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しおりを挟む蒴が自分に気がないことなんて、年々わかってきている。蒴は菫の数度にわたる告白断るくせに彼女を作ったり、女の人から告白をされたら断れないとまで言うくらいだ。
それでも、諦めず蒴が今まで付き合ってきた彼女たちを見て研究して、蒴好みの容姿になろうと努力しているのに、この言葉はあまりにも辛辣だ。
「恋人じゃなくて、蒴ちゃんだから構ってほしいんだよ…代わりなんていない…」
目元にじんわりと温かい液体が浮かんできた、目の前が霞む。
もう俺ではなくて別の人に甘えてくれと言われているようだった。
「ごめん、菫
俺嫌なこと言った??」
「私の気持ちわかってるのにひどいよ…
私のことはそういう風に見れない?子供ぽいから嫌だ…わがままだから嫌だ??」
小さい頃から蒴への一途な感情を言葉でも伝えているし、体現もしているのに気づかないふりをする。
蒴はその言葉に対して返事は返さなかった。地面に視線を落として涙を堪えながら体を震わせてる菫の背中を優しく摩った。
そこから、言葉が見つからず菫は朔に背を向けてその場を後にした。
あれから数日、蒴とは1度も会っていない。
たかが数日間なのに1ヶ月くらいあってんないんじゃないかという感覚になる。
毎日会いたい気持ちは湧いてくるのに、自分から会いにいく勇気は出てこない。
会ったら次は突き放される言葉を言われるのではないかという不安が湧いてくるからだ。
優しい蒴はそんなきつい言葉は言わないとはわかっている。だけど怖い。
あんな風な言葉を蒴からの言われるのは初めてだったから。
突き放されるのなんて絶対嫌だ。
蒴がいなくなったら学校に行く気力も食欲も全てがなくなってしまって、最終的には生きる気力まで失われるかもしれない。いくら彼女ができたとしても距離だけは作られたくない。それほど蒴に惚れているのだ。
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(執筆期間:2022/05/03〜05/24)
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○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
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○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
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