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ぽぽ

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蒴視点

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蒴は出張に行くついでにある場所へときていた。
出張先の香港にある高級ホテルのラウンジへと向かうと、煌びやかな夜景がよく見える窓際のソファ席に2人の男が座っていた。
蒴は一呼吸つくと、その場所へ向かって歩みを進める。


蒴に気づいた白髪混じりの髪の男が片手をあげて、蒴に合図を送る。


「やあ、蒴くん
久しぶり」

「お久しぶりです、小谷社長」

「いやいや、社長なんて硬っ苦しいのやめてよ」

「そうですね」


蒴は困ったように笑い、小谷社長の向かい側に座る父へと視線を移す。


「早く座れ」


蒴の父親は蒴の方を見ることなく、隣の席へと少しだけ顎を突き出して座れと促す。


「蒴くん、どうぞ座って」

「失礼します」


蒴は父の隣に腰をかける。
向かい側に座る男は蒴を見ると和やかに笑う。


「蒴くん、君はさらに男前になったね
ハンサムなお父さんにそっくりじゃないか」

「ありがとうございます
光栄です」

「それにしても急でごめんね、君がこっちに出張に来ると聞いたから久しぶりに会いたくなってね
僕もちょうどこちらに用があったから、君のお父さんにお願いしちゃったんだ。
美香とは最近どうだい?」


男は口元にニッコリと笑みを浮かべながら蒴に尋ねる。


「はい、美香さんとは仲良くさせていただいています。」


蒴は笑みを浮かべるも、正直最近は菫のことばかりが気になってしまい、美香のことはおざなりとなってしまっていたことに罪悪感を覚える。

目の前に座っているのは美香の父である小谷秀雄だ。
小谷グループの社長であり、昔から蒴の父親が経営する会社と深い関係が続いていた。
小谷グループのおかげで父親の会社が繁栄していっているといっても過言ではない。


「いや、ありがたいね
君みたいな優秀な子がうちの娘と付き合ってくれているなんて、将来が安泰だ」


美香の父は気分良さそうにウイスキーを飲んだ。


「いえ、まだまだ未熟者です」  


先ほどまで口を閉ざしていた父がようやく口を開く。


「確かにそうだな
もっと精進しないとな、このままじゃ小谷さんに恥をかかせることになるぞ」

「…そうですね」

「まあまあ、花崎さん
僕はね、蒴君という息子ができると思うと嬉しくてね。うちは1人娘だから、ずっと息子が欲しいと思っていたんだ。
まだ気が早いかもしれないけど、今後とも美香のことをよろしく頼むよ」

「はい」
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