とは…?」

『この世界の人間でいう、結婚?』

それを聞いて俺は泣きそうになった。まだ高校生なのに結婚をするなんて…彼女を作ったことも…デートをしたこともないのに…

『まぁまぁ、そんなにがっかりするな。まだ、仮だから大丈夫だ』

「何が大丈夫だよ!!何勝手に番になってるんだ!?意味わからん!つい、じゃねぇよ!」

(あぁ、グッバイ。俺の青春)


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