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しおりを挟む「おい、千秋
大丈夫かよ?」
「なんだ雅也か…
期待して損した…」
「地獄に落とすぞ」
雅也に首元に腕を回され締め付けられる。
一瞬でも河田くんかと思ってしまった自分が恥ずかしい。
それからというもの、河田くんと会う機会はびっくりするほど減った。
それは当たり前のことで、特に関わりのない学年の生徒同士が会うといったら廊下をすれ違うことと、全学年が集まる体育館や食堂で見かけるといった程度。
自分から会いに行こうとしない限りは、1ヶ月に数回見かけられたら良い方だろう。
河田くんというエネルギーを補給できなくなった僕はすっかり活力を無くしていた。
「千秋~、元気出せよ
今度女くらい紹介してやるから」
「いらない…」
窓枠に肘をつき、遠い目をして外を眺める僕を、雅也は隣にきて僕の背中をトントンと叩く。
雅也は普通のくせして、女子ともうまくコミュニケーションをとっており、休日もたまに遊びに行っているようだ。そのため連絡先を知っている女子も多い。
つい最近、彼女と別れたようでそれを慰めていたところ、その間に相談に乗ってくれてたとか言ってその子と付き合った。僕の慰めなんていらなかったみたいだ。
「千秋、いつまでも引きずってもいいことないぞ
これマジだから、見切りが大事
その子はお前のものにならないんだよ」
「そんなはっきり言わなくても…」
「俺は本当のことしか言わない
さっさと見切りつけろ
そして、お前のレベルに合った奴を選べ」
「それって誰…??」
「えっと……
そんなの俺に聞くな!!自分で考えろ!!」
雅也は僕が付き合えるような人物が思いつかなかったのか、考えることをやめて僕の背中を思い切り叩いた。
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