モブの俺には構わないでくれ。

ぽぽ

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三者面談???

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この家の広さだけでも現実離れしてるってのに、家にお手伝いさんがいる世界線ってなんだよ。
想定外の出来事ばかりで俺のツッコミは止まらない。
まさかこんなお坊ちゃんがうちの学校にいるのかとは思ったが、さては東雲もこんな生活してるのか。いや、あいつはこれ以上にいい暮らしをしているかもしれない。だって大企業の社長令息だ。


「俺の部屋行くぞ」


大和が俺についてこいと手招きしてくる。
何をされるかわからないため、ついて行きたくないがここに取り残されるのはもっと嫌だ。

あの頑丈セキュリティなら家を出る際も何かが作動して人騒がせしそうだ。

大人しく大和についていき長い廊下を歩いていると、スーツ姿の男性が歩いてきた。凛々しい顔立ちにキリッとした眉。白髪の混じった髪はワックスでまとめられている。異様に身長が高く、筋肉質な体をしているため、威厳までも感じさせる。

誰かに似てると思い、俺の隣に立つ人物を見上げると、男性を見ながら苦い顔をする大和がいた。


「健太行くぞ」


いつもの大和と違い、余裕を感じさせることなく、俺の手首を強く掴むとその場を早く離れようとする。


「ちょっ、突然どうしたよ
前から歩いてくる人はお父さんか?」

「どうだっていいだろ」


珍しく強気な口調で言われてしまい、俺は言葉が返せなくなってしまう。
俺たちが男性の横を通り過ぎると同時に男性がその場に立ち止まって後ろを振り返った。


「大和、誰だ」


低く威圧感のある声がした。
俺が挨拶をしようとすると、大和が俺の口を手のひらで塞ぐ。


「どうでもいいだろ」

「どうでもよくない
ここを誰の家だと思っているんだ」

「俺の家だろ」

「バカ言え
誰が所有している家かと聞いてるんだ」


親子の温かみのある会話とは程遠いなんだか他人行儀な感じだ。


「はっ、初めまして、五十嵐くんの学校の養護教諭の山科と申します。」

「養護教諭??」


頭を下げてから、大和の父親の眉根が寄った。


「はい…」

「なぜ養護教諭がうちの家に来ている」

「それはっ」

「俺が家に誘った」


俺が返事をしようとすると、大和がすかさず答えた。


「なぜ養護教諭なんかを家に呼ぶ必要がある?
お前の不躾な態度でも直してもらおうというのか。」

「は?」

「父親にいつも口答えしてるもんな?
随分荒っぽい口調で
友達がいないから養護教諭を友達にしたのか?」


大和の父親はバカにしたようにフッと笑みを浮かべる。


「あなたも彼の友達ではなく、ただの養護教諭でしょ
なぜ生徒の家に遊びに来ているのですか。貴方の学校では職員が学校の用件以外で生徒の家に来ても許されることになっているのですか」


突然、無表情になって俺のことを視線で捉える。


「やめろ
こいつは関係ない
俺が連れてきただけで…」

「お前に聞いてない
この方に聞いているんだ」

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