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しおりを挟む「玲、今のは聞かなかったことにしていいから」
「いいよ、別に
はい、食べて」
麦は沙耶の期待する視線に耐えきれず、口を開き玲のアイスを食べようとするとそれよりも先に俊二がアイスを口に運んだ。
「えっ、何やってんの…お前」
「むーちゃんにそういうことしていいの俺だけだから」
沙耶はアイスを食べながら2人のやり取りを見ると"あっ"と声を上げた。
「れいくんとこわいおにいちゃんはかっぷるですね!」
「「は??」」
沙耶が2人を指差して嬉しそうに言うが、2人は眉間に深い皺を刻む。
「さあちゃんのほいくえんではあーんしたひとどうしはかっぷるです!」
「そうなんだ、新たなカップル誕生だね」
麦は笑みを浮かべながら、ウェットティッシュでアイスがついた沙耶の口元を拭う。
「沙耶ちゃん、何言ってんの?
俺と玲くんはカップルじゃないよ
それにさっきお姉ちゃんと俺があーんしあってたから俺とむーちゃんがカップルじゃない?」
沙耶は首を横に振る。
「いえ、かっぷるなんです!!」
沙耶は何故か両手を上に上げて喜んでいる。否定するつもりはないがボーイズラブというものに早くも目覚めてしまったのかという考えが麦の頭をよぎる。
「じゃあ、さーちゃんと私はカップル?」
「ううん、ちがう!」
「じゃあ、玲と俊二は?」
「かっぷる!らぶらぶ!」
「ただのカップルじゃなくて、ラブラブなんだね」
麦は2人にバレないように両手で顔を隠して笑っていると、テーブルの下で俊二の長い足が麦の足へと絡む。
「笑わないで
ちゃんと否定してよ」
いじけたような顔をする俊二の顔が、沙耶と同じくらいの幼さを感じて、麦は思わず俊二の頬に手を伸ばす。
「むーちゃん」
「いじけないで
子供は感じたことをすぐに言いたくなっちゃうものだから」
俊二は頬に添えられた麦の手の上に自分の手を重ねる。
「……俊二、玲と幸せにね」
「むーちゃん、嫌だっての」
俊二は麦を上目で睨みつけながら、麦の手を取り手の甲に口付ける。
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