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しおりを挟む「俊二ダメ」
「嫌だ、ねえ、隠し子って何?説明してよ」
俊二が麦へと顔を近づけた途端、俊二の制服の裾を何かが引っ張る。
「むっちゃんに意地悪しないで」
沙耶は涙目になりながら、俊二の裾を引っ張り麦から引き剥がそうとしていた。そんな勇敢な妹の姿をみて、麦は感激を覚える。
「さーちゃん、助けてくれてありがとう」
麦が沙耶を抱き上げると、沙耶は麦にギュッと強く抱きつく。
「えー、俺悪者みたいになっちゃった
で、その子誰?」
先ほどまでの様子は冗談だったようで、俊二はいつも通りの様子で麦の結ばれた髪を指に絡める。
「私の妹」
「あ、噂の妹ちゃんか
俺ね前、君の推しの髪型にしたんだよ~」
俊二は自分の髪の毛を指差して沙耶の方へと見せつける。
以前、麦に好きなアイドルがいると勘違いした俊二はそのアイドルに嫉妬して、髪型を真似したことがある。しかし、それは麦の好きなアイドルではなく妹の好きなアイドルだったということがあった。
俊二は沙耶の顔を覗き込もうとするも、沙耶は俊二から顔を逸らし麦の首元に顔を埋める。
「完全に嫌われてんじゃん」
玲が嘲笑いながらいうと、俊二は軽く唇を尖らせた。
「嫌ってるんじゃなくて、恥ずかしがってんだよねえ?」
沙耶はその言葉に対して首を縦に振ろうとしない。普段、イケメンに食いつく妹にしては珍しいと思いつつも沙耶の頭を撫でた。
「きっと姉ちゃんに嫌なことするやつだと思ったんじゃね?」
「…このおにいちゃん、こわい」
確かに初対面の時は麦も俊二は怖いと感じていた。その気持ちはよくわかる。うんうんと頷きながら沙耶の頭を撫でる。
「さーちゃんはれいくんがいい…」
「じゃあ俺とデートしますか?」
玲が沙耶の顔を覗き込みながらいうと、麦の首元から即座に顔を上げて大きく頷いた。
そして、麦の腕から解放されると、玲の手をしっかりと握る。麦は玲は性格上、子供をめんどくさい存在と捉えていそうと感じていたが、意外に扱いが上手いことに驚いた。
「じゃあ、俺たちもデートしたいな」
俊二は麦の横に並ぶと、腰に腕を回した。
「私は妹のガードマンをしないといけないから」
「俺もそのお手伝いってことでどう?
じゃあお前らとはここで解散だからまたね~」
俊二は残された者たちに手を振ると、振り返りもせずに歩みを進めていく。
後ろからは俊二を呼ぶ声が聞こえてくるが俊二はそれを聞こえないふりをしていた。
「良かったの?」
麦は俊二を見上げると、少し間立ち止まって額同士が合わさる。
「うん、むーちゃんとの時間が1番大事」
俊二は額を離すと今度を唇を寄せてきたため、麦は早歩きをして玲たち後を追う。
「むーちゃん、冷たいって」
「妹に悪影響だから」
「妹ちゃんもいずれは彼氏連れてくるのよ?
今だってあんなちびっ子なのにデートなんて言いはじめてるじゃん」
「彼氏なんてまだ許しません」
「意外とシスコンなむーちゃんもいいかもね」
前を歩く2人についていき、どんな店に入るのだろうかと観察していると、2人はゲームコーナーへと入っていった。
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