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春は出会い……
帰り道と車泥棒
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別荘に戻って来ると、お菓子片手に、カラオケルームでカラオケやったり、悠梨が持ってきたゲーム機で、ゲームしたりして、夜中まで過ごした。
へぇ~、地下にはワインセラーがあるんだぁ、お洒落だねぇ。
私らも、2年後だったら、夜は、ワインパーティーだったのになぁ……。
お風呂は、温泉が出てくるし、岩風呂になっていて、凄く良かったよ。
そしてサウナもあってさ、ホントに贅沢な作りだったよぉ。
そして、お風呂の後も、カラオケして、超盛り上がっちゃったよぉ。
ゲストルームのベッドも、フカフカだったね。凄く寝心地良かったよ。
「ただ、結衣のイビキが、うるさくてさ~」
と柚月が言って、瞬間、ダッシュで逃げたが、ゴミのビニール袋を踏んで転び、結衣に捕まって、ポカポカ殴られていた。
「さぁ、バカは放っておいて、朝風呂に行こうぜぃ」
悠梨に言われて、私と、優子の3人で、朝から贅沢に温泉に浸かった。
「眺めが良いよね~」
私が言うと、悠梨は
「そうでしょ、このお風呂からの眺めが、最も自慢のポイントだって、言ってたよ」
と言うと、外を眺めて嬉しそうにしていた。
朝風呂が終わると、私と優子は、布団を干し、悠梨は掃除、そして、遅れてお風呂に入った結衣と柚月が、お風呂掃除をした。
掃除と片付けが終わると、備蓄してあったパスタでお昼にして、ガスや水道の元栓を閉めたかを確認して、出発した。
なんか、また来たいね。今度は、もう少しのんびりしたいよね……なんて、みんなと話していると、悠梨が言った。
「受験がひと段落したら、みんなで、ゆっくりしに来ようよ。伯父さんも、夏の一時期しか使ってないから、それ以外の時に使ってくれると、助かるらしいから」
それじゃぁ、お土産でも買ってから帰らないとな、どうせ、芙美香のやつが、うるさいだろうし。
なに柚月? 街まで私の車を運転させて欲しいって?
別にいいけど、崖から落としたりしないでよ!
柚月のGTS-4で山道を走ってみる。
エンジン的には、特に変わるところはないんだけど、山道の、特に上り坂で、その違いが、ハッキリ体感できるんだよね。
私の車だと、ちょっと、舵が抜けるような感覚の場所でも、しっかり、前のタイヤが掴んでくれるし、ちょっと引っ張ってくれるような感じもあって、乗りやすい、というか、安心感があるってイメージなんだよね。
街まで出て、お土産を見てみる。
野沢菜か……微妙だな。あ、プリンだって、でもって、絶対芙美香が『プリンなんか、スーパーでも買えるでしょ!』とか、文句言いそうな気がするんだよね。イナゴの佃煮……マジでパス!
柚月たち、何食べてるの? え? モカソフトが名物なの? 私も食べていこうっと。
さて、お土産も買っちゃえば、後は帰るだけだね。
結衣、どうしたの? この近くに、カー用品店があるって?
このメンバーは、観光地に来てまで、車の事ばかり考えてたの?
もう、帰ろうよぉ、出先でまで、カー用品店なんて行っても、どうせ、ウチらの近所にあるのと同じでしょ? なに? ここは系列が違うから、置いてるものにも変化があるって?
もういいってば、帰ろうよ……って、結衣が私の車に乗って出発してった。
あ! 待てーっ! 助手席の窓が開いて、優子が顔を出したぞ
「へっへーんだ! マイ、これで帰れないでしょー!」
くそーっ! 車泥棒めー! 柚月、早く追うんだー!
「マイ~、追うと、ユイたちの思うつぼになるよ~」
それはそうだけど、だからと言って放っといたら、車を乗り捨てて帰ってくるかもしれないから、まずは捕まえるんだよ。
◇◆◇◆◇
5分ほど走って、国道沿いの施設の駐車場にいる2人を発見した。
いたぞぉ~、結衣め! 正義の鉄拳を喰らえ~!
痛いって? その痛みは、信頼していた友人に、車を盗まれた私の心の痛みに比べれば、ずっと軽いものだぁ。
えいっ! えいっ! やぁっ! ……はぁはぁ、これで少しは、私の痛みが分かったか?
「マイ~、折角だから、中覗いて行っちゃおうよ~」
むむっ! 柚月め、もっともらしいこと言って、中を覗きたいっていう願望が丸見えだぞ。
まぁ、仕方ないなぁ。じゃぁ、行こうか。
確かに、雰囲気とかは、ウチらの地元のにも似てるけど、少し置いてあるものとかは違うかもね……って、ポータブルナビとかだと安いんだね。
なに柚月? 小声で、え? そこのメーカーのは、壊れやすいから、たとえ1000円でも、買っちゃダメだって? ほうほう、なるほどね。
ちょっと柚月、このオーディオって、超安くない?
私が買ったやつと同じ機種だけど、私がネット通販で買ったのより1000円も安いんだけど……って、柚月ー!黙って持っていかないで、私に感謝しろよー!
私は、何か買わないのかって? 別に買うようなものもないしな、え? 昨日のフォグのバルブなんてどうかって? 見たらさ、バルブ4000円もするじゃん! ちょっとお高いよね。
ふぅ、私は買うものなかったけど、柚月と結衣は、オーディオが安くて良かったよね。
じゃぁ、帰ろう……って、手を引っ張って、何処に連れて行く気だー!
隣に、ホームセンターがあるよ、だって? 私は、ホームセンターに、用事はないよー!
お前らなぁ、旅行に来てまで、なんでカー用品店と、ホームセンターのはしごなんだよぉ……って、ガン無視かぁ?
「ホラ、やっぱり、ハイワッテージバルブが安いよ~」
そんなに安いと思うなら、柚月が買えば良いじゃん……って、買うの? え? だって安いんだもんって、3つも? ライトと、フォグの2灯分だって?
じゃぁ、私も……って、私が買ったら最後じゃん! よし。
「それじゃぁ、早速マイのやつを変えてみよ~。私は、ライトのバルブを変えるから」
って、柚月め、勝手に仕切るんじゃない! 柚月のフォグはどうするのさ?
それは外すのが面倒だから、今日は無理だって?
まずは、バンパーの裏側に、ナンバープレート脇からアクセスして、ボルトを外し、フォグ本体を外して、裏返し、プラスネジで留まっている裏蓋を外すと、プロジェクターフォグが、真っ二つに割れるので、バルブを交換する。
面白いね。ライトと違って、このフォグランプって、バルブが、天辺に突き刺さってるみたいについてるよ。なんか、家の電灯みたいなレイアウトだね。
取り出したバルブなんだけど、白濁しちゃってるよ。こりゃぁ、一体、いつのものなんだろうね。
それと、中に入ってるレンズみたいなのが、明らかに曇ってるんだよね。
なに柚月? これ使ってって、なに? ガラスコンパウンド。これでゴシゴシ擦るのね……って、マジ、曇りが綺麗に取れたんですけど。
なに? ガラスコンパウンドは100均のやつが一番良いって? マジで?
取り敢えず、取り付ける前にスイッチを入れてみよう……ついた。
よし、取り付けて、再度スイッチオンだ。
感想はさ、なんか昼間なせいか、全然効果が分からないんだけどさ、車の真正面から見た感じは、前よりも、眩しい感じがするから、きっと、明るくなってるんだと思うんだよね。
よぉーし、終わったぞ。柚月の方も終わったみたいだから、今度という今度こそ、帰るよ。
ホラ見てよ、県外ナンバーの車が2台も、作業してるから、あの冷ややかな注目を……え? なに優子、違うって、みんな車を見てるんだって?
ようやく帰り道に入ったんだけど、もう、旅行に来てまで、車のことばかり、気になってるウチのメンバーって、ちょっとおかしくない?
私らさ、残り少ない華のJK生活を、思いっきり楽しまなきゃならないのにさ、日本中の何処探したって、R32の事ばかり考えて、隙あらば、カー用品店に行ったり、駐車場でパーツ交換したりしてるJKなんていないよ! ねぇ、悠梨!
「あぁ……そうだね」
なんか、悠梨の歯切れが悪いのがちょっと気になるけど、確か悠梨は、AT限定免許のコースだったから、間違いなくあっち側の人間じゃないんだよ。だから、悠梨を、こっちの陣営に引き入れて、あの変態どもと分断しないと、ただのクルマバカ女子グループみたいになって、あの兄貴の、二の舞みたいになっちゃうよ。
私は、運転しながら、柚月のR32とは、やはり少し違う動きをしている事に、気がつく自分を必死で抑えながら、そう思っていた。
へぇ~、地下にはワインセラーがあるんだぁ、お洒落だねぇ。
私らも、2年後だったら、夜は、ワインパーティーだったのになぁ……。
お風呂は、温泉が出てくるし、岩風呂になっていて、凄く良かったよ。
そしてサウナもあってさ、ホントに贅沢な作りだったよぉ。
そして、お風呂の後も、カラオケして、超盛り上がっちゃったよぉ。
ゲストルームのベッドも、フカフカだったね。凄く寝心地良かったよ。
「ただ、結衣のイビキが、うるさくてさ~」
と柚月が言って、瞬間、ダッシュで逃げたが、ゴミのビニール袋を踏んで転び、結衣に捕まって、ポカポカ殴られていた。
「さぁ、バカは放っておいて、朝風呂に行こうぜぃ」
悠梨に言われて、私と、優子の3人で、朝から贅沢に温泉に浸かった。
「眺めが良いよね~」
私が言うと、悠梨は
「そうでしょ、このお風呂からの眺めが、最も自慢のポイントだって、言ってたよ」
と言うと、外を眺めて嬉しそうにしていた。
朝風呂が終わると、私と優子は、布団を干し、悠梨は掃除、そして、遅れてお風呂に入った結衣と柚月が、お風呂掃除をした。
掃除と片付けが終わると、備蓄してあったパスタでお昼にして、ガスや水道の元栓を閉めたかを確認して、出発した。
なんか、また来たいね。今度は、もう少しのんびりしたいよね……なんて、みんなと話していると、悠梨が言った。
「受験がひと段落したら、みんなで、ゆっくりしに来ようよ。伯父さんも、夏の一時期しか使ってないから、それ以外の時に使ってくれると、助かるらしいから」
それじゃぁ、お土産でも買ってから帰らないとな、どうせ、芙美香のやつが、うるさいだろうし。
なに柚月? 街まで私の車を運転させて欲しいって?
別にいいけど、崖から落としたりしないでよ!
柚月のGTS-4で山道を走ってみる。
エンジン的には、特に変わるところはないんだけど、山道の、特に上り坂で、その違いが、ハッキリ体感できるんだよね。
私の車だと、ちょっと、舵が抜けるような感覚の場所でも、しっかり、前のタイヤが掴んでくれるし、ちょっと引っ張ってくれるような感じもあって、乗りやすい、というか、安心感があるってイメージなんだよね。
街まで出て、お土産を見てみる。
野沢菜か……微妙だな。あ、プリンだって、でもって、絶対芙美香が『プリンなんか、スーパーでも買えるでしょ!』とか、文句言いそうな気がするんだよね。イナゴの佃煮……マジでパス!
柚月たち、何食べてるの? え? モカソフトが名物なの? 私も食べていこうっと。
さて、お土産も買っちゃえば、後は帰るだけだね。
結衣、どうしたの? この近くに、カー用品店があるって?
このメンバーは、観光地に来てまで、車の事ばかり考えてたの?
もう、帰ろうよぉ、出先でまで、カー用品店なんて行っても、どうせ、ウチらの近所にあるのと同じでしょ? なに? ここは系列が違うから、置いてるものにも変化があるって?
もういいってば、帰ろうよ……って、結衣が私の車に乗って出発してった。
あ! 待てーっ! 助手席の窓が開いて、優子が顔を出したぞ
「へっへーんだ! マイ、これで帰れないでしょー!」
くそーっ! 車泥棒めー! 柚月、早く追うんだー!
「マイ~、追うと、ユイたちの思うつぼになるよ~」
それはそうだけど、だからと言って放っといたら、車を乗り捨てて帰ってくるかもしれないから、まずは捕まえるんだよ。
◇◆◇◆◇
5分ほど走って、国道沿いの施設の駐車場にいる2人を発見した。
いたぞぉ~、結衣め! 正義の鉄拳を喰らえ~!
痛いって? その痛みは、信頼していた友人に、車を盗まれた私の心の痛みに比べれば、ずっと軽いものだぁ。
えいっ! えいっ! やぁっ! ……はぁはぁ、これで少しは、私の痛みが分かったか?
「マイ~、折角だから、中覗いて行っちゃおうよ~」
むむっ! 柚月め、もっともらしいこと言って、中を覗きたいっていう願望が丸見えだぞ。
まぁ、仕方ないなぁ。じゃぁ、行こうか。
確かに、雰囲気とかは、ウチらの地元のにも似てるけど、少し置いてあるものとかは違うかもね……って、ポータブルナビとかだと安いんだね。
なに柚月? 小声で、え? そこのメーカーのは、壊れやすいから、たとえ1000円でも、買っちゃダメだって? ほうほう、なるほどね。
ちょっと柚月、このオーディオって、超安くない?
私が買ったやつと同じ機種だけど、私がネット通販で買ったのより1000円も安いんだけど……って、柚月ー!黙って持っていかないで、私に感謝しろよー!
私は、何か買わないのかって? 別に買うようなものもないしな、え? 昨日のフォグのバルブなんてどうかって? 見たらさ、バルブ4000円もするじゃん! ちょっとお高いよね。
ふぅ、私は買うものなかったけど、柚月と結衣は、オーディオが安くて良かったよね。
じゃぁ、帰ろう……って、手を引っ張って、何処に連れて行く気だー!
隣に、ホームセンターがあるよ、だって? 私は、ホームセンターに、用事はないよー!
お前らなぁ、旅行に来てまで、なんでカー用品店と、ホームセンターのはしごなんだよぉ……って、ガン無視かぁ?
「ホラ、やっぱり、ハイワッテージバルブが安いよ~」
そんなに安いと思うなら、柚月が買えば良いじゃん……って、買うの? え? だって安いんだもんって、3つも? ライトと、フォグの2灯分だって?
じゃぁ、私も……って、私が買ったら最後じゃん! よし。
「それじゃぁ、早速マイのやつを変えてみよ~。私は、ライトのバルブを変えるから」
って、柚月め、勝手に仕切るんじゃない! 柚月のフォグはどうするのさ?
それは外すのが面倒だから、今日は無理だって?
まずは、バンパーの裏側に、ナンバープレート脇からアクセスして、ボルトを外し、フォグ本体を外して、裏返し、プラスネジで留まっている裏蓋を外すと、プロジェクターフォグが、真っ二つに割れるので、バルブを交換する。
面白いね。ライトと違って、このフォグランプって、バルブが、天辺に突き刺さってるみたいについてるよ。なんか、家の電灯みたいなレイアウトだね。
取り出したバルブなんだけど、白濁しちゃってるよ。こりゃぁ、一体、いつのものなんだろうね。
それと、中に入ってるレンズみたいなのが、明らかに曇ってるんだよね。
なに柚月? これ使ってって、なに? ガラスコンパウンド。これでゴシゴシ擦るのね……って、マジ、曇りが綺麗に取れたんですけど。
なに? ガラスコンパウンドは100均のやつが一番良いって? マジで?
取り敢えず、取り付ける前にスイッチを入れてみよう……ついた。
よし、取り付けて、再度スイッチオンだ。
感想はさ、なんか昼間なせいか、全然効果が分からないんだけどさ、車の真正面から見た感じは、前よりも、眩しい感じがするから、きっと、明るくなってるんだと思うんだよね。
よぉーし、終わったぞ。柚月の方も終わったみたいだから、今度という今度こそ、帰るよ。
ホラ見てよ、県外ナンバーの車が2台も、作業してるから、あの冷ややかな注目を……え? なに優子、違うって、みんな車を見てるんだって?
ようやく帰り道に入ったんだけど、もう、旅行に来てまで、車のことばかり、気になってるウチのメンバーって、ちょっとおかしくない?
私らさ、残り少ない華のJK生活を、思いっきり楽しまなきゃならないのにさ、日本中の何処探したって、R32の事ばかり考えて、隙あらば、カー用品店に行ったり、駐車場でパーツ交換したりしてるJKなんていないよ! ねぇ、悠梨!
「あぁ……そうだね」
なんか、悠梨の歯切れが悪いのがちょっと気になるけど、確か悠梨は、AT限定免許のコースだったから、間違いなくあっち側の人間じゃないんだよ。だから、悠梨を、こっちの陣営に引き入れて、あの変態どもと分断しないと、ただのクルマバカ女子グループみたいになって、あの兄貴の、二の舞みたいになっちゃうよ。
私は、運転しながら、柚月のR32とは、やはり少し違う動きをしている事に、気がつく自分を必死で抑えながら、そう思っていた。
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