好きな人の好きな人

ぽぽ

文字の大きさ
上 下
89 / 98

.

しおりを挟む


「大丈夫、2人きりにはしないって」

「うん」


恭弥は菫から蒴の方へと視線を移し、菫の手を握っていない方の手で自分の頭を軽く掻いた。


「蒴、菫と2人きりで話したいのもわかるけど一旦俺と話そうよ」


蒴は不服そうな顔をしたが、数秒おいて小さく首を縦に振る。


「わかった、どうせここで2人きりで話なんてさせてくれないのはわかってるから段階踏むことにするよ
でも、とりあえずその手はダメ」


蒴の鋭い目が2人の繋がれた手元へと向く。


「蒴ちゃんには関係ない」

「関係ある」

「ない!!」

「ある」


2人で言い合いをしていると、恭弥は睨み合う互 双方の顔を見て呆れた顔をする。


「あのさ、2人とももう大人だよな?
それにここは俺が住んでるマンション
騒がしくしていいの??」


恭弥は自分の部屋の扉を指差して2人に問いかけると、菫は気まずそうな顔をして蒴から目を逸らし、恭弥の背中側へと回り込み腰に腕を回して強く抱きついた。そして、恭弥の背中越しに蒴を睨みつける。


「蒴ちゃんのせい…」

「今のはすーちゃんも悪いでしょ
俺は蒴と話してくるから、買ってきたものを冷蔵庫の中に入れといてもらっていい?」


恭弥は近くに置いていた荷物を持つと、部屋の鍵を開ける。菫の背中を押して部屋の中に入れて、玄関に荷物を置いていく。


「じゃあ、菫
ちょっと間だけいい子にしてて」


出て行こうとする恭弥の背中に菫が抱きつくと、恭弥の体が固まる。
恭弥は外に出ようと開けかけていた扉を閉じて、腰に回った菫の腕を掴んでどかした。


(あ、そうだ…今1人になるのは寂しいと思ってつい抱きついちゃったけど、いきなり抱きつかれたら嫌だよね)


菫は勢いで行動してしまったことに気づき離れようとすると、恭弥が菫の方を振り返って菫の腰回りに腕を回して抱きしめた。


「俺は正面同士で抱き合う方が好き」


恭弥の笑みを含んだ声が耳元に響く。


「恭弥くん…色々と巻き込んでごめんね…」

「まあ…でも俺も自分から巻き込まれに行ってるから菫たちのことどうこう言えないね」


恭弥が菫の背中を一度だけポンと叩くと、肩を掴んで離す。


「じゃあ行ってくるから」


恭弥が蒴と話に行ってしまってから数十分が経つが、菫は座ることもなく部屋と扉の前を行ったり来たりしてそわそわしてしまう。
そんなことを何往復も繰り返していると、扉のノブが動いた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


すいません、前回のページがなぜか半分以上前のページの内容が書かれてしまっていたようです。修正しておきました。

誤字やら間違いやらたくさんあって読みにくいかもしれませんが、今後もよろしくお願いします…






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

睡蓮

樫野 珠代
恋愛
入社して3か月、いきなり異動を命じられたなぎさ。 そこにいたのは、出来れば会いたくなかった、会うなんて二度とないはずだった人。 どうしてこんな形の再会なの?

【完結】やさしい嘘のその先に

鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。 妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。 ※30,000字程度で完結します。 (執筆期間:2022/05/03〜05/24) ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます! ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ --------------------- ○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。  (作品シェア以外での無断転載など固くお断りします) ○雪さま (Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21 (pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274 ---------------------

セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。 干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。 と思っていたら、 初めての相手に再会した。 柚木 紘弥。 忘れられない、初めての1度だけの彼。 【完結】ありがとうございました‼

頑張らない政略結婚

ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」 結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。 好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。 ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ! 五話完結、毎日更新

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

処理中です...