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しおりを挟むエレベーターを降りて先に進むと夜景が目の前に広がる
こんな景色、元カノに行きたいと言われて行った展望台とかでしか見たことない
デパートにこんな場所があるとは思わなかった
「こう言う場所嫌だった??」
「いや、別に…」
特に綺麗とか思うわけでもないけど、
なぜかずっと眺めてしまう
フェンスに近づき下を見ると人が小さな点にしか見えない
俺も普段あの中で暮らしていると思うと幼い頃のトラウマなんてちっぽけなものに思えてくる
周りを見渡してみると広い屋上の割にはベンチだけ置かれた殺風景な場所
俺たち以外人もいない
だけど、そんな殺風景な場所が夜景によって少し華やかに見えるから不思議だ
「ここ本当に入っていいところなんすか?」
「大丈夫だよ!たまに来ると人も見かけるし」
「こんなところ見つけるなんて先輩くらいだとおもいました」
「それってどういうこと?」
「いや、なんでもないです」
友達の少なそうな先輩なら好む場所だろう
近くにあったベンチに座りながらまた夜景を眺める
先輩は俺の近くに来たと思いきや隣には座らずベンチの横に立つだけ
「座らないんですか?」
「え、座っていいの?」
「いいですけど・・・」
先輩は俺から一人分くらいの距離を開けてベンチに座る
「何でそんなに離れてるんですか?」
「だって河田くんは僕の近くにいるの嫌でしょ」
やっぱりこの人はよくわからない
さっきまで一緒に遊びたいとかいってたくせに
再び二人の間に沈黙が流れるけど心地が悪いと言うわけでもない
「あ、そういえばこれあげる!」
先輩がカバンの中に手を突っ込んで何かを取り出す
「はい、これ」
「チョコレートですか?」
「うん!良かったら食べて
あ、今日買ったやつだからね!ずっと持ってたやつじゃないよ!」
「別に疑ってないですけど」
手にそっと乗せられたチョコレートの包み紙をあけて口の中に放り込む
あっま…
「ねえ、河田くんは誕生日おめでとうとか言われるの嫌い?」
「え?」
「さっき誕生日の話したら怒ってたみたいだから・・・」
「はあ…」
「話すの嫌とかだったら大丈夫なんだけど…」
こちらの顔を伺うようにチラチラと先輩はこっちを見てくる
それを見返すと慌てて目を逸らす
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