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軽蔑
しおりを挟む学校につき廊下を走ると、ホームルームを終え廊下でたむろしていた生徒や、横を通り過ぎる生徒がギョッとした目で静を見る。
「え?やばくね?今の見た?!あれ、C組のデブじゃん!
なんで血垂らしてんの?」
「怖いんだけど!!ホラー?!」
横を通り過ぎる生徒たちがどんな声をかけてきても静は足を止めずに走り続けた。どんなに汚くてもいい。どんなに軽蔑されたっていい。宗介にただ会いたい。宗介ならこんな自分を優しく受け止めてくれる。
そんな一心で走り続ける。
駆け足で屋上に向かったがそこには誰もいない。
一学年上の宗介の教室に向かうとその姿があった。
静は乱れた呼吸を整えながら、扉から教室の中を覗き込むと偶然にも宗介がいた。その周りを5.6人の男女が取り囲んでいる。
宗介の姿を見るだけで心が落ち着き、口元から笑みが浮かびそうになった。さっきまでのモヤモヤした気分が一気に晴れていく。周りの人たちがいなくなってから宗介に話しかけようと静はその場で姿がバレないように身を隠した。
すると、教室の中から話し声が聞こえてくる。
「何それ!面白すぎ!」
「やべえっしょ??で、顧問にそれ言ったらガンギレされてさ」
何の話かはわからないが、男女は楽しげに話しているが、宗介の声はまだ聞こえてこない。
「そういえば、宗介さ
最近、あの太ってるニキビ面の子と仲良いみたいな話聞いたんだけどそれって本当??あの、立なんとかだっけな
ちょっとキモい子!!」
教室の中から聞こえる女子の声。静の心臓がドクンと鳴る。それはきっと自分のことだ。
静は宗介に迷惑をかけないためにも、屋上や家以外では極力距離を置くようにしていたため、まさか自分たちのことを見られているとは思わなかった。
親しいと思われたら宗介がひどいことを言われるかもしれない。お願いだから知らないと答えてほしいと静は願った。
「うん?太ってるニキビ面??ああ
あの気持ち悪いやつでしょ??」
気持ち悪いやつ…??
静は勘違いと思いたかったが、それは明らかに宗介の声だった。
いつも包み込むように優しい宗介の声が棘のように胸に突き刺さる。
「なんか、よく屋上行ってたら付き纏われちゃってさ。揶揄うと面白い反応するからついつい話しかけちゃったんだけど」
「宗介ウケる
そんなことしたらあの子が可哀想じゃーん」
目の前がどんどん真っ暗になっていき。
その場に立っていられず座り込んでしまう。
これ以上聞きたくないと思うのに、耳を塞ぐ気力さえ起きない。
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