第2の人生は癒しのチート能力使って無双したいと思ってたのになぜか男のハーレムができている件について教えてください神様！？

七章(3)

「みなさん、僕はエルデント国第1王子、ハイリヒ・ソール・エルデントです。国内に入る前に魔物の討伐を阻止出来ず、みなさんを負傷させてしまった事、深くお詫び申し上げます。倒壊した家屋はエルデント国が責任を持って金銭面を全額負担いたします。……多くの方が無事避難しているようで、安心しました」

　水色の髪をした男の人は、この国の王子、ハイリヒ様だ。こんなに近くで見たのは初めてで、滅多に生まれない水色の美しい髪、王族である証の金色の瞳とスッと通った鼻筋に薄い唇。見れば見るほど王子の完璧さが分かる。

「王は倒れてしまいました(外に行こうとしたら反対されたので気絶させた)ので、僕が代わりに対応しております。国と城の結界は先程無事修復できましたので、安心してください」

　王子は最後に綺麗にお辞儀をすると、話を終えた。が、

「おや？ファーニア君とネーニア君じゃないか！学園以来だね、元気にしてたかい？」

　双子と友達なのか、王子はこっちに近づいてきた。が、ネーニアさんは不機嫌そうだ。それを見て王子は諦めたように笑って、なんと何故か私の方を見た。……うわわわ、本当にカッコいい……！周りにいた女性たちも、王子にうっとりと見惚れていて、さっきの不安そうな表情は消し飛んでいる。

「教会の中級シスターの制服だね？ユークリウッド家の者たちといるという事は、もしかしてリアの友達かい？」

　話しかけられるとは思っていなくて、ビクリと体が震えてしまった。

「は、はい！中央教会中級シスター、アイルと申します！リア君とは同期で友人です」

「どこかで見た事ある顔なんだけどなあ……セドワード、知ってる？」

「はっ、レイヤ騎士副団長の妹君かと」

「！　そうです！」

　リア君とお兄ちゃんが王子やその側近さんに認識されている事が嬉しくて、思わず大きな声で頷く。

「……はぁ、リアの周りに女がいる……本当に邪魔だなあ。ガイアだけでも邪魔なのに、護衛騎士とその妹まで邪魔なんて……」

「え？」

　王子は何かぶつぶつと呟いたが、声が小さくて何を言っているのか分からなかった。セドワードさんは聞こえていたらしく、少し気まずいような顔をしている。

「いいや、なんでもないよ。そろそろ外に出ようと思って。セドワード、後は頼んだよ」

「えっ、本当に行かれるんですかハイリヒ様！！！」

　転移魔法を使ったらしく、そこにはもう王子の姿は無かった。セドワードさんは「逃げられた……。リアさんがいるか確認したらさっさと転移なんてさすがに執着しすぎですよ……」と、王子と同じように何か小声で呟くと、はぁ、と大きくため息をついた。