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しおりを挟む菫がソファの手前側に座って、朔は奥にさがり背もたれに寄りかかったような状態になる。
これでよしと思い、シャッターを押そうとするも中々菫の指に反応しない。
「あれ?なんで?」
そうやって何度も押していると後ろから肩に腕が周り、朔が真横に来てスマートフォンへと顔を近づける。
髪が頬をかすめるほどの距離にあり、またしても固まってしまう。
その間にも朔が指先でシャッターボタンを押し、カシャという軽快な音が聞こえた。
撮れた写真を見てみると、朔はちゃんとした顔で撮れているのに自分はというと横にいる朔を惚けた顔で見つめてひどく間抜けな顔をしている。
普段、私はこんな顔をして朔を見つめているのかと思うと無性に顔を隠したくなった。
スマートフォンを操作して慌ててその写真を消そうとすると、朔が横からその手を掴む。
「なんで消すの?」
「だって恥ずかしいもん
ブサイクな顔してる」
「別にブサイクに思わないよ
後で俺にも送って」
肩に腕を回されたままの状態で、至近距離で言われたら断ることもできず削除という欄から指が離れていく。
冗談だったのかどうかはわからないけど、後で送ってということは待ち受けにでもしてくれるのだろうかと淡い期待が込められた。
「ねえ、もう一枚だけ撮ろうよ
ちゃんとしたやつ」
「さっきのもちゃんとしてなかった?
菫が俺に熱烈な視線向けてくれてて嬉しかったんだけどなあ」
「やっぱり消す!!」
朔が揶揄うようにいうため、先程の写真を選択して削除ボタンを押そうとしたが朔が再びそれを止める。
「わかった、普通の写真撮ろう」
2人で並んで写真も撮ったがやっぱり好きな人が隣にいると、借りてきた猫のようにぎこちない表情で納得はいかなかったけど、朔がこんな近くにいると意識するとこんな顔になってしまう。
普段は告白とかできるのに、この時ばかりはそれが難しい。
早速、保存された写真を待ち受け画面に設定した。雲の上にいるようなふわふわとした気持ちが抑えきれずスマートフォンを胸の中で抱きしめた。
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