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しおりを挟むある日、遊びに行った日の帰り道
あの父親がいる家には帰りたくなくて、知らない道をトボトボと歩いていた
ふと周りを見渡してみると全く見慣れない景色
不安になって俺はあたりをキョロキョロと見渡すとある人を見かけた
そこにいたのはずっと会いたくて仕方なくて
ずっと俺が待ち望んでいた人
「お母さん!!!!!」
道路の向こう側にいた母親を大声で叫んで必死に呼び止める
車の交通量が多いせいか声がかき消されて届かない
「お母さんっ!!!!お母さんっ!!!!!」
ありったけの声を出す
喉が痛くなろうが周りにどう見られようが関係ない
俺はとにかく会いたかったんだ
毎日待ち続けたんだ
それでも向こうは俺に気づかずこっちを向かない
俺は走って、横断歩道の所へ行く
早く信号変われ!!!
お母さんがまたどこかに行っちゃう!!
早くっ!!早く!!
「お母さっ……」
もう一度大声で呼ぼうとしたその時、道路の向かい側にいる母親は笑顔で後ろを振り返る
そこにいたのはベビーカーを引いた若い男
その人は笑顔で母親の所に歩いていく
そして、母親はベビーカーに乗っていた小さな赤ちゃんを愛おしそうに抱き上げると若い男と2人並んで歩いて行った
「お母さん、その人は誰……??」
まだ幼い俺でも理解できた
それがどういうことを意味するかを…
母さんは幸せに新しい家族を作った
そして、俺のことは捨てて父さんの所に置いて行った
だから迎えに来なかったんだ……
俺はもう……
母親が迎えに来てくれるかもしれないという事が唯一の希望だったのに、それが絶望に変わった瞬間だった
さっきまで心の中が空っぽになって涙なんて流れてこなかった
だけど、母親が見えなくなった途端一気に涙が溢れた
これでもう会えないんだ
その後、知らないおばさんに話しかけられてどうやって家に帰れたかもその後、父親に何を言われたのかさえも覚えていない
それだけあの時の出来事は衝撃的でありそれ以降も母親から連絡が来ることは一切なかった
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