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しおりを挟む「蒴、お前って出かける前、電気消しとくタイプじゃなかったっけ…」
恭弥は恐る恐るといった様子で煌々と光る蒴の部屋の窓を指す。
流石の蒴も驚いた様子でドアノブに手をかけたと同時に扉が開かれる。
「蒴、おかえり」
部屋の中からふわふわした白色の寝巻きを纏った美香が現れた。そして、目の前の蒴に笑顔を浮かべ腰に腕を回し抱きつく。
「えっと…美香、何やってるの?」
「蒴に会いたくなったから家に来ちゃった
この前、合鍵渡してくれていつでも来てもいいよって言ってくれたでしょ??」
美香が蒴を見上げながら可愛らしく首を横に傾げる。
だが、なかなか返事をしない蒴をみて、不安気な表情を浮かべる。
「あ、菫ちゃんと恭弥さんが遊びに来る予定だったんだね?」
美香は菫と恭弥の存在に気づき、少し照れた様子で蒴から離れる。美香は軽く頭を下げるも菫はそれを返せない。以前の美香の話を聞いて以来、警戒心が生まれてしまった。
「いや、そういうわけではないけど、菫が俺の家に忘れていったものを持っていってもらおうかなと思って」
「そうだったんだね
菫ちゃんのもの結構残ってるもんね
私まとめておこうか?」
「大丈夫、菫にいるものいらないもの決めてもらうから」
「そう?あ、お二人ともどうぞ」
美香はまるで自分の家かのように家の中に2人を案内しようとする。以前のことがあって美香がなぜここまで平然としているのか菫は不思議でたまらない。
「どうも~、じゃあ遠慮なく2人の愛の巣に入ろうかな、菫入ろ」
恭弥が菫の背中を押して、部屋の中に一緒に入ろうとするも菫がその場に立ち止まって拒む。
「私帰るっ!」
「帰るってどうやって帰るの?」
蒴の突然冷たくなった声に菫は肩を震わせる。
「歩いて帰る」
「歩くってどんだけ距離があると思ってるの
それに夜道は危ないってこと何度も伝えてるよね?」
「……」
菫が黙ってしまうとその様子を横で見ていた美香が両手をパンと音を立てて合わせる。
「そういえば私ワイン買ってきたんですよ
良かったら4人で飲みませんか?」
脈絡もなく空気の読めない発言をした美香に対して誰も返事を返せずにいると、美香が蒴の腕に抱きついた。
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