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真実
しおりを挟む大学の昼休み中、菫の携帯に母から電話がかかってきた。
『もしもし、菫?』
「ママ、どうしたの??」
『あんた最近、蒴くんとなんかあったでしょ?』
突然言われた母からの言葉に菫の心臓がドクンと跳ねる。
「なに、どうして?突然」
電話越しに引き攣った笑顔を浮かべて、無理に明るい声を出そうとした。電話の向こうで菫の母は深刻な様子で言葉を続ける。
『蒴くんからこの前すごーく焦った様子でうちに電話が来てね、菫から聞いていた引っ越し予定日より前に菫が引っ越していったから、どうしたのか知ってますか?そちらに行ってませんか?連絡も繋がらないんですって…ママ、蒴くんのあんな焦った声初めて聞いてびっくりしたわよ…』
「…そうなの??なんでわざわざ電話なんかしてきたんだろうね
で、その時ママはなんて言ったの?」
菫はから笑いをして誤魔化す。
『とりあえず、お友達の家には無事引っ越しを終えてるみたいだから安心してって伝えといたわよ!』
「あ、そうなんだ…
じゃあ良かった」
母には念のため住所も伝えていたため、それが蒴にまで伝わらず菫はホッと息を吐く。
『何が良かったの!!なんであんたは蒴くんに引っ越す日にちちゃんと言わないのよ!!
今まで面倒見ててくれたんだから心配くらいするでしょ?!
蒴くんはそうですか、ありがとうございますとだけ言って電話切ったけど、蒴くんじゃなかったらすごーく怒ってたかもしれないのよ?!!この恩知らずなんて言われてたかもしれないんだから!!』
「わかった、迷惑かけてごめんね
じゃあ、私これから講義だから」
「あ!ちょっと菫!!
まだ終わってな」
母の説教が長引きそうだったため、菫は咄嗟に電話を切る。
(これでいいんだもん…もう蒴ちゃんとは完全に終わりだから…でも、何年も一緒に過ごしてきたのに、こんなにあっけなく終わる関係だと思わなかった…)
そんなことを考え始めると涙が溢れそうになり、顔を上げた。
恭弥の家に引っ越してきて1週間ほどが経ち、ようやく生活にもなれてきた頃。
学校帰り、夏が近づいてきているせいか外が暑く、家に帰るまで少し休憩をしようとカフェに入る。
店員に案内された2人がけのテーブルに案内されて、注文をし終えると頭上に影がさした。
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