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告白
しおりを挟む「なあ、豚
今日金持ってきてないってなんだよ」
静は階段の隅で数人に囲まれていた。
発端は静が家に金を置いてきたことだった。そのことが気に食わず川島たちは静を強引にここまで連れ出した。
「お金無くなっちゃったんだ…」
「そんなのお前の母親に頼めばいいだろうが。
金ねえとか嘘ついてんじゃねえぞ!ドブス!!
母親の財布からでもとってこいよ!」
川島は静の腹に膝で蹴りを入れる。
「うっ!!」
「ははっ、苦しがってる顔もきっも!!」
静が蹴られた衝撃で床に倒れ込むと一気に群がり、蹴る殴るなどの攻撃を始めた。早く終われ、終われと目をギュッと強く瞑り願い続けた。
翌日、静は屋上へと向かった。
どうしても宗介に会いたかった。自分の生きる意味となっている宗介に。だが、会う時間や日にちを決めているわけではないため会えない可能性の方が高い。
そんなことがわかっていながらも静は足を進めた。
屋上に入ると、そこには人影があった。
「そうくん」
「あれ?静?
珍しいね、今日来るとは思わなかったな」
「……迷惑だった??」
静が顔を俯かせながらいうと、宗介は静の元に近寄り頭をぐしゃぐしゃにして撫でた。
「迷惑じゃない
嬉しいよ」
「……良かった」
宗介が地べたに座ると、静はいつも通り1人分空けて隣に腰をかける。
お互いよく話すタイプではないため、静穏な時間が刻々と流れる中、宗介は静の顔をじっと見つめた。
「静、その怪我どうしたの?」
「……えっ?」
「その口の端にできた怪我」
宗介が触れるか触れないかギリギリの位置で指を刺す。
その傷は先日、川島たちに殴られてできたものだった。普段、暴力沙汰がばれないようにと体ばかりを集中攻撃する川島たちだが、昨日はたまたま連中の誰かの足が顔に掠れてしまい傷を負ってそこがかさぶたになっていた。
「ああ、これね…
実は転んじゃって
おっちょこちょいなんだ…」
静は無理に笑みを浮かべて、また咄嗟に嘘をつく。
「そうなんだ…
早く治るといいね」
「…ありがとう」
静はうまく誤魔化せたと安心して、顔を俯かせた時、顎に指が添えられ顔を上にあげさせられる。
そして、傷口に吸い付くように柔らかい感触が伝わった。
静は人生で初めて感じるその感触に目を見開いた。
「えっ…今何を…」
宗介の顔が離れていき、静の瞳を捉える。
「俺さ、静のことが好き」
「えっ…??」
いつもと変わらぬ話し方で言われるため、静は現状がよく理解できない。
一体、宗介は何を言っているのか。
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