254 / 296
冬は総括
短き秘密兵器
しおりを挟む
放課後にディーラーに寄ってあるものを受け取って来たんだ。
へへへ、遂に手に入れちゃったんだよ。これぞ伝家の宝刀、GT-R用のシフトレバーだよ。
これをつける事によって、レバーの高さが低くなって、ちょっとショート感が出るって情報なんだ。
クイック感を出す方法として、実際のゲートの距離を縮めるっていう方法が最も効果的らしいんだけど、それは高価な上に、ミッションを痛める可能性が指摘されているから、優子の伯父さんみたいな本格派な人を除いてはお薦めできないんだって。
そこで登場するのが、今回のレバーを短くしてショート化したものなんだよ。
コレも本来はミッションを痛める危険性が指摘されてるけど、これは何を隠そう純正品で、過去かなりの人が試しているので、その安全性には定評があるんだってさ。
「クイックシフトや、ショートシフトの設定が無いマイナー車の場合は~、純正のレバーを切ってショート化する人なんてのもいるからね~」
ふむふむ、なるほどね。
原理は分かるよ。長ければ少ない力で入る反面、ロングストロークになってしまうのは否めない。
でも、先端を短くすれば、力を大きくしなければならない反面、ストロークが短くなるんだって。
そして、その力の大きさが、ガッチリ感に変換されて感じられるわけだね。
そう言われてみれば、今までで最もフィーリングが酷いなと思ったのは、結衣が使ってたサニーのやつだよね。
「あぁ、あのサニーのね。グニャグニャだったからね」
あ、燈梨。そう言えば燈梨も、引っ越してきてからしばらくはあのサニー使ってたもんね。
そう言えばあのサニーってどうなったの?
「たまに水野が乗って来てるぞ」
そうなの悠梨?
詳しい事は分からないけど、水野は最近カプチーノに乗ってくる頻度がめっきり減ったらしい。そしてサニーに乗って来ている日が増えてるそうだ。
悠梨って、私らとちょっと通学時間帯がズレてるのと、駐車スペースが、教員用の所に近い事もあって、そっちがよく見えるんだね。
「そう言えばこの間、カプチーノの調子が良くない……みたいなこと言ってたよ」
そうなの燈梨?
遂に水野と、そんなプライベートなやりとりをするほどの親密な関係になったの?
まぁ、部の運営的には凄く喜ばしい状況なんだよね。ななみんは妙に水野を遠ざけてたし、燈梨も少し遠慮があったんだけど、これで上手くコミュニケーションが取れるようになれば、私としても万々歳なんだよ。
でもって、水野の奴、私の燈梨に取り入って油断させたところを、えっちな事とかを要求するかもしれないから、気を抜けないんだよね。
そうだよ、カプチーノの狭い室内に燈梨を押し込んで、抵抗できないようにしたところで、えっちな事とかを……許すまじ、水野!
よーし、今のうちに、水野をハンガーヌンチャクで亡き者にしておかないと……って、なんで柚月は止めるんだよ。
「マイ~、そんな事より、先に作業をしようよ~」
ええーい、放せ、放せぇ~!
え? 燈梨も手伝うから、今やっちゃおうだって? 仕方ないなぁ。
まずは手早くシフトノブと内装を外して……と、これはオーディオ交換でやってる作業だから、慣れたもんだよね。
そうすると、シフトレバーの根元に4ヶ所のネジで、ゴムブーツが留まってるから、それを外して、抜き取る……と。
へぇ、もう地面が見えるよ。
ミッションと室内の相関関係ってこうなってたんだね。
そして、外界と室内の境界はこのゴムブーツ1枚に隔てられてたんだね。
車の中って、結構密閉された空間だと思ってたんだけど、案外隙間だらけなんだね。
これでレバーが抜けてくるの? えいっ!
え? ちょっと待ってって? ただ刺さってる訳ないじゃんだって?
あ、ホントだ。シフトレバーの根元にC型の妙なリングが挟まってるぞ。
これを取らないとレバーは抜けないんだって?
でも、これさ、どうやったら取れるの? 結構固いし、マイナスドライバーじゃ歯が立たないよ。
え? なに柚月。それでも不正解じゃないけど、専用工具があるんだって?
スナップリングプライヤーって言うのか、なにこのハサミみたいな工具?
これで、Cのそれぞれの頂点にある窪みに差し込んで、ギュッと縮めるんだって?
原理が分かると、作業も捗るんだけど、いかんせん、このリング硬くてさ、この工具で縮めても、イイ感じのところまで縮んでくれないんだよね……って、あぁっ! また失敗したよ。
え? なに柚月。そんな事で車を叩いちゃダメだって? 誰がそんなことするんだよ。柚月じゃあるまいし。
柚月は、小学校3年の頃、HDDの残量が無いのに留守録したもんだから、録画をミスったレコーダーに鉄拳喰らわせて壊して、おじさんに怒られてたじゃないか。
「その話はいいんだよ~!」
全然良くないよ。
柚月は買い替えたレコーダーだって、リモコンのボタンを“16連射”とか言って、擦り付けるように連射してたら、リモコンのボタンが戻ってこなくなって、今度はおばさんに怒られてたからね。
……ようやくスナップリングってのが取れたよぉ。
まったく、手こずらせやがってぇ。コツは、片方の面だけでも外してしまう事なんだね。
そうすると……おおっ、シフトレバーが抜けたよぉ。
こんなあっさりと抜けるとは思わなかったよぉ。
なるほどね、こういう作りになってるのか、レバーを動かすと、この刺さってる方のレバーが動いて、シフトを動かすんだね。
それにしてもミッションオイルって臭いよね。
レバーの付近にこびりついてるのは、ずいぶん昔から堆積されてるものだから、臭さは結構強烈なんだって?
そしたら、ちゃちゃっと取り付けちゃおう。
今度はさっきと逆の工程でつけていけば良いんだよね。
くそぅ、スナップリングめぇ、外す時も苦労したけど、つけるときもやっぱり面倒臭いぞお……。
「最近分かったんだけど、外すのが面倒なものって、つけるのも面倒なんだよね」
そうなんだよぉ、燈梨ぃ。
この苦労を分かってくれるなんて、私は嬉しいよぉ……。
なに柚月? リングが入り辛いのは、もしかするとレバーが浮いてきてるかもしれないから、ちょっと押してみろって?
えいっ、えいっ。
その間に柚月がスナップリングを縮めて取り付けちゃったよ。
「ほらね~」
いや、思うんだけどさ、今のって柚月が怪力でスナップリングを縮めたからついたんじゃね?
そんな事ないだって? いーや、私にはそう見えるんだけどなぁ。
まぁいいや、取り敢えず、ちゃんと動くかどうかを試してみよう。
……よし、しっかり動いてるぞ。確かにカッチリした感じにはなった気がするけど、今のはシフトノブ無しで動かしたからかもしれないじゃん。
今度は元に戻して……と、おおっ! なんか内装をつけてみると改めて分かるんだけどさ、明らかにシフトレバーが短くなってるよぉ。
よし、これでシフトノブをつけて……完成だね。
どれどれ……おおっ!
イイよぉ~、今までに比べてギアチェンジの楽しさが格段に増したよぉ~。
短くなった事にも増して、心なしか、GT-R用の方が、カチッカチって入ってさ、凄く“ギアチェンジしてる”って感じになってさ。
いやぁ、今まで私はさ、オートマの方が楽でいいって思ってたけど、これがマニュアル車を運転する醍醐味ってやつだね。私も、なんとなく分かっちゃったよ。
さてと、これで凄く楽しくなっちゃったから、今度の休みは燈梨と一緒にどこかにドライブに行こうかなぁ……って、なんで柚月とななみんがついてくるって言うんだよぉ。
お前らは、体育館でマゾヒスト部の活動でもしてろよぉ。
へへへ、遂に手に入れちゃったんだよ。これぞ伝家の宝刀、GT-R用のシフトレバーだよ。
これをつける事によって、レバーの高さが低くなって、ちょっとショート感が出るって情報なんだ。
クイック感を出す方法として、実際のゲートの距離を縮めるっていう方法が最も効果的らしいんだけど、それは高価な上に、ミッションを痛める可能性が指摘されているから、優子の伯父さんみたいな本格派な人を除いてはお薦めできないんだって。
そこで登場するのが、今回のレバーを短くしてショート化したものなんだよ。
コレも本来はミッションを痛める危険性が指摘されてるけど、これは何を隠そう純正品で、過去かなりの人が試しているので、その安全性には定評があるんだってさ。
「クイックシフトや、ショートシフトの設定が無いマイナー車の場合は~、純正のレバーを切ってショート化する人なんてのもいるからね~」
ふむふむ、なるほどね。
原理は分かるよ。長ければ少ない力で入る反面、ロングストロークになってしまうのは否めない。
でも、先端を短くすれば、力を大きくしなければならない反面、ストロークが短くなるんだって。
そして、その力の大きさが、ガッチリ感に変換されて感じられるわけだね。
そう言われてみれば、今までで最もフィーリングが酷いなと思ったのは、結衣が使ってたサニーのやつだよね。
「あぁ、あのサニーのね。グニャグニャだったからね」
あ、燈梨。そう言えば燈梨も、引っ越してきてからしばらくはあのサニー使ってたもんね。
そう言えばあのサニーってどうなったの?
「たまに水野が乗って来てるぞ」
そうなの悠梨?
詳しい事は分からないけど、水野は最近カプチーノに乗ってくる頻度がめっきり減ったらしい。そしてサニーに乗って来ている日が増えてるそうだ。
悠梨って、私らとちょっと通学時間帯がズレてるのと、駐車スペースが、教員用の所に近い事もあって、そっちがよく見えるんだね。
「そう言えばこの間、カプチーノの調子が良くない……みたいなこと言ってたよ」
そうなの燈梨?
遂に水野と、そんなプライベートなやりとりをするほどの親密な関係になったの?
まぁ、部の運営的には凄く喜ばしい状況なんだよね。ななみんは妙に水野を遠ざけてたし、燈梨も少し遠慮があったんだけど、これで上手くコミュニケーションが取れるようになれば、私としても万々歳なんだよ。
でもって、水野の奴、私の燈梨に取り入って油断させたところを、えっちな事とかを要求するかもしれないから、気を抜けないんだよね。
そうだよ、カプチーノの狭い室内に燈梨を押し込んで、抵抗できないようにしたところで、えっちな事とかを……許すまじ、水野!
よーし、今のうちに、水野をハンガーヌンチャクで亡き者にしておかないと……って、なんで柚月は止めるんだよ。
「マイ~、そんな事より、先に作業をしようよ~」
ええーい、放せ、放せぇ~!
え? 燈梨も手伝うから、今やっちゃおうだって? 仕方ないなぁ。
まずは手早くシフトノブと内装を外して……と、これはオーディオ交換でやってる作業だから、慣れたもんだよね。
そうすると、シフトレバーの根元に4ヶ所のネジで、ゴムブーツが留まってるから、それを外して、抜き取る……と。
へぇ、もう地面が見えるよ。
ミッションと室内の相関関係ってこうなってたんだね。
そして、外界と室内の境界はこのゴムブーツ1枚に隔てられてたんだね。
車の中って、結構密閉された空間だと思ってたんだけど、案外隙間だらけなんだね。
これでレバーが抜けてくるの? えいっ!
え? ちょっと待ってって? ただ刺さってる訳ないじゃんだって?
あ、ホントだ。シフトレバーの根元にC型の妙なリングが挟まってるぞ。
これを取らないとレバーは抜けないんだって?
でも、これさ、どうやったら取れるの? 結構固いし、マイナスドライバーじゃ歯が立たないよ。
え? なに柚月。それでも不正解じゃないけど、専用工具があるんだって?
スナップリングプライヤーって言うのか、なにこのハサミみたいな工具?
これで、Cのそれぞれの頂点にある窪みに差し込んで、ギュッと縮めるんだって?
原理が分かると、作業も捗るんだけど、いかんせん、このリング硬くてさ、この工具で縮めても、イイ感じのところまで縮んでくれないんだよね……って、あぁっ! また失敗したよ。
え? なに柚月。そんな事で車を叩いちゃダメだって? 誰がそんなことするんだよ。柚月じゃあるまいし。
柚月は、小学校3年の頃、HDDの残量が無いのに留守録したもんだから、録画をミスったレコーダーに鉄拳喰らわせて壊して、おじさんに怒られてたじゃないか。
「その話はいいんだよ~!」
全然良くないよ。
柚月は買い替えたレコーダーだって、リモコンのボタンを“16連射”とか言って、擦り付けるように連射してたら、リモコンのボタンが戻ってこなくなって、今度はおばさんに怒られてたからね。
……ようやくスナップリングってのが取れたよぉ。
まったく、手こずらせやがってぇ。コツは、片方の面だけでも外してしまう事なんだね。
そうすると……おおっ、シフトレバーが抜けたよぉ。
こんなあっさりと抜けるとは思わなかったよぉ。
なるほどね、こういう作りになってるのか、レバーを動かすと、この刺さってる方のレバーが動いて、シフトを動かすんだね。
それにしてもミッションオイルって臭いよね。
レバーの付近にこびりついてるのは、ずいぶん昔から堆積されてるものだから、臭さは結構強烈なんだって?
そしたら、ちゃちゃっと取り付けちゃおう。
今度はさっきと逆の工程でつけていけば良いんだよね。
くそぅ、スナップリングめぇ、外す時も苦労したけど、つけるときもやっぱり面倒臭いぞお……。
「最近分かったんだけど、外すのが面倒なものって、つけるのも面倒なんだよね」
そうなんだよぉ、燈梨ぃ。
この苦労を分かってくれるなんて、私は嬉しいよぉ……。
なに柚月? リングが入り辛いのは、もしかするとレバーが浮いてきてるかもしれないから、ちょっと押してみろって?
えいっ、えいっ。
その間に柚月がスナップリングを縮めて取り付けちゃったよ。
「ほらね~」
いや、思うんだけどさ、今のって柚月が怪力でスナップリングを縮めたからついたんじゃね?
そんな事ないだって? いーや、私にはそう見えるんだけどなぁ。
まぁいいや、取り敢えず、ちゃんと動くかどうかを試してみよう。
……よし、しっかり動いてるぞ。確かにカッチリした感じにはなった気がするけど、今のはシフトノブ無しで動かしたからかもしれないじゃん。
今度は元に戻して……と、おおっ! なんか内装をつけてみると改めて分かるんだけどさ、明らかにシフトレバーが短くなってるよぉ。
よし、これでシフトノブをつけて……完成だね。
どれどれ……おおっ!
イイよぉ~、今までに比べてギアチェンジの楽しさが格段に増したよぉ~。
短くなった事にも増して、心なしか、GT-R用の方が、カチッカチって入ってさ、凄く“ギアチェンジしてる”って感じになってさ。
いやぁ、今まで私はさ、オートマの方が楽でいいって思ってたけど、これがマニュアル車を運転する醍醐味ってやつだね。私も、なんとなく分かっちゃったよ。
さてと、これで凄く楽しくなっちゃったから、今度の休みは燈梨と一緒にどこかにドライブに行こうかなぁ……って、なんで柚月とななみんがついてくるって言うんだよぉ。
お前らは、体育館でマゾヒスト部の活動でもしてろよぉ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、寺内勇人は高校三年生。妹の茜は高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる