遊び人は真面目地味女に恋をする。

ぽぽ

文字の大きさ
上 下
42 / 55

しおりを挟む


「上川くんに謝ったほうがいいよ
勝手に因縁つけて、怒って、迷惑かかるに決まってるでしょ」


いつもの甘ったるさが無くなってしまった俊二に対してさっきまでおどおどとしていたが、麦は覚悟を決めて真っ直ぐと目を見て伝える。
すると、俊二の眉間に深い皺が刻まれた。


「なんで俺が謝んの??」

「上川くんに勝手に因縁つけて怒ったでしょ?
謝ることなんて私の4歳の妹でもできる」

「は?俺を4歳以下だって言いたいの?」


俊二は呆れたように笑うも、笑っているのは口元だけで目は全く笑っていない。
麦は勢いで言ってしまった言葉を慌てて否定する。

「ごめんっ…そうじゃなくて!」

「わかりました~。俺が悪かったです。
ごめんね~。上川許してね
俺お子ちゃまなんで、沸点低いんですよ~」


俊二は口元に笑みを浮かべたまま、ぷらんと垂れ下がっていた上川の手を掴み、強引に握手をしてパッと手を離す。
そして、自分の席に戻ると机の横にかかっていた鞄を手に取って教室を去ってしまった。

俊二の名前を大きな声で呼んで、今すぐにでも追いかけたい。

そんな気持ちがあったのに、周りの視線に麦はその場で固まって動けなかった。
他人の目を気にしてしまう、弱い自分に嫌気がさした。

それからというもの、麦は俊二に謝罪の言葉を言おうとするも、ことごとく避けられてしまう。

教室ではどうせ避けられてしまうからと、放課後に帰ろうとする俊二を追いかけて、謝ろうとしても俊二の視界に麦が入った途端どこかに行ってしまう。

俊二のそんな態度に麦は唇を噛み締めた。
こんなの自業自得だ。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ

しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

危険な残業

詩織
恋愛
いつも残業の多い奈津美。そこにある人が現れいつもの残業でなくなる

邪魔しないので、ほっておいてください。

りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。 お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。 義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。 実の娘よりもかわいがっているぐらいです。 幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。 でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。 階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。 悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。 それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!

処理中です...