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しおりを挟む家に帰宅すると、早速料理を始める。
蒴の好きなハンバーグと唐揚げだ。見た目も中身もは大人ぽいのに、時々子供っぽいところが顔出すところが愛おしくてたまらない。
肉ばかりだと胃に負担だろうからとサラダも作ろうと野菜売り場に置いてあった野菜を適当にカゴに詰め込んだ。
今まで使ったことのないようなルッコラ、ケールといった野菜も含まれているが、果たしてこれは飾りようなのか食べれるものなのかも菫はよくわからない。
料理を始めたはいいものの慣れない料理、したことのない揚げ物に苦戦する。
唐揚げは大きめの方が見た目もインパクトがあっていいと意気込んで、大きなぶつ切りにして基本的な調味料をドバドバとボールの中に入れて、特大肉をボールの中に放り込む。
次に封のされた新品の片栗粉を取り出し、袋の半分以上の粉をボールの中に入れた。
とにかく多く入れれば美味しくなる精神で料理を進めていく。
鍋に並々に入った高温の油の中に鶏肉を入れようとするも、鶏肉を入れた途端油が跳ねそうで怖い。
菜箸で肉を入れると、花火のようにばちばちと激しい音を立てる。
その油は四方八方に飛び散り、ほぼ使っておらず綺麗だったキッチンのコンロは一瞬にして油の斑点模様が散らばる。
「ヒィ!!」
いつも静かな同級生が何気ない一言で突然ものすごく怒り出した時のような起伏を見せた油に情けない声を上げた菫はキッチンから足早に避難をした。
胸元に手を縮こまらせて、片手に菜箸を持ちながら数メートル越しに鍋の様子を眺めるもその様子は全くと言って良いほどわからない。
ようやく油の勢いがおさまった頃、凶暴な肉食動物に近づいていくようにそっと近づいていくと綺麗な黄金色をしていた油は茶色に染まりその中に黒い物体がプカプカと浮かんでいる。
「え?」
これはさっき揚げたものであるはずだけどなぜこんなに真っ黒になっているのか。
恐る恐る菜箸で拾い上げて、皿の上に直接乗せる。確かレシピには4~5程度揚げてくださいと書いてあったはずで、菫が鶏肉を揚げてからまだ3分ほどしか立っていないはずだ。見た目は写真のそれとはほど遠く、確か2度上げするとさらに美味しいという文句まで書かれていたはずだ。
これは2度揚げするまでもないし明らかに焦げている。
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2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます!
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○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
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