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大人への階段
しおりを挟む「いきなり呼び出して何?」
「いきなり呼び出してその…すいません…」
「別に謝らなくていいけどさ」
本当は1人で飲みにでも行って発散をするつもりだったがどうしても勇気が湧かず、菫は恭弥に誘いの連絡を入れた。
恭弥の会社の最寄り駅で待っていることを告げたところ、近くのカフェで待っていろと言われて1時間ほど経った頃スーツ姿の恭弥が現れた。
普段、ラフな私服姿しか見ないためスーツ姿が新鮮で思わず目が奪わられる。恭弥の長い足がスーツ姿だとより強調されている。
カウンター席に座っていた菫の隣に腰をかけるとふんわりと恭弥から爽やかな香りが漂った。
「お疲れ様です」
「なに、さっきからかしこまってんの?
気味悪いよ。」
「気味悪いってひどくない?」
「で、いきなり呼び出してきてどうした?」
「何でもないよ
ただ単に恭弥くんとたまには構ってあげてもいいかなって」
冗談まじりにいうと、恭弥は菫の額を指で軽くこづく。
「生意気。蒴一筋のお前が何言ってんの?」
蒴の名前を聞いた途端、口篭る菫の姿を見た恭弥は何かを察して唇を軽く尖らせる。
「なるほどね。」
「何がなるほどなの?」
「てか、この格好どうしたの?
お前こんな服持ってたんだ?」
「うん、蒴ちゃんには着るなって言われてたから着なかっただけ…」
「ふうん、まあ好きな服着れるようになったってことでいいんじゃない?」
恭弥は視線を菫のスカートに向けるため、菫はその目元を手で隠した。
「変態恭弥くん」
「見ただけで変態とか言われたら、俺どうすれば良いの?」
菫の頭を掴んでグラグラと揺らす。体が大きいからか菫の頭なんて手のひらで簡単に包んでしまう。
「まあ、いつもと違って可愛いんじゃない?
そういうのも。」
「本当??嬉しい!」
蒴だったら即似合わないと言って着替えさせてくるところだろう。
恭弥の新鮮な反応に菫は心を躍らせた。
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